(1)はじめに
留学生個人チューター説明会 第2部です。ここでは、個人チューターとして、初めて活動する方に向けた情報をお伝えします。
個人チューター制度、活動内容を紹介したあと、毎月の活動報告の提出、心構えや注意点を紹介します。
この説明会は、『チューターガイドブック』とリンクする形で構成されています。ここから、最新号をダウンロードして参照してください。
(2)個人チューター制度
皆さんの中には、指導教員から「留学生のチューターしてみない?」と声をかけられたけど、まだ何をするのかよくわかっていない...という方も多いかもしれません。
まず、個人チューターは謝金が支払われる大学内業務の一つです。活動期間は一学期、学期中の活動時間上限は30時間、時給は1150円です。つまり、一学期3.4万円を上限に謝金が支払われる活動です。(2025年4月より、時給が1000から1150円に増額されました)
業務としては、入学・進学後まもない外国人留学生に対して、学習・生活のサポートを行います。学習面では授業や研究の補助、日本語支援など、生活面では鹿児島到着後の手続き支援などが含まれます。
(3)個人チューター制度
留学生の到着後、学期はじめが一番忙しくなることが多いです。
対面で留学生と一緒に作業をする事が重要なため、この時期に就活や教育実習、帰省等で鹿児島から離れる事の多い方は支援が難しい場合があります。該当する方は、交代も視野に指導教員と相談してください。
また、チューター活動は学内業務の一つでありながら、学生同士の交流・ボランティアの側面もあります。活動を通して、普通なら出会う事のない留学生と知り合いになり、友人として交流が深まることは珍しくありません。しかし、支援を含む個人的交流や、数十分程度の短時間活動、交通費などは勤務時間に反映できません。それらも考慮して、チューターの時給は1150円と他の学内業務に比べて高く設定されています。
最後に、担当する留学生によって支援内容が異なりますので、活動開始時に本人と相談しておくことが重要です。同じ「外国人留学生」であっても、「在籍区分」が違うと、鹿児島大学でしたい事は大きく異なってきます。
(4)鹿児島大学の留学生
では、鹿児島大学にはどんな外国人留学生がいるのでしょうか?
まず出身国・地域別にみると、中国、韓国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュと、8割以上がアジアからの留学生です。
次に「在籍区分」をみると、鹿大で学位を取るかどうかで「正規生」と「非正規生」に分かれます。どちらも、学部生と大学院生がいます。正規生は入試を経て入学し、卒業・学位取得を目指します。非正規生は一時的に鹿大へ留学する学生です。例えば交換留学生は、留学期間が終われば自国の大学に戻る非正規生です。ちなみに、本学の在籍区分に交換留学生はなく、正式には「特別聴講学生」または「特別研究学生」になります。
図2を見ると、正規生が半数以上、中でも大学院生が多い事がわかります。チューター活動は、正規生には主に勉学面の支援、非正規生には生活面の支援に比重が置かれるケースが多いです。
次に「奨学金」の有無から見た区分、呼び方です。国費留学生は、日本の文部科学省から奨学金をもらっている留学生で、図3の通り非常に少数です。留学生支援に関わっていると、「国費のバングラデシュ人大学院生が...」「フランス人交換留学生(特別聴講学生)の...」といった言い方をする事がありますので、担当留学生の情報を、指導教員または学部の担当事務に確認しておいてください。
(5)チューター活動内容・例
留学生個人チューターの主な活動は、勉学と生活の支援です。一般的に、到着直後は生活支援、学期中は勉学支援が中心になるでしょう。
留学生の中には、鹿大滞在中に研究生から大学院生に進学する等、在籍区分が変わる人もいます。また、学部1年生だと、入学直後は何を支援してほしいかわからなかったけど、急にテスト前に助けが必要になるという事も想定されます。個人によって求める支援は様々ですので、定期的に留学生と相談する機会を設けるようにしてください。
そして、困ったら、まず指導教員、次にグローバルセンターなどの関係教職員に相談をしてください。
毎学期100名規模の個人チューターが業務を行っており、チューター同士の協力も重要です。例えば、交換留学生や国費留学生の担当者であれば、手続支援中に、似たような留学生の担当チューター同士出会うことがあります。連絡先を交換して、同じ業務であれば1人が複数留学生を担当し、別の業務はもう一人がまとめて対応するなど、協力体制ができると理想的です。
