詳細は解説記事に譲るため、ここでは基本的な提案マップの捉え方、利用の仕方について概説します。なお、利用いただく方がアレンジして解釈いただくことは問題がなく、むしろそのようにして思考を広げていただくお役に立てれば幸いです。
担当:
田中孝治(金沢工業大学)
東本崇仁(千葉工業大学)
光原弘幸(徳島大学)
※所属は2025年3月時点のものです.
2025.03.07更新
JSiSE防災研究分野の活性化を目指して作成した経緯もあり、最もシンプルな利用は以下を想定しております。
研究分野に参入するための利用
問いの体系化(問いの体系化曼荼羅 ver.1)に記載されている「根源的な問い(研究者としてどのように防災教育研究に関わっていきたいのか?)」に対して自分なりの考えを持つ
例)卒論として書いて終わりぐらいの関わり、博士研究として長期間の関わり、研究者として生涯をかけた関わり、ターゲットとする能力・スキルの適用先としての関わり、防災教育研究をしたい学生がいた場合のみの関わり、など。
問いの体系化(問いの体系化曼荼羅 ver.1)に記載されている「根本的な問い(研究者としてどのように関わることができるのか?)」に対して自分なりの考えを持つ
例)指導教員の研究の手伝い、共同研究者としての協力、現場実践、実践研究、観察調査、アンケート調査、実験研究、教材開発、学習環境開発など。
理論知と実践知のどちらから問いを考えるのかを考える
理論知の場合:(1)理論に関する先行研究調査 (JSiSE防災避難訓練マップほかを参照)→(2)教育現場および教育実践研究者に関する調査(JSiSE防災教育研究マップほかを参照) → (3)問いの設定
実践知の場合:(1)教育現場および教育実践研究者に関する調査(JSiSE防災教育研究マップほかを参照)※現場体験も含む →(2)理論に関する先行研究調査 (JSiSE防災避難訓練マップほかを参照) → (3)問いの設定
いずれの場合も、上記(2)が省略されがち…
問いを設定する
その問いに自分自身がワクワクするかを評価する
その問いに同分野・他分野の研究者がワクワクするかを評価してもらう
研究を深めるための利用
理論と実践の往還
上記3の問いを考える過程で(2)を省略している場合
理論知による問いを立てた方は、実践知による問いとして、実践現場への適用を意識し、文脈に応じて具体化してみる
実践知による問いを立てた方は、理論知による問いとして、共通の問いへの昇華を意識し、文脈独立に抽象化してみる
上記の図は、解説では明示化されたなかった問いの体系化のモデル図(問いの体系化曼荼羅 ver.1)です。横軸は「理論と実践」の軸であり、縦軸は「研究と自己」の軸として考えています。「理論と実践」の軸を設けることで、実践知と理論知のそれぞれからワクワク(WQWQ)が得られていることが表されています。従来の「処方的な問い」や「記述的な問い」といった問いの内容を重視した体系化とは異なり、研究者の飽くなき好奇心に根差した問いの体系化を試みたいと思い、解説では新たな問いの分類体系を提案しました。理論と実践のどちらかの問いを排他的に捉えるのではなく、両方の問い価値を認めることが大事であると思います。実際に、JSiSEでは一般論文と実践論文に優劣はないとしていることからも、JSiSEらしさが表れているように思います。そのうえで、その分野の発展のためには、その分野のそれぞれのリサーチクエスチョンが、実践知から得られる「課題的な問い」や「機知に富んだ問い」であるのか、または、理論知から得られる「魅力的な問い」なのかを見極め、もう一方の問いとして捉えるとどのような問いと言えるのかを考えていくことが必要であるように思います。その作業こそが、その分野の問いを体系化していくことになるだろうと考えています。一方、「理論」的でもあり「実践」的でもある研究もあるはずであり、「理論か実践か」といった二分法的な軸でいいのかなど、まだまだ議論の余地があると思います。家の外と内の間にある縁側だからこそほっこりできる居場所があるように、どちらともいえない場所をあえて残しておくことも、日本に創られた学会としてありなのかもしれないと思う今日この頃です。
