Conceptを基礎に、自動車交通や人流・動物の群れ、そしてそれらを改善する手法について研究しています。
「二次元混合交通」とは、バイク・乗用車・トラック・自動三輪車など、様々なタイプの車両が、明確な車線区分のない道路を縦横無尽に走行する交通のことです。
インド・ムンバイで記録した車両の動きを分析した結果、こうした二次元混合交通でも、誰の指示もなく、似た動きをする車両の「群れ」が自然に形成されることが分かりました。また、混雑した状況では、群れが適度な割合で形成されているときに、より多くの車両が通行できることも分かってきました。
これらの結果を踏まえ、現在は、
群れが形成される仕組みの解明(車両の動きの類似性、周囲で利用できる空間の制約、すり抜けやすさとの関係)
交通の流れを良くする群れが形成されていない場所や状況を、走行記録から見つけ出す方法の開発
群れに起因する渋滞発生リスクの評価
シミュレーション上で「群れ」と「それ以外」の部分を再現するモデルの作成
に取り組むことで、
より正確に交通特性を再現できるシミュレーションの実現
どのような群れが、いつ・どこで交通全体の流れを良くするのかの解明
を目指しています。
車線のない道路を走る車両と同じように、人混みを歩く人や群れで移動する生き物も、様々な特性をもつ個体が、細かな指示を受けずに互いに影響し合いながら、集団としての流れを生み出しています。
そこで、
歩き方の異なる人が混ざったときに生じる棲み分けと、それが流れの良さに与える影響の評価
体の大きさが異なるミナミコメツキガニを混ぜた群れの観察
人混みの中で、人がどのように混雑を感じるかの評価
に取り組むことで、
追従(車両)、回避(歩行者)、相互予測(生物)という異なる仕組みで動く集団を共通の方法で分析し、共通点とそれぞれに固有の現象を理解すること
異なる特性をもつ個体(車両・人・生物)が集まったときに生じる、分布の偏り(偏在)の仕組みと特徴の解明すること
を目指しています。
自動運転に代表される自動化システムは、私たちの労力を減らし、ミスを補ってくれる便利なものです。
センサー・通信・コンピューター・機械学習などの技術の進歩により、認知や判断の正確さ、処理できる情報量、速度などの面で、人間を上回る能力をもつシステムも登場しています。
一方、こうした自動化システムを利用する人間には、
システムによって安全性が高まった分、かえって危険な行動をとってしまう
システムへの過信や不信によって、不適切な使い方をしてしまう
突然の不測の事態に、すぐに注意を向けられない
思い込みや先入観(認知バイアス)によって、不合理な判断をしてしまう
といった問題があります。また、システム側にも、
認知・判断・操作の能力が、まだ人間に及ばない領域がある
人間とシステムの間で、必要な情報が十分に伝わらない
といった課題が残されています。
こうした問題を踏まえ、特に運転支援技術や自動運転システムと人間の関わりに着目し、
自動運転技術を活用した、新興国交通の渋滞予防・解消
ドライバーの運転の好みを学習し、その結果を即座にフィードバックする自動運転
渋滞予防や雪道での安全のために、ドライバー自身では気づきにくい望ましい行動を促す情報提示方法の開発
といった研究に取り組んでいます。
これらは、群れの研究で明らかにしようとしている「必要なところにだけ働きかける」という考え方を、人間の特性や好みに合わせ、無理なく受け入れられる形で実現するための研究でもあります。
上記以外にも以下のトピックに取り組んでいます。
車線が守られない交通における、渋滞の起こりやすさの数理的評価
景観が運転行動に及ぼす影響の評価
予測とともに、その予測がどれくらい確かかも見積もる機械学習の手法