Mission:ドローン観測で大気境界層の日変化を捉えよう
近年ドローンを用いた気象観測に期待が高まっています。ドローンを用いた観測の利点の一つには、遠隔操作により狙った地点・高度について高頻度観測ができるという点があります。
このような高頻度観測ができるという利点を活かし、本年の観測企画では大気境界層の日変化を見ていきたいと思います。大気境界層は一般に、地表面からの影響を受ける高度1~2 kmまでの層であり、それより上空を自由大気と呼びます。晴天日の場合、大気境界層では夜間に安定境界層が発達し、日の出を過ぎると対流混合層が発達することが知られています(図)。
図:小倉(2016)より引用
しかしながら、この大気境界層の日変化は地形や放射の影響をはじめ、様々な要因によって左右されます。
今年の会場がある三重県鈴鹿市は、伊勢湾と鈴鹿山脈の間に位置します。山と海に挟まれたこの地域では、どのような境界層の発達が見られるのでしょうか?ドローン観測により、三重県鈴鹿市の大気境界層の日変化を探っていきたいと思います!
ドローンに観測機器を取り付け、地上から高度900 m付近までの気象要素の観測を1日目正午より3時間ごと(12時・15時・18時・21時の4回)、2日目の夜明けから正午まで1時間ごと(5時〜12時の8回)の合計12回の観測を行います。(参加者は3~4交代制で一人2~3回の観測に参加していただく予定です)
観測結果を用いて、温位や相対湿度のプロファイルから混合層発達の解析をします。また、先行研究との比較から地形や総観場による影響の考察を行います。
閉会式にて観測結果の発表を行います。
※本観測企画は名古屋大学宇宙地球環境研究所飛翔体観測推進センターの高橋暢宏教授、菊地亮太特任准教授のご協力・ご助言のもと、二等無人航空機操縦士の学生による操縦で実施予定となっております。また、関西空港事務所・大阪航空局・三重県への申請・認可の上実施を予定しております。