アカナマコ

Apostichopus japonicus (Selenka, 1867)

レア度:めったに見ない?

形態:体長は大きいもので30㎝程になる。本種はこれまでマナマコの一型と考えられていた(=「アカコ」として)が、両者は遺伝的に異なることが明らかになり (Kanno et al. 2003)、別種として再記載された (倉持・長沼 2010; Woo et al. 2017)。本種の体は赤みが強く、特に腹面は鮮やかな赤色であることでマナマコと容易に区別できる (菅野・木島 2002)。

生息域:北海道~九州、中国の転石帯に分布。

生態:マナマコとは生態的にも異なることが古くから知られている (崔・大島 1961)。たとえば、マナマコが内湾性・成長過程で生息場所を変化させる(礫地→砂泥地)のに対し、アカナマコは外洋性であり、成体も礫地にとどまる傾向にある 。また、マナマコは主に大型の成体が夏眠をするが、アカナマコでは生活史段階にかかわらず夏眠が観察される。さらに、マナマコの繁殖期は晩春~初夏まで続くがが、アカナマコの繁殖期はそれより早く始まり、春の間に終了する。

2016年5月21日 りった赤い個体
2016年5月21日 りった表面はサイケデリックでおしゃれ
2016年5月21日 りった裏面は驚きの赤さ
2021年2月10日 りった
2021年4月16日 りったヨモギホンヤドカリに登られる
2021年6月27日 りったシコロエガイと一緒
2021年4月29日 りった何があったんや。。。

引用文献:

  1. 崔相・大島泰雄. 1961. ナマコにみられる 「アオ」 と 「アカ」 の形態および生態的差異について. 日本水産学会誌, 27: 97-106.

  2. 菅野愛美・木島明博. 2002. マナマコにおける色彩変異の定量的定性的評価. 水産増殖, 50: 63-69.

  3. Kanno, M., Suyama, Y., Li, Q. & Kijima, A. 2006. Microsatellite analysis of Japanese sea cucumber, Stichopus (Apostichopus) japonicus, supports reproductive isolation in color variants. Marine Biotechnology, 8: 672-685.

  4. 倉持卓司・長沼 毅. 2010. 相模湾産マナマコ属の分類学的再検討. 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要, 49: 49-54.

  5. Woo, S. P., Ogawa, A., Tan, S. H., Yasin, Z., Kajihara, H., & Fujita, T. 2017. A taxonomic revision of the genus Apostichopus (Holothuroidea: Stichopodidae) from Japan. Zootaxa, 4350: 121-135.