2026年9月12日(土)・13日(日) @テレコムセンタービル ※ブースは会場5階
出展者:李 恒(中央大学 電気電子情報通信工学科 助教)
3種類の実験実演,研究サンプル展示,ビデオ放送を紹介させていただきます.
是非ともお気軽にお立ち寄り下さいませ!
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箱根駅伝,オリンピック,プロ野球選手,法学部,等々,中央大学を象徴する側面ですね.しかし中央大学,理工系な研究も頑張っています!本展示では,中央大学が誇る次世代の検査デバイスをご紹介いたします!!
”カーボンナノチューブ”というキーワードを軸に,皆様にも検査デバイスの作製工程,また作製したデバイスの検査利用を体験いただきながら,共に未来の社会・生活を支える次世代検査技術とは一体何かを考えていきましょう!
カーボンナノチューブ,ヒトの眼には視えない情報を可視化することが可能で,日用品や工業部品の製造現場では”ヒトの眼”に代わる”次世代検査の眼”として安全品質保証を支えます.
写真・動画での簡易案内も近日公開予定
■体験内容:皆様の手で実際にカーボンナノチューブを印刷していただきます
写真・動画での簡易案内も近日公開予定
■体験内容:カーボンナノチューブの眼が視ているモノは何か?早押しクイズ!
写真・動画での簡易案内も近日公開予定
■体験内容:指の赤外線コンテスト!皆様の指から,赤外線を実際に測りましょう.また,触らず弾けるピアノの実演も?!
モノの生産が全自動化へと目まぐるしくシフトする今,それらを支える安全保証基盤の確立は不可欠です.電磁波画像計測は,産業製品の欠陥や混入物を非破壊・非接触に同定可能です.中でも当グループでは,電波と光の中間領域電磁波に注目しています.「電波由来の透過性(例:遠隔地間での壁等を超えたスマホ通信)」と「光由来の直進性(例:レーザポインター)」を両立することで,観察対象の内部構造を詳細に可視化します.更には検査物固有の吸収指紋スペクトルを基に,材料組成解析にも多大な貢献を果たします.
医薬品等を例に,製造から梱包,更に流通までにわたって機械化が進んでおり,製造工程内で見逃された欠陥は翌日には世界中に届いてしまいます.検査方法としても,ベルトコンベアから一部のサンプルを抽出して別工程において観察する抜き取り検査が主流となっていましたが,現に欠陥の検知漏れから,リコール件数は増加の一途を辿ります.物資の世界的な需要は今後も止まらず,リコールからの検査という受動的な体制から,製造段階において欠陥を根絶する全数検査(ベルトコンベアへの検査システムの内蔵等)という能動的アプローチが社会では望まれています.
全自動化が絶え間なく進むモノつくり・流通において,検査手法の中でも”非破壊検査”は極めて重要な役割を担います.”非破壊検査”という言葉を分解してみると,”非 破壊的な検査”,つまり”観察物を壊すことなく,ヒトの眼では見えない内部状態を可視化検査すること”という解釈に繋がります.
数多の非破壊検査手法において,当グループでは電磁波画像計測に着目しております.電磁波照射の特徴としては多種多様な対象物を表面から内部にかけて観察できる点が挙げられ,また画像計測手法(写真・サーモグラフィ―・レントゲン)が確立されている点も非破壊検査には大きく貢献しております.画像計測とは,言い換えると単点における電磁波特性(吸収・透過・反射・散乱等)が二次元(2D)平面空間上に集約された情報媒体であり,観察物における異常・欠陥の空間的な分布(例:ひび割れの全体像)が可視化され,また各画像の時間軸における重ね合わせ:つまり動画により異常・欠陥に対する空間的な拡がり・移動・変化等をヒトにも分かり易い形で提供します.
電磁波は周波数により各観察対象材質における特性(吸収・透過・反射・散乱の仕方),また呼称までもが広範に変化します.当グループでは特に,電波と可視光の中間周波数域:ミリ波・テラヘルツ・赤外(MMW, THz, IR)に着目しております.
