柵の向こうにはすっかり荒れ果てた小さな村の跡地が広がっている。老朽化による倒壊ではなく、意図的に破壊が行われたことが分かる凄惨な光景だ。
さらには瓦礫に混じって何体もの死体が転がっているのが嫌でも目に入る。白骨化したものから比較的新しいものまでさまざまで、体がばらばらになっていたり、頭が潰されていたり、下半身や上半身だけになっていたりと、目を背けたくなるようなものばかりだ。
SANc0/1D3
<目星>に成功すると、入口付近に各々の望む武器が一つずつ見つかる。
ほとんどの建物が倒壊しており、かろうじて形を保っている建物は片手で数えられる程度しかない。
足を踏み入れると、倒壊しかけた建物に何故か弾薬箱が置かれているのを見つける。以降、全ての探索箇所の入口に弾薬箱が置かれており、弾の補充ができる。
<目星>
瓦礫の下から前回の調査員が落としていったらしい冊子を見つける。この区域に棲息する生命体について書かれたもののようだ。
要約すると以下の通り。
一年前に未知の生命体が現れて破壊と殺戮が行われた。
現在その生命体の目立った活動はないが、区域内を徘徊しているのは確認されている。
生命体は人間に対して非常に攻撃であり、人間と接触すると必ず襲い掛かる。
生命体は攻撃力、体力共に高く、生身の人間では到底太刀打ちできない。武装した人間が数人がかりでようやく一体を仕留められるかどうか。
定期的に人員を派遣して調査を行っているが、非常に難航しており詳細はほとんど判明していない。
生命体と接触した調査員が精神に異常をきたした事例もある。
<幸運> とても美しく切れ味のよさそうな日本刀を見つける。
三日月宗近
天下五剣の一つである。<日本刀>技能で両手用の武器として扱う。ダメージは2D8+1
こちらもほとんどの建物が倒壊しているが、Aよりは形を保っているものが多い。
とくに公共施設と思われる大きめの建物は頑丈な造りをしているため、ほとんど無事のようだだ。
中もやはり散乱しているが、他の建物ほど瓦礫にまみれてはいない。
二階建てになっているが、二階部分に続く階段は崩れていて登れなさそうだ。
一階は広くほとんど何もないスペースになっている。
本の並んだラックのようなものがあり、ほとんどは劣化していたりして読むことはできない。
<目星> なんとか目を通せそうな冊子が見つかる。
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『夢』
脳は覚醒時に入力した情報を睡眠中にジャンル分けして整理しており、その段階を脳内で再生している状態が『夢』とされている。
夢は主としてレム睡眠の時に出現する。睡眠中の感覚は遮断されているが、大脳皮質や辺縁系はほぼ覚醒状態に近いため、外的・内的な刺激や脳の記憶貯蔵庫にある過去の記憶をもとに再生している。
通常、夢を見ている間はそれが夢であることを自覚することはできないが、夢であると自覚した状態で見る夢を『明晰夢』という。
『明晰夢』
睡眠中に夢を見ている者が「これは夢である」と自覚しながら見る夢のことである。明晰夢はしばしば夢の状況や自身の行動を自在にコントロールできる。
生理的なメカニズムとしては、前頭葉が海馬などと連携して覚醒時に得た情報を整理する前段階で、前頭葉が半覚醒状態となっているため起こることとされている。
明晰夢は夢の内容を自在にコントロールすることが可能ということもあり、娯楽の一つとして体験しようとする人間も多い。たとえば自由に空を飛びたい、ヒーローになって戦いたい、などといった願望が夢の中で実現されるのである。そうすることで快楽を覚えることが可能となりうるため、意図的に見ようとトレーニングを行う人間もいる。
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<幸運> 赤いスニーカーを見つける。発見者、あるいは装備を希望する人間の足のサイズになぜか変形してフィットする。
これはキック力が大幅に増大される不思議なシューズだ。装備することで<キック>の算出ダメージが倍化される。
アパートやマンションだったであろうものが並んでおり、どれもほとんど原型を留めていない。
ここでは見て回れそうな建物はないが、とくに倒壊の酷いアパートの瓦礫の中に、頭から血の噴き出した比較的新しい死体を見つける。
<医学> 口から頭を撃っており、拳銃自殺を図った死体であることが分かる。
<目星> 死体の持ち物を探ると、自分達が持っているのと同じ記録用のノートを見つける。
中にはここに遭遇した生命体の記録などが書かれているが、途中からは筆跡が乱れ、内容も変わっている。
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分かっちまったんだ! ここはただのゲームのフィールドだ。やつらはこれを見て楽しんでいやがるんだ。ほら今だって頭の上でゲラゲラ笑っていやがるぞ!
