学長選考会議に関わる公開質問状

2020年9月15日

国立大学法人筑波大学
学長選考会議 御中

筑波大学教職員組合つくば


公開質問状

令和2年4月1日に、学長選考会議議長から「教職員の皆様」を宛名とした文書「新たな学長候補者の選考方法等について」が教職員専用サイトに掲載されました。そこでは、1)「学長選考会議としては意向調査投票は行わず」、2)「学長の通算任期や再任回数に関する上限は設けない」、という二つの規則改正を行った旨の通知がされていました。

平成18年の「学長の任期及び選考方法」の審議の際には、学長選考会議が「学内周知」を行い、さらに本学教員が質問書や要望書を提出する機会が設けられましたが、上記の通知に関してはそれが行われていません。審議の透明性という見地から、私たちはこのことに懸念を持っています。

この認識にたち、公開質問状の形式にて以下の4点の質問を提示しますので、ご回答をお願いいたします。

質問1 2016年と2018年に議長の「選出(互選)」はあったのか

学長選考会議の「議事録」には、「第19回学長選考会議(2014.01.28)」以降、「議長の選出」が行われたことを示す記述が見られません。「議長の選出」は、規則に基づいて適正に行われたのでしょうか。国立大学法人筑波大学規則第1号第26条第5項には「学長選考会議に議長を置き、第2項の委員の互選により選出する」とあります。「学外委員」の任期は2年であることから、法人化以降第19回学長選考会議(2014年)までは、2年ごとに「議長の選出」が行われてきました。2016年および2018年に、河田悌一議長が同会議で「互選により選出」されたのかどうか、もし「互選により選出」されたのであればその経緯、ならびにそれが議事録に記載されなかった理由をご説明ください。申し添えるまでもなく、適正手続により議長が選出されていることは、「学長の任期のあり方」にかかる同議会の決定の正当性の根拠ともなります。また、学長選考会議の議事録を見ると、(1)議長が「学長の任期のあり方についての検討」などの議題を提案し、委員が審議する形になっている、(2)学長の業績評価など、重要書類が議長一任で作成されているものもある、など議長の役割が極めて重要であり、議長が法人規則に則り、適正手続により選出されることは、同会議の正当性の極めて重要な根拠となります。

質問2 2016年以降「議事次第」から議長選出が消えた理由

2016年以降、本学の「議事次第」から議長選出が消えた理由をご説明ください。

東京大学(総長選考会議)、京都大学(総長選考会議)、千葉大学(学長選考会議)、金沢大学(学長選考会議)、広島大学(学長選考会議)等の国立大学では、2年ごとに、その議事次第に「議長選出(あるいは互選)」が記載されています。

質問3 意向調査投票廃止の「根拠」について

学長選考会議の文書「新たな学長候補者の選考方法等について」は、今回の規則改正の根拠として「平成27年(2015)4月1日に施行された改正国立大学法人法の施行通知において」示された「考え方」を挙げています。学長選考会議の文書によれば、「学内の投票結果をそのまま学長選考会議の選考結果に反映させる、過度に学内の意見に偏るような選考方法は、学長選考会議の主体的な選考という観点から適切なものとは言えない」という「考え方」です。しかし、改正国立大学法人法の施行通知の原文では「選考の過程で教職員による、いわゆる意向投票を行うことは禁止されるものではないが」とあります。学長選考会議として意向調査投票を廃止した決定の根拠をご説明ください。

*改正国立大学法の施行通知より抜粋:

「選考の過程で教職員による,いわゆる意向投票を行うことは禁止されるものではないが,その場合も,投票結果をそのまま学長等選考会議の選考結果に反映させるなど,過度に学内又は機構内の意見に偏るような選考方法は,学内又は機構内のほか社会の意見を学長又は機構長の選考に反映させる仕組みとして設けられた学長等選考会議の主体的な選考という観点からは適切でないこと。」

質問4「学長選考会議の主体的な選考」の定義

根拠として示された「考え方」(上記)では、さらに改正国立大学法人法の施行通知の原文から「学内又は機構内のほか社会の意見を学長又は機構長の選考に反映させる仕組みとして設けられた学長等選考会議の主体的な選考」の下線部の箇所が削除されています。求められているのは、教職員だけではなく社会の意見、すべてのステークホルダーの意見を「選考に反映される仕組み」として学長選考会議を機能させることではないでしょうか。それを反映した大学運営・学長選考を保障するシステムを主体的に作ることが学長選考会議の最も重要な課題だと考えますが、この点について学長選考会議の見解をお示しください。