2025年4月より大阪大学に着任しました.現在,HP情報を更新中です.
研究室名である「機械情報システム制御学領域」の英語名は「Mechanical Informatics and Systems Control Subarea」であり,略称名を MISC Lab としています.一般に,MISCという単語には,その他,種々雑多な(ものから成る)もの,寄せ集め,などの意味があります.我々の研究室はMISCを「多様な事柄・事象」や「既存のカテゴリーに当てはまらないもの」として捉え,そういったものから制御の本質を取り出し,新たな機械システムの革新を生み出すことを目指しています.
当研究室では,機械工学・情報科学・制御工学を融合した学際的アプローチにより,新たなシステム設計の地平を切り拓く事を目的としています.機械システムを取り巻く多様な事象(MISC)に対して,情報通信,最適化,生物模倣,自律分散論,AIなどの多角的視点からアプローチし,制御の本質を抽出して,革新的な機械システムの創出を追究します.モビリティ(自動運転や航空機),自律分散ロボット,生物模倣ロボット,人工筋ロボット,IoTセキュリティ,エネルギー活用といった社会インフラ課題の解決から,制御システムの力学的特性,情報的特性,および場との相互作用を活かした,制御系の新たな設計原理解明および制御理論構築を研究します.
澤田自身の研究の柱は,数学モデルに基づく制御工学,様々なコトを効率化する数理最適化技術,そして多数のステーションが協調して動く自律分散システムです.また,産業応用では,ソフトウェアのバグ検出,生産計画最適化,自動車の各種制御,情報家電の制御などをおこなってきました.その経験から,理論研究,応用研究,そして理論と応用を連携させた研究の指導が可能です.また,重要インフラの制御システムに対するモデルベースセキュリティ技術の開発に携わっている国内有数の研究者でもあります.
研究テーマは,制御工学,数理最適化,自律分散制御がカバーする,携帯電話,家電製品,自動車,産業用ロボット,発電所等,身近なものから重要施設まで多岐にわたります.各研究の詳細はリンク先にあります.
JST CRESTのS5基盤ソフト領域の「AI駆動型サイバーフィジカルシステムのセキュリティ評価・対策基盤(代表:森達哉教授,早稲田大学)」に主たる共同研究者として参画し,「自動運転車両の制御セキュリティ基盤技術」の開発に従事しています.
高校生向けのII類紹介動画です.一部で当研究室の研究が移っています.
コントローラホワイトリストの外部向け紹介動画です.
高校生向けのII類研究室紹介動画です.
澤田の研究の最大主要テーマになっています(所属研究センターにおける澤田のタスク).ネットワーク情報を使わない攻撃検出機能を実現したモデルベース縮退運転システムを起点に,様々な制御システムのためのセキュリティ機能を研究しています.ハードウェアやソフトウェアを更新せずに産業用コントローラにセキュリティ機能を実装できる「ラダー型ホワイトリスト」は当研究室のオリジナリティであり,関連技術の社会実装に努めています.
モデルベース縮退運転システム
第三者監視装置
状態推定型ホワイトリスト
コントローラホワイトリスト(ラダー型ホワイトリスト)
このテーマは企業との共同研究から始まりました.現在,澤田の主要テーマ(所属研究センターのテーマ)になっています.現在,サイバー攻撃・災害・故障下など継続的運用が困難な中でのエネルギー・エコシステムの運用方法や回復方法の研究に従事しています.最適運用の考え方はAGVの最適化で培ったものです.エアコンの省エネ化に利用した学習アルゴリズムは制御システムセキュリティで利用しています.
環境自動学習アルゴリズムによるエアコンの省エネ化
家電連携アルゴリズム
耐故障性を考慮した蓄電池の最適運用
自律分散型エネルギーシステム
Cyber Physical Human System (CPHS)
AGVの最適化からの派生研究であり,かつ,学生の興味から始まったテーマです.同一機能を有する個体が情報場を介して様々な機能を発現する「自律分散システム」が基礎です.情報場をどのように実現するか,情報場にアップロードする情報量によってどんな機能を発現できるか,などを研究しています.ここで得られた知見は自律分散型エネルギーシステムの研究で利用しています.
役割切替を有するスワームロボット
自律協調型迷路探索アルゴリズム
ネットワークの流量評価
自動車技術は企業との共同研究テーマが多いです.油圧システムの機械的特性を制御工学のルーリエ系の安定性解析(澤田の博士論文に関連)から特徴付けた研究(山藤,山本,澤田,2017)は論文賞を頂いたりしました.それ以外の課題では,AIブームを意識しているわけではないのですが,機械学習のテクニックを結構使っています.
ジャダー抑制制御
油圧システム解析
モデルベース開発のためのモデル検証技術
機械要素諸元の多目的最適化
Cyber Physical Human System (CPHS)
受賞経験の一番多い研究テーマです.この研究も企業との共同研究から始まりました.オペレーションズリサーチで数多く研究されていたAGVの搬送最適化問題を制御問題に書き下したことを評価して頂いているようです.このテーマで研究した「経路選択プロセスや搬送タスクの状態遷移のモデル化方法」が後にエネルギーシステムの最適運用や制御システムセキュリティの研究に大きく役立っています.
有限整定制御
モデル化
合流部の流量最適化
タスク割り当てと経路計画の最適化
モデル予測制御による高速スケジューリング
澤田の博士論文テーマは入力飽和システムの制御です.制御問題の統一的解法を数値最適化に帰着するのが澤田の研究のオリジンと言えます.「数値最適化に関連した数学的証明」を含む研究は量子化制御で一端区切りが付いたと考え,現在は毛色がちょっと違う離散事象システムや事象駆動型制御に興味が向いています.また,制御問題の数値最適化の考え方は制御システムセキュリティでも活用しています.
入力飽和システムの制御
離散値システムの最適制御(量子化制御)
ハイブリットシステムの制御
事象駆動型制御
離散事象システム