上川管内教育研究会70周年に際し
「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」
上川管内教育研究会
会 長 金 山 達 也
(上富良野町立上富良野中学校長)
去る4月28日、令和7年度の上川管内教育研究会(以下、上教研)定期総会及び研修会を開催することができました。6年度の事業報告や7年度の事業計画等にご承認をいただき、併せて会長に再度選任されました。皆様方のお力添えをいただき、管内教育の充実発展のために微力ながら全力を尽くしてまいります。
「不易」と「流行」は学校のみならず、様々な場面でよく耳にする言葉です。「不易」は変わらないことを意味し、「流行」はその時々に応じて変化していくことを表します。対義語であり、そのどちらもが大切であるという場合によく使われます。一方、「不易流行」の四字熟語では、少しニュアンスが変わります。いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。(三省堂新明解四字熟語辞典より)「不易」という変わらないものを中心に、新しい変化である「流行」がその周りを取り囲むイメージに私は感じます。表題は江戸時代の俳諧師である松尾芭蕉が奥の細道で述べたものです。「変わらないものを理解しないで基礎は成立しないが、変わるものを理解しないと進展がない」そんな意味が込められています。
さて、令和の日本型学校教育の推進が叫ばれて、約4年が経ちます。令和3年の中央教育審議会の答申には、「日本の学校教育はこれまで,学習機会と学力を保障するという役割のみならず,全人的な発達・成長を保障する役割や,人と安全・安心につながることができる居場所としての福祉的な役割も担ってきた。この役割の重要性は今後も変わることはない。これまで,日本型学校教育が果たしてきた役割を継承しつつ,学校における働き方改革やGIGA スクール構想を強力に推進するとともに,新学習指導要領を着実に実施し,学校教育を社会に開かれたものとしていく」と示されています。これまでの、日本型学校教育を否定するものではなく、むしろ、それらを前提としながら、ICTの活用等を通して、個別最適な学びを保障し、すべての子供たちの健やかな成長を目指すものと解釈できます。
上教研は今年で70周年を迎えます。その歴史のなかで、昭和から平成の時代、先輩たちが受け継いできたバトンを令和という新時代へ受け継ぐことが上教研の一つの使命であると感じています。目の前の子供たちの幸福な未来を願う思いは、いつの時代も変わることはなく、不透明な時代を生き抜く力をつけさせるための、私たち自身のアップデートが今、まさに求められています。「会員全員での一歩前進」を目指し、会員による会員のための上教研活動の充実をより一層推進してまいります。
結びになりますが、北海道教育庁上川教育局及び上川管内教育委員会連合会をはじめ各教育関係機関・研究団体の皆様の、今後とも変わらぬご指導、ご支援を賜りますことを切にお願い申し上げます。