●鼻うがい(洗浄)について
・洗浄と感染予防
・保湿
・鼻づまり改善と止血効果
が期待出来る自宅で行う治療です。
ほとんど害がなく治療効果が強いため鼻の病気を持っているほとんどの人に適応になる優れた治療法です。
●これから始める方へ
鼻うがい専用の道具、洗浄剤があったほうが簡単です。
ドラッグストアやインターネット(Amazon・楽天市場などで購入することができます。
※手術を予定している人は医師に選択の相談をしてください。当科ではサイナス・リンス(NeilMed社)を勧めています。
※ 鼻洗浄に抵抗のある人にはミストスプレーを勧めています(NeilMed社)。生理食塩水圧縮スプレーです。
●洗浄方法
真水は刺激が強いですので下記の方法で洗浄して下さい。
・40℃前後のお湯(給湯器で普段使うお湯)と付属品を使用し調整する。説明書通りにでもよいです。他社製品の粉末製剤にはメントール、ミントなどの薬品を少量含んでいるものがあります。アレルギーのある方やアスピリン喘息の方は医師に確認してください。サイナス・リンスには重炭酸ナトリウムと塩のみが含まれます。
・自作するときは40℃のお湯1リットルに塩9g入れて調整(0.9%)するようにして下さい。少し塩気を感じるぐらいです。
・井戸水の方は煮沸後に使用してください。
●洗浄回数
症状のある慢性副鼻腔炎の方は1日1回以上。
鼻炎の方は症状がある時だけ洗浄するのが目安です。
※術後の方は医師の指示があるまで最低2回以上は続けてください。
●注意点
適切に行えば鼻洗浄に副作用はありませんが、ノーズピースを強く押し当てたりすることで鼻中隔に傷がついて変形したり、洗浄水で中耳炎を起こすことがあります。
洗浄後15分は強く鼻をかまないようにしましょう。
鼻から入れた水は反対の鼻穴、入れた同側の鼻穴、口、のいずれから出てきます。どこから出てきて大丈夫で、出ていく場所よりも、適切な温度、塩分濃度、痛くないように入れることが重要です。
洗った水が副鼻腔にたまり、しばらくしてから頭を動かした際にでてくることがありますが問題ありません。副鼻腔が花瓶のような構造をしており、ある角度以上になるとでてきますが、術後早期は無理にださないようにしてください。術後1ヶ月ぐらいは、鼻の中から赤黒い塊、糸のような繊維や綿、硬いプラスチックのような小片がでることがありますが心配はありません。
●術後の方へ
・術後約2週間は1日2回以上行い、2カ月間を目安に洗浄を続けます。終了時は医師の指示をもらってください.
・2ヶ月後も鼻うがいは自分の判断で続けて構いません。
・温かいお湯(42度程度)が止血効果、洗浄効果が高いです。
・温かいと鼻粘膜内の血液量が低下することで粘膜が収縮し、鼻の通りが良くなります。
・顎を引いて下をしっかりと向いて洗うと副鼻腔の創部に水が入りやすくなります。
・鼻中隔手術、鼻炎の手術だけの人は正面を向いた状態の方が汚れが出やすです。
・水がでていく先は、反対の鼻、口どこでも問題ありません。
・鼻かみを許可された方は、両鼻がふさがらないように注意してください。
・鼻中隔矯正術をされている人は、傷口、縫合糸が鼻の入り口付近にありますので指で強く触ったりしないでください。出血や変形の原因になります。
●術後の鼻の中について
・スポンジのような詰め物は翌日抜去が必要です。その他に水溶性、または吸収性の綿,ゼリーのような止血剤が入っている場合があります。
・喉にへばりついて違和感が強い時は追加で鼻うがいを行ってください。
・乾燥した状態は治りに好ましくない状態です。マスクをしたり、ガーゼを当てたりして乾燥しないようにしてください。
・1週間程は鼻づまりが強くなることが多いです。中の汚れや腫れが減ってくると通るようになります。
・味覚、嗅覚が鈍い感じも鼻の通りとともに改善していきます。
●術後出血時の対応について
術後2週間ぐらいは溜まった血液や止血剤の溶けたものが流れて鼻血のように感じます。かさぶたがはげると出血が少量、短時間みられることがあります。医師の処置が必要な事態は2- 3%程度の方に起こることがあります。
・鼻翼(鼻が膨らむ柔らかい部位)を親指と人差し指でつまみます。中には何も詰めません。
・横にならず坐位またはリクライニングした状態で15分抑え続けます。
・点鼻液を持っている人は出血している鼻の穴に数滴点鼻すると止血効果が期待できます。
・それでも止まりにくい場合は鼻洗浄を行ってください。
・少し熱めの洗浄水を使うのがポイントです。冷水だと逆効果です。
・これでも止まらない場合、喉への出血の流れ込みで溺れるような場合は早めに医師、看護師へ連絡してください。
●小児の鼻洗浄について
小児の鼻づまりや鼻水は、中耳炎や睡眠障害(無呼吸症候群など)の原因になり、大人よりも起こしやすいことがわかっています。耳鼻科での処置や薬の治療だけでは治りにくい子供も多いです。海外の小児副鼻腔炎の治療ガイドラインでは、抗菌薬より鼻うがいの方が有効で勧められているものもあります。
当科でも自宅での鼻吸引に加えて、鼻洗浄を勧めています。専用の鼻うがい機器以外でも、水を軽く押し出せる容器であればなんでも構いません(携帯用のシャンプー、リンスなど入れるボトル、シリンジなど)。
使用する洗浄水は市販のものでも自分で作成したものいずれでもかまいません(洗浄方法に記載しています)。
鼻がかめない子供は洗浄後に吸引が必要です。
動画でどういった感じになるかイメージをもっていたほうが安心ですので
Youtubeで「nose wash child」「子供 鼻うがい」などのキーワードで検索してみてください。
鼻水で塞がって息苦しそうな子供であれば年齢を問わず洗浄(その後吸引)する方が良いと思います。4歳ぐらいからは洗浄後の爽快感を覚えると自らすすんで洗えるようになります。最初は親がお手本になって一緒にはじめてください。