お陰様で,錯体化学会75回討論会 シンポジウム S4「分子スピンの可能性を探る:物質材料科学と応用展開の最前線」は盛況のうちに終了いたしました。講演頂いた先生方,座長を引き受けてくださった先生方,聴講してくださった皆様方に厚く御礼申し上げます。
近年、分子のスピンを積極的に利用した機能性物質の開拓およびこれを活用したデバイス開発が飛躍的に進展しています。無機バルク材料と比較して、金属錯体や有機分子を基盤とした磁性体は圧倒的な設計の自由度を有し、キラリティーの導入をはじめとした分子構造の精密設計に加え、スピンの大きさや方向などスピンそのものの性質を調整することが可能です。また、分子の自己集合を利用した精密なスピン配列制御により協奏的な相互作用を引き出し、多機能性を持つ分子磁石の創成が行われております。分子性化合物のスピンや不対電子の活用は“磁性”そのものの研究に留まらず,光化学,構造有機化学,生物無機化学,スピントロニクスなど既に様々な分野へと波及しており,今後ますます広がっていくものと考えられます。そのような分子材料の多様性を鑑みれば、我々はいまだ分子スピンのポテンシャルのごく一部しか引き出せていない可能性が高く、社会を変革しうる新奇な機能性がまだ多く隠されていると考えられます。そこで本シンポジウムでは、これら分子スピンを取り扱う研究の最前線でご活躍されている先生方をお招きし、ご研究内容や成果を講演していただきます。本シンポジウムを通して、分野を問わず多くの聴衆に分子スピン研究をエンカレッジし、分野融合的な共同研究の可能性を広げるとともに、新たな学術的知見や技術革新の創出を目指します。
主催:堀井洋司 (香川大学、次世代分子スピン研究会コアメンバー)
16:20–16:25 開会のあいさつ 堀井 洋司 (香川大学)
座長:堀井 洋司 (香川大学)
16:25–16:55
S4-01 電子スピンと分子のキラリティ
山本 浩史 (分子科学研究所)
座長:仲谷 学 (城西大学)
16:55–17:25
S4-02 分子集積材料における光誘起スピン超偏極
楊井 伸浩 (東京大学)
17:25–17:55
S4-03 ガス吸着・磁気相転移の協奏的応答を実現する多孔性磁石の創製
高坂 亘 (東北大学)
17:55–18:05 休憩
座長:金友 拓哉 (東京都市大学)
18:05–18:35
S4-04 ジラジカルの交換相互作用制御に基づく機能性有機分子系の創製
と錯体への展開
清水 大貴 (京都大学)
18:35–19:05
S4-05 構造トポロジーが規定するジャイロイドMOFのスピン配列
水津 理恵 (佐賀大学)
19:05–19:10 閉会のあいさつ 堀井 洋司 (香川大学)