論文掲載 (湊丈俊氏、野村康生氏)

湊丈俊氏が実証した新しいエネルギー変換の概念を、野村康生氏が制作した作品が、総説論文 (湊丈俊ら、有機電解液を用いたフッ化物イオンシャトル二次電池の開発、セラミックス、 54、637―641 (2019)) に掲載されました。

The artwork by Mr. Yasuo Nomura, which is based on the new concept of energy conversion demonstrated by Prof. Taketoshi Minato, is shown in an invited review of Ceramics Japan (Taketoshi Minato et al., Developments of Fluoride Shuttle Battery using Organic Electrolyte, Ceramics Japan, 54, 637-641 (2019)).

新しいエネルギー変換の概念から創られた野村康生氏の作品。金属フッ化物が脱フッ化反応し ながら金属化することでエネルギーが移動している。

The artwork by Mr. Yasuo Nomura based on the new concept of energy conversion. Energy transfer is proceeded by the defluorination from metal fluoride. Copyright © Yasuo NOMURA. All rights reserved.

掲載論文「有機電解液を用いたフッ化物イオンシャトル二次電池の開発」はこちら

以下、関係者のコメントです。


湊先生より初めに「従来の挿絵ではなく、アーティストの視点が入ったものを求めていま す。」というお話をいただきました。初めて見る orthorhombic のフッ化ビスマス(III)の特殊 な結晶構造は思いもよらないものでした。ここにこそ現在主流のリチウムイオン電池材料の平 面的な構造よりも活発な反応を生み出す秘密がある!と直感し、発想を膨らませました。あら ためて自然には人智を超える偉大さがあると実感する良い機会となりました。

(野村康生)


我々が開発している新しいエネルギー変換方法の概念を野村さんに表現して頂きました。佐近 さんにも制作にご協力頂きました。作品では固体の結晶構造が使われていますが、制作打ち合 わせで結晶構造の話になった時に野村さんのスイッチが入り、我々が共感できた瞬間を感じま した。エネルギーが発生する瞬間の躍動感と、量子的な法則に従って進行する化学反応が持つ 従容たる振る舞いが精巧に表現されています。

(湊丈俊)


科学と芸術はともに、知覚や外観の奥に潜む本質を探るための手段ではないでしょうか。今回 のプロジェクトでは、湊さんらが科学的方法により明らかにした現象を、野村さんも芸術家で ある彼の方法によってこのような絵画作品として顕在化しました。ここでは科学者と芸術家が 同じ現象に眼差しを向けています。そのふたつの眼差しは、科学者であり芸術家であった偉大 な人物の視線のようでもあります。ダ・ヴィンチの両眼なんていう言葉がふと思い浮かびまし た。このプロジェクトをとおして、野村さん、そして湊さんらに閃きや混乱、内的な変化がお こるのか興味は尽きません。

(佐近利幸)