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【ポイント】
*攻撃者と検出者間の競争を分析するゼロサムゲームモデルを提案
*仮説検定理論を活用し,攻撃検出の最適戦略と最も隠密な攻撃戦略を明確化
*攻撃成功率と検出失敗率を定量化し,新たな理論的知見を提供
【概要】
電気通信大学i-パワードエネルギー・システム研究センターの田中崇資客員准教授(The University of Texas at Austin),澤田賢治准教授,情報学専攻の岩本貢教授,渡邉洋平准教授は,自律移動車両の安全性に関する新たな分析手法を提案しました.この研究は,隠密な誤誘導攻撃とその検出に焦点を当てた連続時間における仮説検定ゲームを初めて理論的に確立したもので,2024年12月にIEEE Control Systems Lettersに採択されました.
【手法】
本研究では、連続時間動力学に基づくゼロサムゲームモデルを提案しました。このモデルにより、攻撃者の「最も隠密な攻撃」と検出者の「最も効果的な検出」の戦略を理論的に明らかにし、これらがゲームの鞍点を形成することを示しました。仮説検定ゲームを用い、攻撃成功率と検出失敗率をベースにゼロサムゲームを定義しました。これにより、攻撃者と検出者の最適戦略を導き出しました。
【成果】
新たな仮説検定モデルの提案
攻撃者が車両を隠密に誤誘導する一方、検出者がこれを検知しようとする競争をゼロサムゲームとして定式化しました。
攻撃成功率と検出失敗率の定量化
攻撃成功率と検出失敗率を数式で定義し、検出精度と攻撃隠密性のトレードオフを理論的に解析しました。
社会的意義
本研究は、サイバー物理システムにおけるセキュリティ向上に寄与するものであり、スマートシステムや自律走行技術の安全設計において重要な基盤を提供します。
【今後の期待】
このモデルは、より複雑な多次元システムや非線形システムへの応用が期待されており、サイバーセキュリティ分野での実践的な利用が見込まれます。
(論文情報)
論文タイトル: "Covert Vehicle Misguidance and Its Detection: A Hypothesis Testing Game over Continuous-Time Dynamics"
掲載誌: IEEE Control Systems Letters
採択日: 2024年12月
DOI: 10.1109/LCSYS.2024.3511398
(外部資金情報)
本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)「基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出」領域で採択された「AI駆動型サイバーフィジカルシステムのセキュリティ評価・対策基盤(代表:森達哉(早稲田大学))」により支援を受けました。
【連絡先】
<研究内容に関すること>
電気通信大学 i-パワードエネルギー・システム研究センター
【職名】准教授
【氏名】澤田 賢治
E-Mail:knj.sawada[at]uec.ac.jp
https://sites.google.com/view/iperc-sawada-lab