ソルバルナ語は、フリースカ大陸の北部に位置するソルバルナ共和国の公用語として使用される言語。「紫瀛星世界」における比較言語学ではルニ・シュアーヤ語族に属し、単体でソルバルナ語派を形成すると考えられている。
1. ソルバルナ語の音韻
2. ソルバルナ語の文字(表記体系)
3. ソルバルナ語の形態論
I. 代名詞
II. 名詞
III. 動詞
IV. 修飾語
V. 数詞
4. ソルバルナ語の統語論
I. 語順
II. 基本構文
5. ソルバルナ語の語彙・慣用表現
6. 架空世界におけるソルバルナ語
7. 背景情報
詳細は「ソルバルナ語の音韻」を参照。
ソルバルナ語の子音は全部で30種類あり、それぞれが独立した音素として存在する。ただし、ある条件下で音声が変わるものや音韻規則の影響で変化する音韻もある。
子音が結合できる数に制限はなく、最大で5~6個の子音からなる子音クラスターが発生しうる。連続しての発音が難しい子音の並びができたときは、その箇所の間に補助母音 [ə̆] または [◌ᵊ] を挿入することによって解決する。
子音 /ʁ/ は母音が前にあり子音が後ろに来ているとき、その音は発音されず代わりに母音を長音化する。このとき、ラテン文字表記では元来 /ʁ/ の音を表している c を h に置き換える。
子音 /h/ はどの子音とも結合しないという禁則があり、やむを得ず他の子音と結合してしまいそうになった際には母音(多くの場合は a)を挿入するか、母音を長音化し黙音となる子音 /ʁ/ と置き換えることにより禁則を回避する。
子音 x, c の通常の発音はそれぞれ [χ, ʁ] であるが、口蓋音 /kʰ, kˀ, ɡ/ の前後ではより調音位置の近い [x, ɣ] で発音される。
ソルバルナ語の母音は、単母音が7種類とそこに半母音が合わさって派生する二重母音が10種類存在する。音素的に音の長短は区別しない。
母音 i, ė のペアと y, e のペアはそれぞれ音韻的に対応しており、部分的に母音調和が発生する。ソルバルナ語では前者を剛性母音、後者を柔性母音と呼んでおり、剛性と柔性は同一単語の中に共存することができない。
母音調和は品詞の語形変化や接辞によっても引き起こされる。このとき、その語形変化要素が元の語幹の母音を調和できることを調和性があると言い、この調和性には語形変化要素の文法的役割によって定められる優先順位が存在する。
半母音 j, w も通常母音の i, u と同様に振る舞い、半母音 j は柔性母音 y, e と共存することができない。一方、半母音 w は剛性母音 i, ė の前に現れたときのみ、前舌化して /ɥ/ と発音されるようになる。ただし後舌母音は母音調和の域外であるため、この /ɥ/ が共存できないのもまた柔性母音 y, e とだけである。
ソルバルナ語では基本的にアクセントの違いによる弁別はしない。一方で発音に抑揚を付けるための強勢が使われる場面は多く存在する。
強勢は基本的に語幹の最終音節の母音に置かれ、接辞や活用・曲用語尾にはあまり置かれない。しかしそれでも強勢の位置は完全に自由であり、強調したい意味によって話者が強勢を表したり表さなかったりを決めることができる。
ソルバルナ語の表記にはスルダン文字と呼ばれる右横書きの文字体系を使用する。しかし技術的にインターネット上での表示は難しいため、代替としてジョージア文字とラテン文字による翻字法を設定している。
ソルバルナ語は言語類型論的には膠着語であり、また格の充て方を被動者項(自動詞の主語と他動詞の目的語)と動作主項(他動詞の目的語)で使い分ける能格言語でもある。
名詞は有生、無生、中生の3つの性(名詞類ともいう)がある。さらに語尾の変化によってあらわされる格が絶対格、能格、与格、奪格、様格、須格、敢格の7つと、接頭辞によってあらわされる数種類の接頭辞格があり、単数と複数を区別する。これらは名詞を修飾する形容詞にも適用される。
動詞は主に2つの数(単数、複数)、3つの人称(一人称、二人称、三人称)、2つの時制(非過去、過去)、4つの法(直説法、接続法、条件法、強意法)、そして他動詞に限り2つの相(非過去未完了、非過去完了)で語形変化するほか、さまざまな標識接辞によって動詞の意味を細かく屈折させることができる。一方で動詞を修飾する副詞は数と人称によってのみ語形変化し、被修飾語の文法範疇は完全には継承されない。
また、派生語素子と呼ばれる接辞(接頭辞、接尾辞、接周辞のいずれか)を単語に付すことにより、多様な派生語の生成を可能としている。
まず最初に、ソルバルナ語の基本語順はSVOである。語順の自由度は比較的高く、文語や厳格な場ではSVOが主流だが、口語の特に親しい間柄の者同士の会話ではOVSが用いられることが多い。また、形容詞句や副詞句、属格句などの修飾語は後置修飾が基本である。
概要の項にも記したように、ソルバルナ語は紫瀛星上に存在する国家であるソルバルナ共和国の公用語になっている言語である。
おそらく、この言語の翻字にジョージア文字を使用していることや子音の連続が起きやすいといった特徴などから気付かれていることだろうが、ソルバルナ語の制作に際して作者は基底世界(我々が住む地球)に実在するジョージア語およびコーカサス諸語の情報を多く参照している。これはソルバルナ語、ひいてはルニ・シュアーヤ語族全体が元々コーカサス諸語を意識して設定していたものであるためであり、この言語が文法的にアポステリオリであるということの証左でもある。