Ⅰ.運動系(Motor system)
①加齢に伴う姿勢と運動制御のメカニズムの解明
加齢に伴うバランス能力の低下は転倒、活動量の低下、生活範囲の狭小化、廃用性症候群を招き、高齢者の健康を著しく損なわせます。加齢により運動感覚機能が低下し、高齢者の姿勢や運動パターンは多様性の乏しいステレオタイプの運動戦略で行われます。高齢者の運動戦略の基盤となる運動制御に焦点を当て、3次元動作解析や筋電図解析など運動学および運動生理学的手法を用いて加齢による影響を調べています。
①加齢に伴う姿勢と運動制御のメカニズムの解明
加齢に伴うバランス能力の低下は転倒、活動量の低下、生活範囲の狭小化、廃用性症候群を招き、高齢者の健康を著しく損なわせます。加齢により運動感覚機能が低下し、高齢者の姿勢や運動パターンは多様性の乏しいステレオタイプの運動戦略で行われます。高齢者の運動戦略の基盤となる運動制御に焦点を当て、3次元動作解析や筋電図解析など運動学および運動生理学的手法を用いて加齢による影響を調べています。
高齢者の垂直方法の姿勢制御の変化
筋シナジーの変化:二関節筋BFの加齢による変化
②運動制御の筋抑制機能の研究
ヒトは安定している状態から運動を引き起こそうとするとき,維持している姿勢を一旦解除ししなければりません.抗重力筋の活動の解放が十分でなければ,いわゆる動筋と拮抗筋の同時収縮状態が継続され,円滑な運動の妨げにつながります.筋の同時収縮は高齢者や片麻痺患者でもみられ,筋抑制機能との関連を調べています.
Inhibitory anticipatory postural adjustmentsの研究
③ヒトの重心位置の変化への姿勢・運動制御の影響についての研究
運動療法やバランスの訓練での重心移動は,前後や左右がほとんどです.新たに重心位置を上下方向に偏位させることによる姿勢や運動制御への影響を調べ,臨床応用について調べています.
重心高位が動的バランス能力に与える影響について
異なる足関節肢位による立位バランス制御の影響
④筋力調整能力への無作為順(ランダム・オーダー)による負荷課題がバランス能力への向上についての研究
転倒は予測できない状況で起こりやすく,外乱に対して俊敏に応答しなくてはなりません.これまでの筋力訓練の多くは,一定方向の負荷を用いています(例えば,増加または減少).ランダム・オーダーは予測をすることが難しく,かつ,同じ課題を繰り返し行うよりも実際場面で高いパフォーマンスを得られることが示されています.ランダム・オーダーが運動学習における一般化や転移などに与える影響について調べています.
足関節底屈筋へのランダムな力追跡課題(Force tracking task)
⑤垂直方向の姿勢制御戦略
これまでの研究では,主に前後および側方への姿勢制御について調べられ,垂直方向の姿勢制御についてはあまり調べられてきませんでした.膝関節を中心とした懸垂戦略の可能性について調べています.