当グループではMMW・THz・IRに対して,非破壊検査応用(社会実装)への期待を込めて,「前人未到な電磁波-光」や「ヒトの視認性を超えた長波長光」として扱っており,周波数としては100 GHz–300 THz程度,波長としては800 nm–3 mm程度と定義しております.
MMW・THz・IRの特徴において,まずは透視性が挙げられます.眼では見えない観察物を透視することができ,例としては作業用手袋内に隠された刃物に対する非破壊検知が可能となります.電磁波画像計測ではX線や超音波による透視も産業検査に利用されておりますが,X線と比較すると完全非侵襲(被爆の恐れが無く安心)であり,超音波と比較すると波長が短く高解像(小さな箇所や湾曲した輪郭もクッキリ)といった特徴がMMW・THz・IR計測では知られております.
特にX線計測では,検査対象物が人体・生体でない場合においても,被爆性・侵襲性が懸念されております.鉄鋼メーカーで自社製品の品質評価にX線計測を用い,検査室から製品サンプルを回収する際に作業員が被爆したという事例も...
高い透過性を有するMMW・THz・IR照射ですが,X線や超音波と比較すると「何から何まで透り抜ける」という訳ではございません.MMW・THz・IR帯での具体的な照射光波長,また光照射対象の材質により透過性は様々に失われます.例としてヒトの眼では透明なガラスは遠赤外計測において不透明であり,同じくヒトの眼では透明な水も多くのTHz・IR計測では不透明となります.言い換えるとMMW・THz・IR計測の透過性は照射光波長と対象材質により選択的であり,波長毎の透過率・反射率・吸光率等を重ね合わせることで,観察物の材質を同定することができます.
先述の多波長なMMW・THz・IR情報に対する重ね合わせ,また派生する非破壊な材質同定は”分光計測”としても活用されております.MMW・THz・IR帯では”ガラス”や”半導体”といった巨視的な材質同定に留まらず,高分子構造や官能基という微視的な材質同定も可能となり,これらを支える光学情報として豊富な指紋スペクトルを有しております.
当グループでは,画像計測として高感度・高解像であることを前提のうえ,超広帯域・多波長なMMW・THz・IR計測を推進しております.既にMMW帯,THz帯,IR帯と個別帯域での検査要素技術や分光計測は広く確立されておりますが,より広帯域な計測が広範な非破壊材質同定を司るという点から,当グループでは超広帯域MMW・THz・IR計測に向けた”材料”・”プロセス”・”デバイス”・”システム”というマルチスケールなテーマを推進しております.特にX線計測と比較すると,MMW・THz・IR計測は金属⇔非金属の材質同定,また非金属間での材質同定に特化しております.高分子を主成分とする医薬品,液晶ガラス・プラスチックパッケージ・半導体回路・セラミックコンデンサといった非金属材料を多く擁するスマートフォン等,非金属材料は今日のモノつくりにおいて大きな役割を果たしております.単純にスマートフォン内に隠れた亀裂を透視検知するのではなく,”どの材質で亀裂が生じているか”という観点で材質同定との親和性を生むことにより,具体的な欠陥の原因追及・再発防止にも繋げることが可能となります.
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube: CNT)は,1991年に飯島澄男 博士により発見されたナノ電子材料です.CNTは炭素原子で構成され,直径ナノメートル台の円筒状物質です.チューブを繊維状に堆積したCNTフィルムは,手やピンセットでも容易に繰り返し摘まめる強度と柔軟性を示します.当グループでは一桁µm厚のCNTフィルムを,フレキシブルブロードバンドカメラの主材料に用いております.Zeon社を始め様々な機関のご協力の元に,研究を進めております.
