長い歴史の中でさまざまな時代の波に洗われて,現在の宮島が存在します.21世紀になり,来島者数は増加の一途をたどっていますが,人口減少や行政の広域化,財政縮小など,今後の宮島を取り巻く環境は大変厳しいものがあります.宮島の将来について,まずはこの先10年後,20年後を考え,どのような宮島にして行くべきかビジョンを提示する必要があります.また,宮島の問題は宮島だけに限らず,地元自治体やひいては日本全体の抱える問題でもあります.このような大きな視点にもとづいて,本法人は少しでも宮島の助けになるべく活動を行っています.
宮島はもともと観光地として有名であり,そこに訪れる人びとのための場としての性格がありました.世界遺産となりその性格がますます強くなっています.一方で,住民の生活の場であり,行政の地元サービスの場としての面も持ちあわせています.多くの人が利用することで,宮島の遺産に対する負荷が大きくなっています.
宮島に関わる人びとは宮島から大きな恩恵を受けていますが,宮島をどのように守り,何を発信していけるのか,現在あるリソースとしての宮島を上手く活用する術が求められています.また,世界が憧れる場所に関われる私たちは,その恵まれた環境に置かれたことに感謝しながら私利私欲抜きで,次の世代や世界に対して宮島を伝える義務があります.