1970年代以降に世界中で分子磁性研究が始まって以来,約半世紀が経過しました.この間,スピンクロスオーバー錯体,バレンストートマリゼーション現象,分子強磁性体,純粋有機分子磁石,単分子磁石,単一次元鎖磁石,希土類錯体磁石,プルシアンブルー型磁性体,MOF-磁石,低次元磁性体,ハルデンギャップ磁性体,スピンフラストレーション系,カゴメ格子,量子スピン液体,トポロジカル磁石など,バルクからナノ,量子性まで数多くの興味深い化合物や現象が観測されてきました.このような歴史を踏まえて,今後は次の半世紀に向けての新たな分子磁性研究の展開が求められています.一方,分子性化合物のスピンや不対電子の活用は“磁性”そのものの研究に留まらず,光化学,構造有機化学,生物無機化学,スピントロニクスなど既に様々な分野へと波及しており,今後ますます広がっていくものと思われます.かつて「磁気化学」が「分子磁性」へと発展を遂げたのと同様に,分子磁性という分野を「スピン」をキーワードにして,より広い視点から見直す時期に来ていると考えられます.このような現状認識から,今後は毎年「次世代分子スピン研究会」を,日本各地を廻りながら開催したいと考えています.分子スピンに携わる研究者が意見交換する場を提供するとともに,特に若手研究者が様々な分野の研究に触れる機会を増やし,研究の新たな方向性を開拓する原動力になればと考えています.
1) 分子スピン分野の日本オリジンの新しい潮流を創る.
2)分子スピン研究の若手研究者・女性研究者(院生,学生含む)を育成する.
4)分子スピン及び関連分野の研究者間の交流と情報交換・共有をする.
3)これまでスピンと関わりのなかった分野の研究者とも交流を進め,分子磁性のすそ野を広げる.
5)分子磁性国際会議(ICMMとACMM)の日本誘致を積極的に行う.
6)JSPSやJSTなどの大型プロジェクトを獲得する.
7)「次世代分子スピン研究会」を毎年,日本各地を廻りながら開催する.
8)「次世代分子スピン研究会」は2~3日間程度として,講演とポスターセッションと交流会から構成される.
9)運営は世話人を中心に若手研究者と大学院生で行う.
10)「次世代分子スピン研究会」の参加費はできるだけ安くする(3千円程度).
11)関連学協会と連携を取る(磁気学会,化学会,錯体化学会,分子化学会,有機化学会,物理学会,応用物理学会,電子スピンサイエンス学会,光化学協会,その他).