ご丁寧にエリアごとに弾薬まで配置してくれてありがたいことだな。そんなことを仕込む暇があるならてめぇらが戦えばいいんだ!
ああそうか、あいつらはプレイヤーで俺らはキャラクターだったな。それならしょうがねぇ、俺は演じてやるよこのクソッタレなゲームを最後まで生き延びてな!
ただのゲームだっていうなら簡単だ。俺が生き残ればいいんだ。ただ殺せばいい、殺して生き残ればいい、弾を千発打ち込んでやればいい、生きて殺して殺して生きて殺して殺して殺して殺して殺しせば生きていきてかえるころしてころしてくれころしてくれ
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<幸運> ほとんど錆びていない頑丈なバールのようなものを見つける。
バールのようなもの
武器として使う場合は<杖>で判定し、ダメージは1D6+1+DBとする。
ここもほとんどの建物が倒壊している。
崩れ落ちた小さな図書館のようなものがあり、中はやはり酷い有様で、劣化の酷い本が散乱している。
<目星> なぜか一冊だけ綺麗な本を見つける。ほとんどが小難しくて頭に入ってこないような内容だが、以下の文面だけやけに目を引いた。
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『丘よりきたる恐怖』
グレード・オールド・ワンは、人間から人ならざるものまで様々なものから神と畏れられ崇められる。彼らの多くは残酷であり、人間が太刀打ちできる存在ではない。ただ畏れ、崇め、生贄を捧げるしか、恐ろしき神をなだめる術はない。
彼はアジアにある山岳地帯の洞窟に鎮座し奴隷共に守られている。彼はたいてい台座の上にじっと座り動くことはないが、彼を守る奴隷はあまりに忌まわしい儀式を行っており、誰もそれを描写しようとはしない。
彼を崇拝する代表的な民族は、ツァン高原に住む亜人間のチョー=チョー人だ。忌まわしい支配者は、現在もただじっと瞑想し、己の目覚める時を待っている。眠りの最中でも、彼はひたすらに犠牲者を貪り、あるいは愚弄しながら、食事をし続ける。
彼は退屈しのぎか、娯楽のために人間を試したり、玩具にすることがある。彼は極稀に、勇敢かつ賢い人間を見逃してやることがあるが、彼の好奇心を引いた人間は往々にして無事では済まない。この悪趣味で忌まわしい神は半ばその力を封じられているが、いずれ星が正しく並ぶ時、真の力を取り戻し、地上に破滅をもたらすだろう。
その名は、チャウグナー・フォーン。今も「その時」を待ちながら静かに鎮座している。
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<幸運> マシンガンを見つける。
ミニガン
ダメージ:2D6+4/攻撃回数:連射/装弾:4000/故障:98
ほとんど跡形もなくなっているが、小さな教会だけがかろうじて原型を留めている。
教会に入ると一枚の寝袋とリュックサックが置かれている。自分達が使っているのと同じものだ。
リュックサックを漁ると、自分達の装備と似たようなものが入っているが、消耗品はほとんど使い切られている。また、それに混じって一枚の写真もある。若い男女と男児が映っている。
<目星> 前の調査員が残していったと思しきビデオカメラが落ちている。
まだ壊れてはいないようで、中の映像を再生できる。
映り込んだのは、真剣な顔をした一人の女性だ。背景は恐らくこの教会だだろう。
髪は乱れ、顔の半分は火傷によって爛れており、声は酷く掠れていた。映像はほとんど乱れており、ノイズが酷くてところどころ聞こえない部分がある。
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……映ってる? ええ、大丈夫みたいね。
