現代では、万能チューリング機械が具現されたノイマン型コンピューター上でプログラム可能ならば、実行時の応答が知的に見える情報処理系のすべてを人工知能と呼んでかまいません。
ただし、ナノ技術やバイオ技術によりコンピューターが人工生命化した未来において、人工的につくられた脳に意識が宿るかどうか、また人工的に脳をつくってよいか、は別の問題です。
エキスパートシステムに代表されるルールベース型の人工知能は制御可能であり、新しいスキームを創り出しつつ内観法によるルール化を通じて研究を進める一方、同じく内観法によるルール化を通じて開発を進めます。ルールを注意深く定める必要があるので敷居が高く、研究開発の困難さから逃れようとして矛盾するルールを安易に定めかねないリスクや、本来は効果的にルール化できるはずなのに記憶学習へ逃れるといった研究上のリスクはありますが、逆にいえば、質を問わない限り誰でもエキスパートシステムのようなものの開発が楽しめるという意味での持続的研究は可能であり、精神衛生上有利です。ただし、アドホック (行き当たりばったり) なやり方の開発は論文化に適しません。
深層学習に代表される記憶学習型の人工知能は、学習機械を効果的に利用する方法を見出しつつ開発を進める一方、研究は学習機械の効果的な利用方法を見出すとや新たな学習スキームを創り出すことにあります。事例を与えるだけで学習されるので開発時の敷居が低く見える反面、本来は自動化の研究が目的であったはずなのに研究の自動化が目的になってしまいかねないという研究上のリスクがあります。逆にいえば、ある限定されたクラスの問題に対し学習機械が常に制御可能となるような効果的利用方法を見出すことや、制御可能な学習機械を見出すこと自体が、研究課題となりえます。いずれも高難度であり、誰にでもできるというものではありません。
> Information Theory における Self-Organization (自己組織化)、Robotics と Computer Vision における Application of Self-Organization (自己組織化の応用)、Other AI における Neural Network および Theses 参照