主な研究内容

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ふゆみずたんぼハクチョウ

イネ害虫:アカスジカスミカメ

環境変動下における持続可能な農業生産確立のための研究

 農地やそれを取り巻くランドスケープの生態系機能を活用する新しい農法を提案するため、水田生態系を対象にイネの害虫斑点米カメムシ類とその土着天敵であるクモ類に注目し、環境保全型水田におけるクモ類の斑点米被害抑制効果の評価(Kobayashi et al. 2011, Takada et al. 2013等)や斑点米カメムシ類が発生源(牧草地や耕作放棄地)から水田に侵入して被害をもたらすまでの生態プロセスの解明(Takada et al. 2013, Yoshioka et al. 2014等)、そして農水省東北農政局が所蔵する病害虫発生予察データを使った温暖化と土地利用変化が斑点米カメムシ類の急激な分布拡大をもたらした可能性の検証等の研究を行っています(Osawa et al. 2018, Yamasaki et al. 2021等)。

 気候変動や土地利用の変化、農法等が害虫を中心とした水田食物網構造に与える影響を明らかにし、様々な環境の変化に伴い害虫被害リスクや土着天敵による被害抑制効果の大きさが圃場・ランドスケープ・地方・全国の異なる空間スケールでどのような変化するかを空間統計学や生態学的モデルを使って説明・予測することを目指しています。

▲ 秦彩夏氏提供

急増する野生動物の被害防止と共生のための研究

 近年、多くの野生動物が絶滅の危機に瀕している一方、一部の野生動物が増えすぎて人間の経済活動や地域の人々の安全な暮らしを脅かし生態系を改変するなどの問題を引き起こしています。

 本研究室では、人間との軋轢が深刻化している野生動物の管理問題の解決のため、ニホンジカ、エゾヒグマ、アカギツネ、アライグマ等を対象に、農業被害や人身事故等の軋轢が生じやすい場所の空間特性の解明(西尾ら 2013, 大熊ら 2017等)や各動物種の管理を計画するにあたって重要な空間スケールの特定(Hata et al. 2017, Hata et al. 2021等)、大型動物が森林生態系の動植物に与える影響の解明(Takada et al. 2002, Minoshima et al. 2013等)等の研究を行っています。

自動撮影カメラを用いた園芸植物ハス花と訪花昆虫との関係の解明

 花を咲かせる植物の多くは、昆虫や鳥などの動物に花粉を運んでもらい受粉・結実します。地球上の多くの顕花植物が動物に花粉を運んでもらいますが、その送粉者の多くは動きが素早く小さな昆虫類です。こうした花と昆虫との共進化のしくみを明らかにするために、これまで多くの研究が行われてきました。本研究室では園芸植物ハスを対象に、花と昆虫との関係を明らかにするための新たなモニタリングシステムの開発や(Nagai et al. 2022)、ハスがもつ極めて特殊な花の「発熱・恒温性」という機能と訪花昆虫との関係を解明する研究を行っています。

最近はじめた研究課題

・都市の公園・緑地における生態系サービス・ディスサービスの評価

・コウノトリ市民科学データを活用したコウノトリの社会行動の検討

※順次成果をアップします