CNTフィルム自身が柔軟である点は先述の通りとなりますが,案外にもCNTフィルム単体のみで扱うことは困難となります.同じく薄膜な支持基板材料上にCNTフィルムを堆積させることで操作性は飛躍的に向上し,更にCNTは分散液を材料加工の起点とすることができ,つまりは様々な支持基板上へCNT分散液の印刷によりフィルムとして堆積することが可能となります.ガラスやSi基板といった硬基材に加えて,CNT分散液は紙や用途が豊かなポリマー各種(PTE,耐熱性のポリイミド,伸縮性のポリウレタン等)にも印刷をすることが可能となります.また薄膜支持基板に限らず,最初から湾曲している3D構造体(例:湾曲している水道管外壁等)にも印刷をすることが可能であり,用途に応じて適材適所な基板材料上へCNTは形成されます.
研究内容ページにおいて先述の通り,MMW・THz・IR帯での非破壊検査技術の確立に向けては,広範な透視・材質同定を司る超広帯域動作が画像計測デバイス(つまりイメージセンサ(画素)やカメラ)には求められます.また肉厚な構造や高吸光な材質への照射後にはMMW・THz・IR透過の信号強度は微弱であり,その様な観察物に対しても非破壊検査を行ううえで,同じく画像計測デバイスには高い吸光率(微弱なMMW・THz・IR透過信号を検知可能)が求められます.その様な観点において,CNTフィルムは食品ラップ程の薄さ(約一桁µm厚)において,MMW・THz・IRの全域,更には可視光帯において一貫して80 %超の高い吸光率を示します.つまりCNTフィルムの利用は,薄膜・柔軟・軽量なシートデバイスとしての易しい操作性,そしてMMW・THz・IR帯の潜在能力を最大限に引き出す検査性能が相乗効果として発揮されます.
CNTフィルムに吸光されたMMW・THz・IR照射はそれらのエネルギーが熱に変換され,その後,熱電変換を通じて起電力応答信号として検出されます.「吸光発熱」「熱電応答」という2つのエネルギー変換が融合するこの物理現象を光熱起電力効果(Photo-thermoelectric: PTE)と呼び,フレキシブルブロードバンドカメラの動作原理となります.CNTによるPTEは室温での超広帯域吸光(MMW・THz・IRに留まらず可視光も)を可能にし,先述の柔軟性と合わせて,当グループにおけるカメラの強みとなります.CNT型PTEフレキシブルブロードバンドカメラは世界に先駆けて超広帯域・超高感度なMMW・THz・IR検出を単一素子により完結させ,電子デバイスの中でも極めてユニークな位置付けを占めております.
2014年4月に東京工業大学・工学部第5類へ入学,2023年3月に東京工業大学で博士(工学)の学位を取得.2023年4月に現職へ着任し,電気電子工学,ナノカーボン材料,非破壊検査の研究・教育活動に従事.
第35回「独創性を拓く先端技術大賞」文部科学大臣賞,第38回 安藤博記念学術奨励賞等,研究受賞は国内外での計43件に昇り,最終責任著者として2025年にLight: Science & Applications誌へ掲載した原著論文は日本光学会より「2025年の日本を代表する光研究成果」としても選定される等,数多くの研究成果を挙げている.
JSTnews「さきがける科学人」,YouTubeチャンネル「理系の歩き方」,TBS「未来の起源」等,メディア出演も多数.
中央大学 理工学術院 電気電子情報通信工学科(後楽園キャンパス)
李 恒(li[at]elect.chuo-u.ac.jp),大脇 静旭(sowaki173[at]g.chuo-u.ac.jp) ※[at]を@へ変換の上ご記入下さいませ
03-3817-7359
産経新聞社公式YouTubeチャンネルSANKEI NEWS「理系の歩き方」(⇦)
学術変革領域研究(A)「2.5次元物質科学:社会変革に向けた物質科学のパラダイムシフト」 漫画教材・第3話「前人未到のテラヘルツ波」(⇨)
※作中の登場人物「富坂君」として出演・監修
JST広報誌:JSTnews(2026年3月号)「さきがける科学人」(⇩:出典 https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2025/202603/pdf/2026_03_p16.pdf?1772614009928)