(6)チューター活動報告
まず、活動前に所属学部で個人チューターとしての雇用手続きを済ませてください。謝金支払いのため、個人情報と銀行口座情報の提出が必要です。
活動開始後は、毎月「出退勤時間等確認表」を学部事務担当係に提出してください。基本的には活動した月だけ、その月の末までに提出します。書類作成にはチューター本人、指導教員、留学生3名の記入やサインが必要です。 ※『チューターガイドブック』P5参照
活動時及び、活動報告記入時に注意する点です。
まず、1日6時間以上の勤務は休憩時間が必要です。次に、授業時間や学内他のTA,SA活動時間と、勤務時間の重複がないか気を付けてください。また、禁止事項として、実際の勤務時間と異なる報告をすることや、サインの代筆があります。活動時間の30時間というのはあくまで上限です。未消化の活動時間があってもそのままにしておいてください。
<注意>
活動開始時に留学生へ3つの事を伝えてください。自分は指導教員から任命された個人チューターであること、活動には30時間まで謝金がでること、活動報告と謝金支給のため、毎月書類にサインがほしい事です。
過去のトラブルとして、留学生はチューターをボランティアの親切な学生だと思っていた所、急に月末にこの書類を見せられて戸惑い、気まずくなったという事例がありました。誰もチューター活動について説明しないままに活動開始しただけでなく、日本以外では、このような活動はボランティア学生が担当するケースがあるため、誤解がおきるようです。
(7)チューター活動に向けて
ここからは、心構えと一般的な注意事項をお伝えします。
皆さんがこのページを読んでいる頃、留学生の多くはまだ母国にいて渡航準備をしている事と思います。これから鹿児島に到着し、宿舎に入り、さあどんな出会いが待ってるか!と、期待と不安でいっぱいの時に現れるのが皆さんかもしれません。そんな時、どのように出迎えてほしいでしょうか?
指導教員から頼まれて業務の一つとして個人チューターを引き受けた方も多いと予想しますが、皆さんの対応が、日本や鹿児島の第一印象になるという側面がある事も覚えておいて頂けると嬉しいです。
(8)活動のポイント
活動中のポイントとして2点あげたいと思います。
一つ目、いつもより少しだけおせっかい&大胆にを心がけてください。多くの留学生は日本人に壁を感じると言います。あまり他人の事情に入り込んではいけない、「ここまでしたらおせっかいかな...うざいかな...」という、日本社会で「配慮」とされる態度が、留学生から見ると、自分に関心がない、本心が見えない、といった評価につながっている印象があります。
二つ目、よく顔を合わせるよう心掛けてください。LINEなどオンラインではなく、実際に対面している事が大切です。普段交流のない人に手伝いを頼むの事は気が引けますし、加えて、慣れない日本語や英語で複雑なお願いをするのも、頻繁にとなると負担です。
また、留学生が色々な人に囲まれて困っていない様に見えても、それは英語を話したい、国際交流したいという目的の人ばかりで、きちんとした情報をもって支援にあたれる人、頼み事をできる人はほとんどいないという場合もあります。
(9)活動のコツ
よく聞く「困ったら連絡して」が一番連絡しづらく、チューター活動がうまくいかない「NGワード」でもあります。
指導教員は皆さんに「とりあえず何か困ってたら助けてあげて」、皆さんは留学生に「困ったら連絡してね」と、どちらも善意で声をかけているかもしれません。たまにしか連絡がこないから、留学生活はうまく行ってるのだなと思われるかもしれませんが、実際は頼みにくく遠慮しているだけだったというのは、よくある話なのです。
定期的に顔を合わせ、聞きやすい、お願いしやすい環境を作ることを意識して活動してください。
(10)注意すること
最後に、個人チューターの皆さんに注意していただきたい事をまとめました。『チューターガイドブック』P6も参照してください。
特に、お金や契約について相談された場合は学生個人で対応せず、教職員に相談してください。また業務の性質上、どうしても留学生の個人情報を扱う機会が多いと思いますので、他の人に漏らしたりしない様気を付けてください(どこに住んでいるかといった情報も守られるべき個人情報です)。
(11)活動Q&Aと連絡先
『チューターガイドブック』のP7-8は、先輩方の活動から作成したQ&A、P9は連絡先一覧です。
留学生の個人チューター活動は学内業務の一つではありますが、皆さんにとっても新しい発見や、新鮮な経験となる事を期待しています。
それでは一学期間、どうぞよろしくお願いします!