岩座守鷹彦と深い因縁のある魔術師。
紛争地や発展途上国で、魔術を用いた慈善活動に取り組んでいた。
沖縄出身で日本人とアメリカ人のクォーター。両親が魔術師だったのだが、超常に対しては否定的。魔術もそのほとんどを両親から受け継ぐことなく、我流の魔術を使いこなしている。
同じように精神超越専門の魔術を扱う魔術師であるネオン・虚構・ハートレスとは過去に面識があった。
国連主導の平和維持組織ピースキーパーに所属。
業務は災害発生地域、戦地での避難民救助が主だった。
死に直面する機会も少なくなく、本能的に魔術を使い危機を脱することも多かった。そのため、同僚の熊野部夏樹という女性を助けるために力を使ったことで魔術師であることを知られ、以後は秘密を共有する仲となる。(通常の魔術師であれば忘却の魔術という記憶を抹消する魔術を使い証拠隠滅を行うが我流で魔術を使う雲雀はその術を知らなかった)
あるとき、逃げ遅れた女性のお腹に赤子がいることを知り、赤子だけでも助けようと精神超克を使う。
しかし、強制的に母体から取り出した子供に精神超克がどんな影響を与えるか未知数だったため、施設に預けず自分の手で育てることにする。
一部始終を見届けた熊野部夏樹は雲雀と結婚することを決め、二人で日本に帰り、難民の子供たちが安全に暮らすための施設を創設することにした。
戦災孤児救助などは少子高齢化が進む日本において政府も積極的な姿勢を示し、莫大な予算が与えられた。
しかし、国民はこれを受け入れられず一部で大きな反発が起こったことも。
ともあれ順調に運営は進み、数年が経過したある日、クレインに精神超克の反動とおぼしき力の発現が発生。それは連鎖的に施設の子供たちにまで広がっていった。
力の使い方のわからない、ましてや言語さえ怪しい子たちが得た超常の力は日に日に力を増し、施設の従業員のみならず雲雀朧さえも制御できない状況に陥った。
やがてクレインは一線を超える。
自分の母である雲雀夏樹(旧姓熊野部)を殺害。彼女は身ごもっていたがどちらも助かることはなかった。
雲雀朧はこれに絶望。クレインを手にかけようとしたが、そのタイミングで国内のとある魔術結社が介入を開始。
超常に目覚めた子供全員を抹殺。クレインも殺害された。
孤児院という組織そのものが元より存在しなかったことにされ、雲雀朧は全てを失った。
魔術結社は彼も処分する予定だったが逃亡され未遂に終わる。
やがて、全てを変えうる力を欲した雲雀は「境界の魔眼」の存在を知る。
全部なかったことに。そして、熊野部夏樹を生き返らせるため雲雀はどんな手を使ってでもその魔眼を入手する決意をする。
岩座守鷹彦。その家族を殺してまで魔眼を得て、死者の蘇生という悲願に動いた。
が、螺旋巴の介入があって岩座守鷹彦からは魔眼を奪い損ねたため、彼は数年にわたり地域に潜伏。
鷹彦の魔眼を奪取する機会と作戦を練っていた。
ついに決行に移った雲雀はその驚異的な力で螺旋巴を圧倒、殺害し、岩座守鷹彦に重傷を負わせる。
が、またもや異常を察知した螺旋紬希により天河七楽が参戦。
超常を全て無効化するというイレギュラーな異能使いの登場により作戦は失敗。
螺旋紬希を人質にして、鷹彦の身柄を要求した。
決戦は次の日。
天河七楽の超常無効化にも対策をし、戦闘に持ち込んだ。
人質は奪取されたものの、天河にはその能力を吸い上げ複製する泥状の使い魔を送り出し、無力化に成功。
あとは魔眼が共鳴状態になり脳の処理が追いついていない鷹彦から眼球を奪うだけだったが、またしてもイレギュラーが発生。
泥を打ち破り新たな力(?)に目覚めた天河に為す術もなく叩きのめされた。
戦いは終わり。岩座守と天河は雲雀の魔眼を潰し、力を奪ったあと、命だけは見逃した。
それは共鳴状態の魔眼が過去を視て、岩座守が同情したから。
花鳥琥珀の件もあり早々に引き上げた天河七楽ご一行を背に盲目になった雲雀は地べたを這って逃げ続ける。
が、その先で待っていたのは死んだはずの螺旋巴。
雲雀は彼から「死者の蘇生が絶対に不可能」であることを伝えられ、これまでの計画になんの意味もなかったことを知る。
死者の蘇生は絶対に不可。そう言う男は死から蘇った。
雲雀朧の最期は、そんな矛盾した存在に殺されるというものだった。
筋力・★★☆☆☆ 魔力・★★★☆☆ 魔力出力・★★★★☆ 耐久・★★★☆☆ 特殊・★★★☆☆
総合評価・★★★☆☆
雰囲気はやさぐれたサラリーマンのようで、身だしなみには気を遣っているものの、本人に覇気がない。
根暗な四十代……といった風で、機械的に物事をこなす。
二十代後半になってからは笑ったことがない。
対象の人間の欲望や在り方、それに伴った思想を極端化させ、強制的に精神超越させる魔術。対象の頭部に触れることで発動する。
その人の根源にある欲望を解放し、自らの倫理的抑制に打ち勝つという意味で「超克」という名をつけた。
人間から摘出した境界の魔眼を正方形の箱に集約させ、内部の概念を世界とはまったく違う理にしたもの。対螺旋巴の切り札。
章後半にて、領域外の箱に保存していた魔眼を自らの眼球として埋め込んだ状態。
二人分、計四つの眼球を顔に埋め込んだためその風貌は異端そのもの。
ステータスは大幅に増幅しているが脳への負荷が尋常ではなく、余命わずかだった。