縦軸では、「研究と自己」の軸を設けることで、研究と研究者との接地が表されています。この軸への気づきは、我々のグループが、JSiSE防災教育研究マップを作ろうと話し合っていくなかで、研究と向き合うだけではなく、自分自身と向き合うことが必要になったことから得られたものです。リサーチクエスチョンの体系化を考えるならば、研究で扱う問いの分類・関係づけによる上円部だけを表現すれば事足りるかもしれません。ただ、研究コミュニティは、研究テーマに集う場合もあれば、その研究者としての矜持に惹かれて集う場合もあると思います。そのリサーチクエスチョンを問いにした研究者の想いが、研究を突き動かしていると考えるならば、研究自身に向かう問いとしてその想いを体系化することも必要だと思っています。この属人的な情報(研究と研究者が接地している情報)が含まれることで、真の「人で未来を繋ぐ教育システム情報マップ」に近づいていけるだろうと考えています。一方、果たして、研究と自己は切り離せるものなのだろうかなど、こちらも、まだまだ議論の余地があると思います。むしろ、研究と自己との接地を区切りとして眺めるのではなく、交わりとして眺めれば、研究者としての主客未分が垣間見えるかもしれません。
マップの概説
JSiSE防災教育研究の概観を把握するために、2018年から2024年3月までに掲載された学会誌、研究会、全国大会、学生研究発表会に掲載された論文を調査してみました。2018年を対象の起点とした理由は、2018年35巻2号「安心・安全な社会に貢献する教育システム」特集号が防災教育研究のひとつの契機になったと考えたからです。防災教育研究の論文として抽出する条件は以下のように設定しました。
論文のキーワードにJSiSEカテゴリ表の「防災教育」に記載のキーワード(例.避難訓練)を含む論文
明らかに防災教育研究の論文であると光原が判断した論文(例.キーワードに「ハザードマップ」が挙げられている論文)
なお、手作業で検索・集計した部分もあるため、正確なマップになっていない可能性があることを予めご了承ください。
マップでは、論文の種類、発表年、著者グループで論文を分類し、参照関係を矢印(→参照先)で表しています(解像度の関係で判別しにくくなっていること、ご了承ください)。マップにプロットされた論文は
学会誌 7編(解説論文3編を含む)
研究会 17編
全国大会 24編
学生研究発表会 31編
となりました。本グループでは、このマップが「防災教育研究に取り組む研究グループは少なくないものの、継続的に取り組むには至っておらず、防災教育研究を学会誌論文まで昇華させることが難しい」ことを示しており、その要因を「防災教育のゴールを設定しにくいこと」と捉えています。
このマップの受け取り方は人それぞれだと思いますが、皆さんは、どのように受け取られるでしょうか?
活用例
JSiSEにおける防災教育研究の現状を示したこのマップからは、必ずしも“活発、順風満帆、前途有望”といったポジティブな印象は受けないかもしれません。このマップは、以下に示す論文リストと合わせて、防災教育研究にこれから取り組みたい人たちが、“どのようなグループがどのような研究に取り組んで(発展させて)いるのかを概観し、
ある程度あたりをつけて論文を調査する
JSiSEでは取り組まれていない研究テーマを見つける
共同研究や教育実践の相手を見つける
ことなどに活用していただければ幸いです。
対象となった論文(学会誌7編はJ-STAGEにリンクしています)
学会誌|4編
学会誌(解説)|3編
研究会|17編
松尾 将,小崎 駿,岡崎 泰久,三島 伸雄:“ICTを活用した地域住民によるハザードマップ作成の試用”,教育システム情報学会研究報告,Vol.32, No.6, pp.119-124 (2018)
光原弘幸,入江祐生,獅々堀正幹:“ARとスマートフォンHMDを用いた災害疑似体験システムとその予備実験”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.5, pp.9-14 (2019)
中村大地,蛭沼拓視,Mikromah Amalia,吉本定伸:“小学校の防犯・防災・交通安全教育支援アプリケーション-ユーザーインターフェイスの改良-”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.5, pp.15-18 (2019)
蛭沼拓視,中村大地,Mikromah Amalia,吉本定伸:“小学校の防犯・防災・交通安全教育支援アプリケーション -利便性向上を目的とした機能改善-”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.5, pp.19-22 (2019)
嶌田 聡:“他者のヒヤリハット体験を用いた経験学習による登山者の主体的な学びの支援”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.5, pp.75-82 (2019)
