私たちは,AIをただの道具として利用するのではなく,「なぜうまくいかないのか」を問い,「どうすればより良くできるのか」を探求する研究に挑戦しています.既存手法の問題点を見抜き,新しいアプローチで解決する経験を通じて,AIの理論を本質から学び,将来につながる研究力を育んでほしいと願っています.
AIによる病変の自動検出は,医師の診断を支援し,診断精度や効率を大きく高める可能性を秘めています.人間の目では見落とされがちな微細な異常を捉え,定量的かつ客観的に提示することで,より正確で迅速な診断を実現することが期待されます.
AIによる病変の自動鑑別は,医師の診断を補完し,治療方針の迅速かつ的確な決定を可能にする革新的な技術です.画像に基づき病変の良悪性や種類を高精度に識別することで,診断の客観性と再現性を高め,患者に最適な医療の提供につながります.
AIによる過去と現在の医用画像の位置合わせは,時間の経過に伴う病変や臓器の変化を高精度に追跡できる革新的な技術です.従来は手作業や複雑なアルゴリズムを必要としていた処理を自動化することで,治療効果の定量的評価や早期再発の検出がより確実かつ迅速に行えるようになります.
AIによる画像の高解像度化・高画質化は,医用画像診断の信頼性と精度を大きく向上させる技術です.低線量撮影や短時間撮影によって得られた画質の低い画像をAIが改善することで,より鮮明で詳細な情報を引き出し,診断の質を高めることが可能となります.被ばく低減や検査時間の短縮といった患者への負担軽減にもつながり,臨床現場での応用が強く期待されています.
AIによる画像の異常検知は,正常構造と異なるあらゆる病変を対象にできる汎用性の高い技術です.腫瘍や炎症,組織の変形など多様な異常を自動的に抽出し,人間の目では見落とされがちな微細な変化も検出可能です.これにより,早期発見や診断精度の向上が期待され,医療現場における幅広い応用が可能となります.
AIによる個別化医療支援は,患者一人ひとりの画像や臨床情報を解析し,最適な診断・治療方針を提示する革新的な技術です.画一的な診断基準にとどまらず,個々の病態や特徴に応じた精密な判断を可能にすることで,診療の質と安全性を大きく向上させます.
マルチモーダルAIは,画像・テキスト・臨床データなど異なる種類の情報を統合的に解析し,より高精度で包括的な診断支援を可能にする技術です.単一のデータでは見逃されがちな特徴を補い合い,診断の信頼性を高めるとともに,新しい知見の発見につながります.
Mixed Reality(複合現実)は,現実空間と仮想空間を融合させ,医療教育や診断・手術支援に新たな可能性をもたらす技術です.解剖構造や病変を立体的かつ直感的に可視化することで,医師や学生がより深く理解し,安全で精度の高い医療を実現するための有力な手段となります.
Innovation in Medical Imaging Research, Nakayama Lab (est. 2015)