環境物質科学研究会(特定放射光施設ユーザー協同体)
代表: 高橋嘉夫(東大)
副代表: 大藤弘明(東北大)
岡田岡田京子(JASRI/SPring-8)
連絡係: 岡田京子(JASRI/SPring-8)
ホームページ:http://www.spring8.or.jp/ext/ja/spruc/SG_SPRUC_info/environmental_materials_science.html
【概要】
本研究会は、SPring-8/SPring-8-IIの硬X線と軟X線、およびナノテラスの軟X線を縦断的に活用し、様々な「環境物質」を多角的かつシームレスに分析・評価することを目的とした研究会です。地球表層から宙(そら=太陽系)に至るまでの物質循環の全容解明、さらには人間社会への還元を視野に入れた分野横断型の新しい物質科学を展開し、既成概念に捕らわれずに自由に科学研究を楽しむことを目指します。現象や実験データを演繹的にも帰納的にも追求し、世界をリードする独創的な研究に繋げます。放射光を使ったことがある方々も無い方々も歓迎します。科学は世界共通語、百年後の未来にもその成果と技術を志と共に伝承することを目標とします。
本研究会は、”科学の本質の追及および「環境物質」(マテリアル)の解明”が中心命題、信頼できるデータを取得する肝の場所がビームラインでそれを実現する大切な手段が分析手法、これを確実に実現する大事な機器類が各ビームラインの測定システムと検出器群である、というスタンスに立ちます。本研究会では、ナノレベルからミクロレベルの深さ分解と高エネルギー分解能での元素別の化学状態分析と構造分析を3次元で進めます。測定対象として想定しているカテゴリーは今迄なかなか測定できなかった試料、例えば多元素からなる複雑な3次元構造を持つ機能性物体、絶縁体、粘土鉱物などのウエットな試料です。マテリアルの機能と特性の解明のために最適な手法(参考:https://new.spring8.or.jp/index.php/2020-12-21-05-29-40/2022-01-27-06-00-47)とX線のエネルギーとサイズと強度を選んで観測します。将来的にはオペランド測定も目指します。
【活動目標】
本研究会では分析手法と検出器の高度化を議論し、実現に向けて行動します。例えば、エネルギー分解能がSDDよりも高くてTESと同等以上、1万画素以上で放射光のハイフラックスに対応でき、ホウ素もしくはカーボンより上の元素をごく微量でも測定できる検出器を使用する新しい高エネルギー分解蛍光検出(HERFD)-XANESの提案を行うこと、などが挙げられます。特に軟X線領域では、走査型および結像型の顕微鏡の応用研究を進める一方で、絶縁体及びウエットな試料に対し、50-100 μmのマイクロビームマッピングを使用して、非破壊で同じ試料で同じ場所で、表面とバルクの両方で、軽い元素(B, C, O, F, Na, Mg, Al, Si, Ca, etc)の化学状態の3次元の深さ分解・界面分析も行う差動排気システムを使う新しい軟X線分析の提案も行います。硬X線領域では、蛍光X線の高エネルギー分解能な検出を基盤にした微量元素の超高感度なX線分析や様々な元素・吸収端へのHERFD-XANESの応用研究を推進します。他の手法でも新たな測定法に果敢に挑戦して新たな科学の地平線を切り開きます。また、合理的な自動化やリモート測定
やAIによる効率的な測定と解析を提案します。さらにはビッグデータの有効活用も取り入れながら、構造・化学情報と物性・機能との相関、物理基礎過程の解明も提案します。
【目的】
本研究会ではSPring-8/SPring-8-II/ナノテラスのメリットと課題を理解し、共有し、成果の最大化と共に新分野の創出と新規ユーザーの獲得を目指します。複数のビームラインと複数の分析手法を横断的に使うメンバーが殆どであると予想されるので、具体的な活動としては、 最初の2年間は以下の4点を考えています。①科学テーマや測定手法に関する議論、計測法の高度化・合理化を議論し、発信する研究会の開催、②信頼できるデータの取得法と科学解析の基礎を発信するSPring-8研修会の開催(複数ビームライン、複数手法)、③SPring-8のBL再編の希望の取りまとめ:マテリアル特性と測定環境も考慮するにはどうしたら良いかの希望出しと議論、④国際的かつ学際的な研究フレームの構築。
お知らせ
予告:「環境物質科学研究会」の第2回研究会(宙と地上を繋ぐ物質科学の科学同好会共催)
日時:2025年秋以降の第二水曜日 午後
接続先:宙と地上を繋ぐ物質科学のオンラインセミナーと同じ
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/5504492769?pwd=aVFHTWlEOTdpU3M5L3B1OFRCbDhjdz09
過去の研究会
*****「環境物質科学研究会」の第1回研究会(宙と地上を繋ぐ物質科学の科学同好会共催)*****
日時:2025年3月11日 (火) 13:00~15:00
接続先:宙と地上を繋ぐ物質科学のオンラインセミナーと同じ
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/j/5504492769?pwd=aVFHTWlEOTdpU3M5L3B1OFRCbDhjdz09
プログラム
13:00-13:10 開会の辞:高橋 嘉夫(東大・理・地球惑星科学/地球惑星物理・地球惑星環境&東大アイソトープ総合センター)
http://www-gbs.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~environ/
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/about/
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/
「会結成の趣旨と本日の研究会の目的」
13:10-13:35 有害物質の挙動:藤森 崇(龍谷大・先端理工)
https://sentan.rikou.ryukoku.ac.jp/people/researcher/788/
https://www.rikou.ryukoku.ac.jp/teachers/fujimori.html
「汚染物質の発生源から生物までの環境運命:化学形態を切り口としたアプローチ」
13:35-14:00 エアロゾル化学:坂田 昂平(筑波大・放射線・アイソトープ地球システム研究センター)
https://www.science-academy.jp/showcase/17/pdf/P-059_showcase2018.pdf
「X線(顕微)吸収分光法の大気エアロゾル粒子への応用と将来展望
―結像型X線顕微鏡と深層学習による高精度な粒子特性の把握を目指してー」
14:00-14:25 土壌-微生物系:光延 聖(愛媛大・農/生物環境)
https://yoran.office.ehime-u.ac.jp/Profiles/8/0000712/profile.html
「放射光を使った水田土壌における有害元素(ヒ素)の挙動解析」
14:25-14:50 鉱物・宇宙系:松野 淳也(九大・工・化学工学/エネルギー研究教育機構)
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202201013627415368
「X線CTによる小惑星試料の密度計測と鉱物3Dマッピング」
14:50-15:00 総合討論と閉会の辞:大藤 弘明 (東北大・理・地学/地球惑星物質科学)
https://www.r-info.tohoku.ac.jp/ja/fbeb47c6aa300e74c80cae7893f6dbb7.html
「今後の活動予定と期待、科学同好会とのコラボ」
科学同好会~宙と地上を繋ぐ物質科学~
https://sites.google.com/view/kagaku-doukoukai-earth/home
世話人の一人の岡田京子
Email: kagaku.doukoukai.earth@@gmail.com
(メールアドレスは全角の@@を半角の@に変えてください)