Tetrastemma melanocephalum
(Johnston, 1837)

レア度:よくわからない

形態:体長は1㎝程度。自由生活性の海産ヒモムシで、2対4個の眼点をもつことからテトラステマ属の種と考えられる。頭部は鈍い矢じりのような形をしている。濃褐色の幅広い横縞があり、前部の眼点はこの横縞の前縁近くに位置する。後部の眼点は頭溝と同じくらいのところにある。銀白色の色帯が濃褐色の横縞の前後に1つずつ見られる。首よりも後ろは全体に白っぽいオレンジ色。腹側から透けて見える赤い点は吻?に何か詰まっているのだろうか?

生息域:フジマツモをいじくりまわしていたときに出現。大西洋を中心に分布するとされる。

生態:頭部先端から吻を出し入れできる。シリケンウミセミの幼体にかみつき、捕食しようとするような様子が見られた。また、ウミミズムシを捕食している様子が観察された。完食までにかかった時間はだいたい10分くらいで、意外と”早食い”である。

その他:本種はいちおう、Yamaoka(2005)にて伊豆半島の下田から記録があるが、これが日本初記録の論文のようである。ヒモムシ類に関しては、今まで南方でしか記録がなかった種が忍路で見つかったり…といったことはよくある(Kajihara, 2007)ようで、分布域とされるものはあまり役に立たない気がする。

2020年11月 大友 表側
2020年11月 大友 裏側
2020年11月 大友
2020年12月 大友
2020年12月 大友ウミミズムシを捕食中、赤く見えるのは餌食の卵
2021年3月 大友チョビヒゲモクズを捕食中、吻が伸びている

引用文献:

  1. Kajihara, H., 2007. Chapter 16: Species diversity of Japanese ribbon worms (Nemertea). in Species Diversity of Animals in Japan (M. Motokawa & H. Kajihara (eds.)). Springer Japan.

  2. Yamaoka, T., 2005. On fourteen monostiliferous hoplonemerteans from the Izu Peninsula, middle Japan. Publ. Seto Mar. Biol. Lab. 40 (3/4): 141-58.