卒業研究

このページは福岡工業大学情報工学部情報通信工学科4年次必修科目(通年)「卒業研究(工藤研究室)のサポートページです。授業計画, 成績評価方法等はシラバスを参照してください。

2024年度

概要

研究室紹介資料 (pdf)

研究テーマ本研究室では現代の情報社会で欠かせない情報通信技術の一つである公開鍵暗号について, 数学的側面からの研究 (安全性解析など), および実装 (プログラミング) アプリケーションの開発等を行います. 公開鍵暗号の中でも特に, 耐量子計算機暗号 (ポスト量子暗号) を扱います. 耐量子計算機暗号とは, 量子計算機が将来的に完成・普及しても安全に運用可能と期待できる, 次世代暗号の総称です (詳細は研究室紹介資料を参照). 耐量子計算機暗号には幾つか種類があり, 本研究室ではそのうち (A) 格子暗号(B) 多変数多項式暗号の研究に取り組みます.

全体的なスケジュール:仮配属が決まった3年次後期から, 卒業研究に向けた準備として, 1・2年次に学んだ数学の復習に取り組みます. 無事に4年に進級したら, その年の4~7月にかけて主に教員による講義形式でのゼミを行い, 専門知識を深めます. 同時にプログラミング実習 (Python または C)を行い, 数学アルゴリズムに関するプログラミングスキルを高めます. その後, 7月末には具体的な研究課題を学生自身で設定し, 8~11月にかけて課題解決のための研究に取り組み, 12~1月で卒業論文を執筆した後, 2月の卒業研究発表会および論文審査で合格となれば, 3月に無事卒業となります.

ゼミの進め方:
・学生は (A) 格子暗号(B) 多変数多項式暗号のグループに分かれます (後で変更も可).
・前期は週3時限 (1時限=90分) ゼミを行います. うち1時限は全員参加の定例ゼミで, 前半6回は教員による講義形式, 後半9回は学生による発表形式で行います. 残り2時限分は隔週で格子暗号, 多変数多項式暗号についてのゼミを行います. 2時限のうち前半1時限は教員による講義形式で全員参加です. 後半1時限はプログラミング実習であり, 該当するグループのみ参加となります.
・ 後期も毎週ゼミを行う予定ですが, 前期と異なり学生による研究の進捗報告を行います.

研究課題の事例:
(1)  高速実装, アプリケーション
・CやPythonほか, 様々な言語でのプログラミングや, 暗号の実装比較
・マイコンなどへのハードウェア実装
・暗号搭載ICカードの作成
・認証 WEB システムの開発・提案
・物理攻撃(電力解析、レーザー等), など
(2) 暗号の数理的側面
・安全性解析
・攻撃アルゴリズムの高速化
・暗号の数学的特徴付け
・脆弱なパラメータの特定
・暗号で用いる数学アルゴリズムの改良・解析, など

配属人数:9名 (男子6名, 女子3名)

前期・定例ゼミ (毎週水曜2限, 全員参加)
第1~6回は教員による講義・演習形式
第7回以降は学生による発表 : 教科書 "図解即戦力 暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書" (光成滋生 著, 技術評論社, 2021) について, 1人1章分を担当しその内容のまとめをパワーポイントでプレゼンする.
第1回 (4/10) "集合, 同値関係, 商集合" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第2回 (4/17) "二項演算, 群・環・体, 剰余環と有限体" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第3回 (4/24) "一変数多項式環" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第4回 (5/1) "多項式版 Euclid 互除法とその実装" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
5回 (5/8) "多項式版拡張 Euclid 互除法とその実装, 一変数多項式環の剰余環" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
6回 (5/15) "電子署名の仕組み, RSA署名" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第7回 (5/22) "1章  暗号の基礎知識"
第8回 (5/29) "2章 アルゴリズムと安全性"
9回 (6/5) "3章 共通鍵暗号"
10回 (6/12) "4章 公開鍵暗号"
11回 (6/19) "5章  認証"
12回 (6/26) "6章 公開鍵基盤"
13回 (7/3) "7章 TLS"
14回 (7/10) "8章 ネットワークセキュリティ"
15回 (7/17) "9章 高機能な暗号技術"

前期・格子暗号ゼミ (隔週木曜4・5限)
4限は教員による講義・演習形式 (全員参加)
・5限はプログラミング実習 (格子暗号グループのみ) ※ 言語は Python
第1回 (4/11) "線形代数の復習, 整数行列と合同式" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
2回 (4/24) "LWE 暗号 (Regev 方式)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
3回 (5/9) "NTRU 暗号 (鍵生成)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第4回 (5/30) "NTRU 暗号 (暗号化, 復号)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第5回 (6/20) "Ring-LWE 暗号 (Crystals-Kyber 方式)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第6回 (7/4) "Ring-LWE 暗号 (Crystals-Kyber 方式)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第7回 (7/18) 研究倫理に関すること, 研究課題決め

前期・多変数多項式暗号ゼミ (隔週木曜4・5限)
・4限は教員による講義・演習形式 (全員参加)
・5限はプログラミング実習 (多変数多項式暗号グループのみ) ※ 言語は Python
第1回 (4/18) "2次多項式の行列表現" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第2回 (5/2) "Gauss 消去法" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第3回 (5/23) "UOV 署名 (1)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第4回 (6/13) "UOV 署名 (2)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第5回 (6/27) "QR-UOV 署名 (1)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第6回 (7/11) "QR-UOV 署名 (2)" : 講義資料 (pdf), 演習問題 (pdf), 解答例 (pdf)
第7回 (7/18) 研究倫理に関すること, 研究課題決め

※ 講義資料や演習問題の記載内容に誤りがありましたら, 工藤までメールでご一報いただけますと幸いです.