ニホンコツブムシ

Cymodoce japonica
Richardson, 1906

レア度:いつでも見られる

形態:体長は大きくても2㎝に満たない。体色は黄褐色もしくは赤褐色。体を球形に丸められるが、ダンゴムシのようにぴったりとは閉じない。腹肢(体の裏側で水流を起こすために揺れている部位)のに横しわが入り、内側の部分(内肢)が外側の部分(外肢)に比べて大きいことでウミセミの仲間と区別する。オスは腹尾節(しっぽのような部位)の背面に2対の突起を持ち、後端には真ん中のものがやや長い3本の突起をもつ。メスは腹尾節の背面に3突起、後端に1突起を持つ。

生息域:日本各地に分布し、潮間帯の石の下、藻場、深海など様々なところから見つかるらしい。

生態:タケギンポによって捕食される(Yamada et al., 2010)。雌雄ともに、第7胸節の関節部の腹側に0.1㎜程度のやすり状の器官があり、これをこすり合わせて音を出す。この音は、オス間のコミュニケーションや、捕食者に対して発せられるものと考えられている(中町, 2016)。

その他:イソコツブムシは石の下で見つかるが、本種はフジマツモによくついている。

2020年8月 大友
2020年8月 大友立派な複眼を持つ
2020年8月 山上

引用文献:

  1. 中町健, 2016. ニホンコツブムシの発音行動―発音機構と行動学的意義の推測―. Cancer 25: 137-142.

  2. Yamada, K., Hori, M., Tanaka, Y., Hasegawa, N.,& Nakaoka, M., 2010. Contribution of different functional groups to the diet of major predatory fishes at a seagrass meadow in northeastern Japan. Estuarine, Coastal and Shelf Science 86: 71-82.