2025. 9. 24
“Le parole son femmine e i fatti son maschi.” (ことばは女、行動は男)という諺をもつ「女性的な」イタリア語と異なり、英語は「男性的」である。その所以は英語の「簡潔さ」にあるという。
If briefness, conciseness and terseness are characteristic of the style of men, while women as a rule are not such economizers of speech, English is more masculine than most languages.
短さ、簡潔さ、無駄のなさは男性的な文体であり、女性は原則そうやってことばを簡潔にしないとすれば、英語は多くの言語に比べて男性的である。
英語の簡潔さは、例えばその文法に現れる。英語は歴史を通じて、屈折語尾を水平化させてきた。例えば以下はドイツ語と英語で対応する文であるが、英語側で「複数」の標示がされているのは名詞の animals のみである。
alle diejenigen wilden tiere, die dort leben.
all the wild animals that live there.
前節までに音声学の観点から説明されてきた英語の男性性について、本節では文法の観点からも説明が付与された。ところで、語末の子音連続を持つこと(音声学的男性性)と屈折語尾の簡略さ(文法的男性性)は互いに連関するのかという点は素朴な疑問として残る。
参考文献
Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Oxford: OUP, 1997[1905].