上郡智幸,北川悠一,田中孝治,堀 雅洋:“災害時の避難行動選択のための逆思考問題を用いた学習支援アプリの開発と評価”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.6, pp.125-131 (2019)
岡崎泰久,松尾 将,三島伸雄:“歴史的地方都市におけるICTを活用した住民参加型地域防災マップの評価”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.6, pp.139-144 (2019)
畠山 久,永井正洋,室田真男:“防災マップ作成をテーマとしたICT活用型防災学習の実践”,教育システム情報学会研究報告,Vol.33, No.6, pp.145-151 (2019)
北川悠一,津野駿太郎,田中孝治,堀 雅洋:“災害時の避難行動選択における競合の疑似体験を通して防災学習への動機づけを高める学習支援方式”,教育システム情報学会研究報告,Vol.34, No.7, pp.77-84 (2020)
二本柳綾香,伊藤 恵:“防災教育教材の評価指標に関する調査・提案”,教育システム情報学会研究報告,Vol.36, No.3, pp.39-45 (2021)
小川侑希,川久保颯人,黒木皓太,小谷晃太郎,斉藤祥太,吉本定伸:“小学校向け安全マップ活動支援システム -補助員向け資料作成機能の開発-”,教育システム情報学会研究報告,Vol.36, No.5, pp.4-6 (2022)
谷岡 樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“地震疑似体験VRにおける避難行動記録・再現によるNPC生成”,教育システム情報学会研究報告,Vol.36, No.5, pp.44-50 (2022)
二本柳綾香,伊藤 恵:“出身地域外の防災教育を支援するシステムの調査・提案”,教育システム情報学会研究報告,Vol.37, No.3, pp.26-33 (2022)
光原弘幸,谷岡樹,大江海斗,市野有朔,長濱誠弥,獅々堀正幹:“メタバース内避難訓練の提案と試作システム”,教育システム情報学会研究報告,Vol.37, No.5, pp.45-52 (2023)
畠山 久,永井正洋,室田真男:“ICT活用型防災フィールドワークが地域の特徴の理解に与える効果の検討”,教育システム情報学会研究報告,Vol.37, No.7, pp.128-134 (2023)
小野寺 星,菊地花梨,倉持宏斗,吉本定伸:“小学校向け安全マップ活動支援 システム -ユーザビリティ向上のための機能改良”,教育システム情報学会研究報告,Vol.38, No.4, pp.41-42 (2023)
大江海斗,奥井翔麻,市野有朔,光原弘幸,獅々堀正幹:“メタバース内避難訓練システムの開発”,教育システム情報学会研究報告,Vol.38, No.5, pp.36-41 (2024)
全国大会|24編
柘植葉月, 清水菜々子, 寺崎綾華, 山下直佑, 曽我真人:“ARによる地震時の家具の挙動シミュレーションを用いた防災学習支援システム”,教育システム情報学会第43回全国大会講演論文集,pp.373-374 (2018)
光原弘幸,獅々堀正幹:“ICT活用型避難訓練における他者避難の可視化”,教育システム情報学会第43回全国大会講演論文集,pp.413-414 (2018)
北川悠一,木村雛子,田中孝治,池田 満,堀 雅洋:“災害時の避難行動選択における競合の疑似体験が防災学習への動機付けに及ぼす影響に関する検討”,教育システム情報学会第43回全国大会講演論文集,pp.107-108 (2018)
上郡智幸,北川悠一,田中孝治,池田満,堀 雅洋:“災害時の避難行動選択における情報解釈能力向上のための逆思考問題を用いた学習支援アプリの開発と評価”,教育システム情報学会第43回全国大会講演論文集,pp.287-288 (2018)
竹内 賢,高橋 晃:“VR 避難訓練システムの開発”,教育システム情報学会第44回全国大会講演論文集,pp.17-18 (2019)
山本頼弥,北岡麻耶,井上 啓:“学習者が日常的に利用する場所をVR で再現した地震避難学習ゲームの試作”,教育システム情報学会第44回全国大会講演論文集,pp.121-122 (2019)
岡崎泰久, 井上麻帆, 三島伸雄:“歴史的地方都市における地域住民の情報と行政の情報を集約した地域あんしんマップの試作”,教育システム情報学会第44回全国大会講演論文集,pp.359-360 (2019)