きっと私たちは、もう――――から、せめて、次にここを訪れた人が、これを見つけてくれることを祈って――――。
ここにいる生命体は、突然変異だとか、地球外生命体だとか、そんな次元じゃない。もっと恐ろしくて、もっと私達の理解を超えた、そう、人知を超えた――――が、私達を、いや、すべての人間を――しようとして―――。
調査員だなんて、そんなのただの口実でしかない。私達は騙されていたのよ。私達はただの――。
私達はきっと―――られたの。もう、希望なんてどこにもない。仲間はみんな殺された。狂ってしまった人もいる。残っているのはもう、私だけ。そして私もきっと、近いうちに……。
(震えながら唇を噛みしめ、もう一度開く)
どうか、これを見ている誰かは――――てくれることを、祈っているわ。だから、誰か一人でも助かって、ここを抜け出して。そしてもう二度と、誰もここへ立ち入らないように、調査員だなんてひどい――を二度と使えないように、だれか…………
(轟音が響いて画面が揺れる)
……やつらが来たみたいだわ。
もう、これが最後になる。私はもう生きては帰れない。
せめて、みんなの無念を少しでも晴らすために、そして私が私の終わりを悔いのないものにするために、奴らに一矢報いてやるわ。
どうか、これを見ているあなたは、生きて。
(手榴弾を握った手を胸にあてる)
(一度強く目を閉じたあと、決意に満ちた顔で立ち上がり、走り出す)
(画面の端に異様な恐ろしい影が映り込む)
(激しい轟音のあと、映像が止まる)
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<幸運> なんだか強そうなハンドガンを見つける。
IMIデザート・イーグル
ダメージ:1D10+1D6+3/攻撃:1/装弾:7/故障:94
水は赤黒く濁っていて、表面には脂が浮いている。よく見ると液状化した人間の腐肉のようなものが浮かんでいるのも見える。
<目星> 苔に覆われた石の板を見つける。そこには短く文字が刻まれている。
『自身が「夢を見ている」ことを強く自覚し、魔力の込められた石碑を破壊しろ』
<幸運> ロケットランチャーを見つける。
RPG-7
ダメージ:8D6/攻撃:1/装弾:1/使い捨て/故障:98
※訓練を受けていない者のロケランの成功率は基本的に25%となるが、<幸運><知識><アイデア>いずれかの成功で射撃統制システムを利用でき成功率が3倍になる。
狭い研究所だ。ここも荒れ果てた廃墟になっているが、民家よりは形を保っており、崩れ落ちる心配もなさそうである。
鍵はかかっていないため中に入ることができる。やはり人の気配はなく、あちこちが破壊されていて酷い有様だ。
かろうじて形を保っているテーブルの上には散乱した書類と通信機器があり、部屋の奥には扉が一枚見える。
・通信機
本部に連絡を入れることができるが、ノイズが酷くてほとんど聞き取れない。やがてブツリと通信が途切れる。
それ以降は何度かけようとしても繋がらない。
・書類
いくつもの書類が散乱してる。どれも劣化していたりして文字はほとんど読めない。
<目星> 801192と書かれた紙が紛れている。
・扉
鍵はかかっていない。その先は長く続く廊下になっている。
薄暗くじっとりとした空気が漂っていて酷く不気味だ。
廊下の壁には赤文字で大きく『Left for Dead』と書かれている。
<英語>or<知識の半分>
『見込みなしとして見捨てられる』
廊下を進んでいくと、やがて奥に扉が見えてくる。
・扉
ロックがかかっており、パネルには6桁の数字が入力できるようになっている。
この扉は書類から見つけた数字を入力することで突破できる。あるいは戦闘技能で強引にぶち破ることも可能だが、そう軟弱な扉ではいけないので少なくとも30程度のダメージが必要ということにしたい。