model2013 "Hebel" 設計解説 / ギャラリー
model2013 "Hebel" 設計解説 / ギャラリー
豊田高専を卒業後、社会人チームOP-AmPに参加することを決め、大学院に入学するまでの休み中に一気に設計したOP-AmPでの初設計ロボット。
当時は学生無料で使えたInventorを使用して設計。
基本的にはOP-AmPが作り上げてきたコンセプトを守り、部品を流用しつつ全体的にブラッシュアップしています。
これまで設計してきたロボットはアルミを全面的に使用していたのに対し、インサートナット+POM部品を多用し、適材適所でスマートな設計に生まれ変わっています。
特に世界初の斜め方向に打ち出せるキックデバイスを実用レベルまで完成させたことが評価され、JapanOpen2013にて日本ロボット学会賞を頂きました。
Hebelの名前の由来となった頭の天板が開く機能。
天板が蝶番で繋がっていて、磁石で閉じます。
バッテリー交換や基板の簡単なメンテナンス、メインボードの書き換えなど、今まではカバーを外して作業する必要がありましたが、この頭パカパカ機能により手軽にアクセスできるようになりました。
設計中はいろいろなカバーの開き方を検討していました。
個人的にはこの画像のようなパターンにも挑戦してみたいと考えています。
当時、Skypeでやり取りしていたアイデアスケッチの数々。こんなもんです。
Hebelには、ロボットの側面上部にインジゲータランプが付いています。
天板の中央にインジゲータ基板があり、アクリルでLEDから導光しています。
ボールセンサの反応状況、キックイネーブル信号、ソレノイドの充電回路状況、バッテリー状況、などの情報をLEDの色で表示します。
ロボット上部の両側面に設けることで、概ねフィールドのどんな角度からでも、ロボットの状況を確認できるというスグレモノでしたが、最大の欠点はチームメンバーがLEDの色や配置の意味を覚えられなかったことです笑。
後継機からは、双方向通信が可能になり、PC上でロボット状態を確認できるようになったためこの機能はオミットされることになりました。
設計にはAutodesk Inventorを使用。
Solidworksの次に使ってみたCADでしたが特に操作で悩むこともなくスムーズに移行できました。
引いて蹴り上げる方式のチップキックデバイス。
はめ込みを多用して接合部に直接負担をかけないようにすることで、ゴルフボールを4m先まで蹴り上げる衝撃でも曲がらないように工夫しています。
PULL型の自作ソレノイド。非常にコンパクトで巻線が美しいです。
引くトリガーはピアノ線です。
こちらは打ち出し式のストレートキックデバイス。
コイルは同じ設計にして、チップキックデバイスと共通化しています。
この頃は鉄心も旋盤で削り出しており、加工できる設備や人を探すのが大変でした。
OP-AmPが誇る当時世界で唯一の斜めキックデバイス。その2号機になります。
サーボモータで±20度に任意可動できます。
4輪のオムニホイール+ブラシレスモータ+特大のコンデンサ、チップキックデバイス、そして斜めキックデバイスと可動域、
全部をパズルのように組み合わせて直径18cmに収めることが設計の難しさで、醍醐味でもあります。
2013年、世界で初めて斜めキックデバイスが大会で実戦投入、公開され、国内中のチームの注目の的となりました。
この機構と実用が評価され、2013年は日本ロボット学会賞を頂きました。
大会中の作業机の雑多な感じが好きです。慌ただしさと楽しさが混在しています。
2013~2016年までマイナーバージョンアップと量産を繰り返して使用。
歴戦のボロボロ感です。