ノルマンタナイス

Zeuxo normani (Richardson, 1905)

レア度:いつでも見られる

形態:体長は1~3㎜程度。体は円筒形で、前端のはさみ脚と、後端の尾肢がよく目立ち、テッポウエビとウミクワガタを足して2で割ったような見た目をしている。半透明の乳白色を呈し、背面には褐色のもやもやとした不定形の(図鑑では”雲状”と言及されている)模様がある。この模様は頭胸甲でよく目立ち、以後の体節では比較的まばら。体の後端からは尾叉が伸びる。腹節の側面と第2触角の先端には毛が生えてもこもこしている。第1触覚は3節、第2触角は6節、尾肢は内肢のみを持ち6節。

生息域:葛登支からは、フジマツモピリヒバをとってきてソーティングすると見つかることが多い。藻体表面、もしくは根元の泥などにまぎれているのだと思う。

生態:それなりに高い頻度で見つかるが、小さいうえに動きが速いため非常に認識しづらい。11月には抱卵中のメスの個体が見られた。

その他:タナイスの仲間は、頭部+胸脚がついている胸節+腹節+最後端の腹尾節、という体になっている。本種の属するゼウクソ属は、腹節が5節あることが特徴だが、後ろ側の2節はかなりつぶれた形をしているのでわかりにくい。形態的な識別形質に乏しいベントスにありがちではあるが、遺伝子を用いた研究から隠蔽種の存在が判明した。「ノルマンタナイス複合種群("Species Complex")」としてまとめられている(Larsen et al., 2014)。

2020年9月 大友
2020年6月 青木
2020年12月 大友
2020年11月 大友抱卵中のメス、卵数は20個くらい?
2020年11月 大友抱卵していたメスの個体
2020年11月 大友胸脚がついている節が胸節、5節の腹節が続き、最後端の尾肢がついている節が腹尾節である
2020年12月 大友チャツボを足蹴にする
2020年12月 大友尾肢は単肢で内肢と外肢に分かれない
2020年12月 大友海藻の切れ端で物思いにふける

引用文献:

  1. K. Larsen, F. Tuya and E. Froufe, 2014. Genetic divergence of tanaidaceans (Crustacea: Peracarida) with low dispersal ability. Scientia Marina 78(1): 81-90.