美術館や様々な場所で、演劇の力をかりてちょっと変わった「音声」をつくるプロジェクト
全国の美術館などで目の見える人、見えない人が言葉を介して「みること」を考える鑑賞プログラムを企画運営している団体「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」の呼びかけにより、俳優の大石将弘を中心に2017年より活動を開始。俳優がつくった演劇的な仕掛けのある「音声」を指定された場所で聞くことで、目の見える人にとっても見えない人にとっても様々な角度から場所と出会うきっかけをつくっている。その場に生身の俳優はあらわれないが、音声と、鑑賞者のいる空間、鑑賞者のからだと想像力によって上演される「聴く演劇」作品だと考えている。
これまでに、横浜美術館コレクション展を題材に創作した「横浜美術館コレクション編」(2018)、コロナ禍におうちや近所で体験できるように生まれた「HOME編」(2021)、横浜の公園内と港をクルーズしながら体験する音声「横浜ゾウノハナ編」(2021)を展開。
「横浜美術館コレクション展 全部見せます!シュールな作品 シュルレアリスムの美術と写真」の作品や横浜美術館の空間を題材に、3名の俳優が15の「音声」作品を創作。目の見える人も、見えない人も、美術館や美術作品をこれまでとは異なる新しい楽しみ方ができるようなきっかけとなる音声作品を、2018年1月にWEB上で公開した。
開催期間:2018年1月15日〜3月4日
【掲載媒体】
・点字毎日(新聞全国版|2018年3月1日)
・点字毎日(web版|2018年3月4日)
・NHKラジオ横浜サウンドクルーズ ・創造都市界隈『演劇と美術が出会い、美術館の新たな楽しみかたを提案する「きくたびプロジェクト」』 (2018年2月23日)
・日本財団「美術館で聞く”音声”が、演劇仕立てだったら……」(2018年06月07日)
・演劇最強論 -ing(2018年2月21日)
2020年、コロナ禍によって多くの演劇公演が中止となり、外出自粛が要請されるなか制作された。家の中(トイレ、台所、布団の中)や近所(公園、コンビニ)など、普段生活を送っている様々な場所で聴くことで、いつもの景色が少し変わって見えるような「音声」を創作。クリエイションメンバーである俳優3名がつくった音声の他、劇作家(三浦直之、鳥山フキ、本谷有希子)や小説家(滝口悠生)による作品全18作を、2020年12月から2021年7月まで断続的に公開。離れた場所にいる人たちが、それぞれの場所、それぞれの時間に体験できる小さな楽しみとなることを目指した。
【掲載媒体】
・ステージナタリー『日常の風景を変えるような体験を、「きくたびプロジェクト HOME編」』(2021年1月10日)
横浜の海沿いの公園「象の鼻パーク」と休憩所兼カフェ「象の鼻テラス」を中心に開催されている、公共空間活用事業「FUTURESCAPE PROJECT」において、「スイッチ」=「鑑賞者がスイッチを押すと始まる3秒〜30秒の演劇」を上演する団体、スイッチ総研との協働で制作。カフェや公園の中で体験できる作品の他、小さなクルーズ船に乗りながら聴いて体験する音声を創作した。横浜のランドマークの数々から、ふとした風景を作品内に取り込んだ。
開催期間:2021年10月2日〜2021年10月24日
【掲載媒体】
・artscape『きくたびプロジェクトHOME編/横浜ゾウノハナ編』(2021年10月15日)