2025. 10. 19
現代英語の語彙には数・種類ともに豊富な借用語が見られるが、こうした特徴の起源はどこにあるのか。実は初期の借用はアングロサクソン人が大陸にいた時期から確認することができる。Jespersen も本節冒頭で同様に述べている(美しい文型倒置もご堪能いただきたい)。
To this early period, while the English were still living on the Continent with their Germanic brethren, belong the first class of loan-words.
この初期の時代、即ちイギリス人がまだ大陸で他のゲルマン民族と共に暮らしていた頃に、最初の借用語群が属している。
次節以降、まずは借用(borrowing)に見られる特徴に触れた上で初期の借用について詳述されていくようだ。本節はあくまで導入的な位置づけである。
なお引用に出てきた brethren は brother の古い複数形である。古英語の brōþor の複数形は無変化の brōþor のほかに brōþru があり、後者が brethren のもとである。驚くべきことに -s 複数形は13世紀に初出するがその後にとだえて、-en 複数形が標準となったという。しかし Shakespeare の頃になると -s 複数形がはるかに優勢となった。以上、『英語語源辞典』の brother の項目を元に述べた。
参考文献
Jespersen, Otto. Growth and Structure of the English Language. 10th ed. Oxford: OUP, 1997[1905].
寺澤芳雄(編)『英語語源辞典』東京: 研究社、1997年。