有効数字

有効数字について

有効数字とは

・科学的な数値取扱の枠組みで下記を含む

数字のどこまでが信頼できる情報

信頼性を確保しつつ計算するにはどうすればよいか

有効数字の計算について

足し算、引き算 → 有効数字の一番下の位高い方に合わせて計算する

例:221 + 4.3

有効数字の一番下の位が・・・

21は1の位

4.03は小数点以下第1位

両方の一番下の位が高いのは1の位

よって答えの有効数字の一番下の位は1の位にしなければならない

答:221 + 4.3 = 225 .3 ≒ 225

掛け算、割り算 → 有効数字の桁数小さい方に合わせて計算する

例:221 × 4.3

有効数字の桁数が・・・

221は3桁

4.3は2桁

両方のうち桁数が小さいのは2桁

よって答えの有効数字2桁にしなければならない

答:221 × 4.3 = 950.3 ≒ 950

数値計算の根拠について

以降は有効数字について、なんでそうなるのか、わからない!と、もやもやが止まらない人向けです。通常ここまで考えなくても利用できますし、多くの場合はここまで込み入った解釈は求められないと思いますが、気になる人は読んでください。


・有効数では計算において2種類の誤差が重要になる

絶対誤差:誤差の数値

相対誤差:誤差を理論推定値で割った数値

例:x + Δx (xは理論測定値、Δxは誤差)

[絶対誤差] = Δx

[相対誤差] = Δx/x


・有効数字の計算においては・・・

足し算・引き算絶対誤差を考慮して計算する

掛け算・割り算相対誤差を考慮して計算する


・足し算・引き算の解釈

(x +Δx) + (y + Δy)

= x + y +(Δx + Δy)

足し算・引き算の数値計算は上記のように変形できます

つまり計算結果は絶対誤差の影響をうけます

ここで絶対誤差は、有効数字の一番下の位が高いほど大きな値になります

よって足し算・引き算では有効数字の一番下の位が高い方に答えを合わせないといけません

例:221 +4.3

221は有効数字で考えると221 ± 0.5の範囲内にある数値

4.3は有効数字で考えると4.3±0.05の範囲内にある数値

221と4.3の絶対誤差はそれぞれ <0.5, <0.05となります

そうすると

221 + 4.3

≒ 221 ± 0.5 + 4.3 ± 0.05

= 225.3 ± (0.55)

絶対誤差が<0.55となり理論推定値225.3の0.3の信頼性は揺らぎます

つまり有効数字の一番下の位が高い方はその次の位に誤差を持つ可能性があり、その位以降は信頼性を担保できません。


・掛け算・割り算の解釈

(x +Δx) (y + Δy)

= xy (1 + Δx/x + Δy/y +ΔxΔy/xy)

掛け算・割り算の数値計算は上記のように変形できます

つまり計算結果は相対誤差の影響を受けます

ここで相対誤差は、有効数字の桁数が小さいほど大きな値になります

よって掛け算・割り算では有効数字の桁数が小さい方に答えを合わせないといけません

例:221 × 4.3

221は有効数字で考えると221 ± 0.5の範囲内にある数値

4.3は有効数字で考えると4.3±0.05の範囲内にある数値

221と4.3の相対誤差はそれぞれ <0.00226..., <0.0116...となります

そうすると

221 × 4.3

≒ (221 ± 0.5) (4.3 ± 0.05)

= 950.3 (1 ± 0.00226 ± 0.0116 ±0.0000262...)

= 950.3 (1 ± 0.0139...)

相対誤差が< 0.0139となり計算結果の3桁目には誤差が含まれることがわかります

(答えに<1.39%の誤差が含まれていると考えてください)

つまり有効数字の桁数が小さい方はその次の桁に誤差を持つ可能性があり、計算結果ではその桁以降は信頼性を担保できません。

最後に

以上の話を読んで、もやもやが増した人。誤差を考えると、有効数字の枠組みで信頼性がある数値も怪しいのでは?などど考えた人。

あなたのもやもやは正しい!

有効数字は何もしないよりはマシという程度の科学的数値取扱方法です。本当にきっちり数値を取り扱う必要があるときは誤差を明確に提示して、きっちりと誤差を含めて計算する必要があります。

(ただしそこまできっちり計算をしないといけない分野は限られてきます)

一方で、世の中、なんでも隅から隅まできっちりすればいい、というものでもなく、どの程度の精度が必要か考えながらコストパフォマンスよく数値を取り扱う必要があります。

自分が何を目的として何を行うかによって臨機応変に必要十分条件を見極めましょう。

おまけ

教科書と異なり、現実社会では有効数字が明示されていません。

実際には取り扱いう器具や方法ごとに有効数字が隠れています。

ビーカー 100 ± 5 mL

メスシリンダー 100 ± 0.5 mL

メスフラスコ 100 ± 0.1 mL

ホールピペット 10 ± 0.05 mL

などなど。

メーカーや規格ごとに変わるので覚える必要は無いです。

基本的に容器の表面に書いてあります。

大切なのは自分が使用する器具・装置は予め誤差がどれくらいになるかを知っておき、目的に対して十分かを考えることです。


また、個数も教科書だけで勉強をするときによく間違えることです。

個数には通常、有効数字はありません。

ある意味、有効数字の桁が無限大と考えることもできます。

例えば3人という数字は3が真の値なので3.0000.....と考えることができます。

もちろん個数も多くなってアバウトになると有効数字が出てきますが。。。

おおよそ10個とかかれた場合は12個かもしれないし9個かもしれないので有効数字は1桁となります。