北川悠一,本間くるみ,田中孝治,堀 雅洋:“行動選択フローとハザードマップの連携による水害・土砂災害時の避難行動選択支援アプリの提案と評価”,教育システム情報学会第44回全国大会講演論文集,pp.361-362 (2019)
村瀬孝宏,杉原健一:“防災教育を目的としたポリゴン縮小処理による3次元地形モデルの自動生成”,教育システム情報学会第44回全国大会講演論文集,pp.393-394 (2019)
岡崎 泰久,谷口友望,三島伸雄:“地域あんしんマップ『浜ぁどまっぷ』の実用化に向けた紙地図の試作と評価”,教育システム情報学会第45回全国大会講演論文集,pp.219-220 (2020)
村瀬孝宏,杉原健一:“防災のための土砂災害シミュレーションを備えた3次元地形モデルの開発”,教育システム情報学会第45回全国大会講演論文集,pp.221-222 (2020)
光原弘幸,獅々堀正幹:“マーカレスARを用いて仮想の災害状況を可視化するアプリとその予備実験”,教育システム情報学会第45回全国大会講演論文集,pp.255-256 (2020)
鈴木一郎,松原行宏,岩根典之,岡本 勝:“VRを用いた様々な状況での地震時の避難行動学習支援システム”,教育システム情報学会第45回全国大会講演論文集,pp.257-258 (2020)
嶌田 聡:“他者の登山ヒヤリハットからの主体的な学びの評価”,教育システム情報学会第45回全国大会講演論文集,pp.223-224 (2020)
光原弘幸,獅々堀正幹:“マーカレスARを用いた避難訓練アプリの試作と予備実験”,教育システム情報学会第46回全国大会講演論文集,pp.97-98 (2021)
鈴木一郎,松原行宏,毛利考佑,岡本 勝:“VRを用いた地震時の避難行動体験システムと評価”,教育システム情報学会第46回全国大会講演論文集,pp.99-100 (2021)
岡崎泰久, 目黒達成 , 三島伸雄:“地域あんしんマップ『浜ぁどまっぷ』の情報提供の改善とその評価”,教育システム情報学会第46回全国大会講演論文集,pp.273-274 (2021)
汪 曙東,岩田 淳:“在日外国人向けの防災教育:現状調査および防災教材の作成”,教育システム情報学会第46回全国大会講演論文集,pp.277-278 (2021)
村瀬孝宏,杉原健一:“地層を持つ3D地形モデルの自動生成による土砂移動現象の可視化”,教育システム情報学会第46回全国大会講演論文集,pp.279-280 (2021)
大江海斗,谷岡 樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“VR 避難訓練のための没入型災害設置機能”,教育システム情報学会第47回全国大会講演論文集,pp.117-118 (2022)
岡崎泰久, 長谷部茜 , 三島伸雄:“歴史的町並みの観光客向けあんしん情報提供Web アプリの試作とその評価”,教育システム情報学会第47回全国大会講演論文集,pp.279-280 (2022)
石井大智,中山祐貴,大沼 亮,神長裕明,宮寺庸造,中村勝一:“ソーシャルメディア記事の見極め経験促進を目指した災害留意情報抽出の試み”,教育システム情報学会第47回全国大会講演論文集,pp.143-144 (2022)
市野有朔,大江海斗,光原弘幸,獅々堀正幹:“避難訓練VRにおけるリプレイ機能を用いた振り返り支援”,教育システム情報学会第48回全国大会講演論文集,pp.85-86 (2023)
大江海斗,谷岡 樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“津波避難疑似体験VRにおいて想定と異なる津波到達時間が避難行動に与える影響”,教育システム情報学会第48回全国大会講演論文集,pp.197-198 (2023)
学生研究発表会|31編
寺崎綾華,柘植葉月,曽我真人:“地震による家具挙動ARシミュレーションを用いた震災の学習支援システム”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(関西地区),pp.157-158 (2018)
中大貴,光原弘幸,獅々堀正幹:“VR技術を用いた災害時心理バイアス疑似体験システムの開発”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(四国地区),pp.245-246 (2018)
