学生の流入を促進する新たな制度の提案
学生の流入を促進する新たな制度の提案
広野町卓越ローカルアシスタント制度 (仮称)
卓越ローカルアシスタント(仮称)は、広野町でまちづくり活動を行う学生に対して、資金援助を行うための独自の制度です。卓越ローカルアシスタントとして委嘱された学生は半年間活動を行います。
従来の学生の提案事業等への補助金交付とは異なり、地域おこし協力隊に近い有償ボランティア相当です。
委嘱された学生が、広野町での現地活動時に規定の金額分のクーポン券を利用することができ、優れた若者人材の確保とともにクーポン券の利用による町内での商業活性化が期待されます。
提案背景・目的
近年では次項表に示すように大学生等を対象にしたまちづくりに関わる活動に対する支援がおこなわれている。いずれも大学生等の関係人口の創出を目的の一つに掲げており、これらの事例を整理することにより学生に対する活動支援の現状は以下のように特徴づけられる。
① 対象は団体がほとんどで、3-5人以上となっている
② 期間は概ね1年以上である
③ 支給名目は事業に対する補助金となっている
④ 活動実費の全額またはその一部が補助対象である
広野町では昨年度に「大学生観光まちづくりコンテスト2024」参加学生に対する宿泊補助が行われたことはあるものの、継続した大学生等を対象にしたまちづくりに関わる活動に対する支援は行われていない。
地域外の大学生等の関係人口の創出、継続的な若者世代の流入による、町の持続的な活性化のためにも、大学生等を対象にしたまちづくりに関わる活動に対する支援は必要不可欠である。
一方で、従来多くの自治体で見られる提案事業に対する補助金給付型の支援制度には、学生に対する補助による関係人口の増加以外の利点がやや少ない傾向にある。例えば、町内の商業活性化への貢献や、参画学生の持続性をはじめとした課題が指摘できる。そのため本提案では、大学生等を対象にしたまちづくりに関わる活動に対する支援として、「広野町卓越ローカルアシスタント制度」を新たに提案する。
主な特徴
他地域の同様の施策(下図)と異なり、本提案には次の述べる特徴があります。
① 対象は個人から少人数の団体 ←人数が多くても個々人の役割が不透明になる可能性がある
② 期間は半年から(更新あり) ←学生は短期間で集中して活動を行う場合もあるため最小期間は短めに設定
③ 支給名目は委嘱料となっている ←学生には肩書きがつき、活動費以外の支給も可能になる
④ クーポンによる支給 ←交通費相当分を日当扱いで支給することで、支給した全額が町に還元される
⑤ 書類+面接選考 ←従来の申請書による書類選考以外にプレゼンテーション選考を実施し、質の担保
期待される効果
(1) 卓越ローカルアシスタントをハブとしてキーパーソンがゆるやかに繋がります
広野町には他地域と比べても、NPO法人をはじめとしたまちの発展に貢献する多くのキーパーソンがいる一方で、互いのしがらみによりキーパーソン同士のつながりが希薄な可能性がある。
卓越ローカルアシスタント(以下卓越LA)は一般に「ヨソものの大学生」であり、それぞれのキーパーソンが卓越LAを助ける中で卓越LAをハブとした組織づくりが可能になる。加えて、卓越LAがあくまで学生であることから、旗振り役に過度に権力や発言力が集中してしまう従来の組織作りの課題を解決し、よりフラットな組織が期待される。
また、卓越LAは一定期間で入れ替わるものの、継続的に新しい「ヨソもの」を旗振り役として供給できること、前任の卓越LAからの内容も引き継ぎつつ(前任者による報告会等への参加)、持続的に組織を発展させることが可能になる。
(2) クーポンによる委嘱料相当の支給により、まち・学生に対してWin-Winの関係が期待できます
従来の補助金交付では、現地活動時の往復交通費相当の支給を行う一方で、現地滞在中の食費や近距離交通費の支給は対象に入っていない場合が多く見られる。しかし、実際学生が現地活動を行う際には、日数が一定程度を超えると、往復交通費よりも現地滞在中の食費や近距離交通費の方が大きくなる。
本制度では委嘱という形をとることで日当相当分の支給を可能とし、交通費分を日当として加算した額をクーポン券として支給する。そうすることで、支給金額の全額が町内の施設・店舗等で利用されることとなり、町内の商業活性化にも繋がり、学生は日数が長いほどより得分が多くなるため、より長期に現地に滞在できる(する)。町の財源により支給した全額が町に還元されることは注目に値する。
(3) 肩書き(名称)の設定により、認知度向上につながり、継続性が増す可能性があります
地域おこし協力隊のように名称が付与される方が認知度が向上し、事業内容が変わっても継続性があると認識される可能性がある。