藤本篤,光原弘幸,獅々堀正幹:“多人数参加を考慮したデジタル版逃げ地図”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(四国地区),pp.247-248 (2018)
元田遥,光原弘幸,獅々堀正幹:“多様な状況下における災害対応力を育成する防災カードゲームの開発”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(四国地区),pp.249-250 (2018)
室川優希,光原弘幸,獅々堀正幹:“ICTを活用した津波避難訓練システムにおける津波シミュレーションの自動作成”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(四国地区),pp.251-252 (2018)
森田竜成,田中久治,岡崎泰久:“地域ハザードマップを用いた避難経路確認アプリケーションの開発”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(九州地区),pp.257-258 (2018)
相良拓郎,田中久治,岡崎泰久:“位置情報に基づく危険箇所確認アプリケーションの開発”,教育システム情報学会2017年度学生研究発表会(九州地区),pp.259-260 (2018)
高松遼平,北川悠一,田中孝治,堀 雅洋:“避難行動選択時に異なる種類の情報参照を促すタッチゲームによる先行刺激に関する検討”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会(関西地区),pp.83-84 (2019)
檜垣碧,岡本 勝,松原行宏,岩根典之:“ARを用いた環境下に応じたマーカによる移動型避難訓練システムの構築”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会(中国地区),pp.195-196 (2019)
中尾 練,光原弘幸,獅々堀正幹,上月康則:“Augmented Realityによるブロック塀倒壊危険性の提示”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会(四国地区),pp.221-222 (2019)
Sen Saurav Kumer, Hiroyuki Mitsuhara, Masami Shishibori:“Educational Game for Learning How to Survive Earthquake”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会(四国地区),pp.223-224 (2019)
Liu Meiqin, Hiroyuki Mitsuhara, Masami Shishibori:“Introducing Gamification into Disaster Education for Foreigners Living in Japan”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会(四国地区),pp.225-226 (2019)
時津颯麻,中山功一,岡崎泰久:“画像処理によるドローンの自律飛行制御システムの開発”,教育システム情報学会2018年度学生研究発表会( 九州地区),pp.233-234 (2019)
速水麻琴,今井亜湖:“水害を題材とした小学校防災教育プログラムの開発”,教育システム情報学会2019年度学生研究発表会(東海地区),pp.83-84 (2020)
鈴木一郎,松原行宏,岩根典之,岡本 勝:“リアルタイムフィードバックによる VR型状況別地震対策学習支援システム”,教育システム情報学会2019年度学生研究発表会(中国地区),pp.153-154 (2020)
中尾 練,光原弘幸,獅々堀正幹,上月康則:“実測データを用いてブロック塀倒壊を可視化するARアプリ”,教育システム情報学会2019年度学生研究発表会(四国地区),pp.225-226 (2020)
谷口友望,田中久治,岡崎泰久:“実用化に向けた手作り地域あんしんマップの試作”,教育システム情報学会2019年度学生研究発表会(九州地区),pp.250-251 (2020)
三田大輝,長坂柚衣,佐藤日夏汰,吉本定伸:“小学校向け安全教育支援システム - アプリケーションの機能とUIの改良 -”,教育システム情報学会2019年度学生研究発表会(沖縄地区),pp.252-253 (2020)
治面地 俊,岩根典之,松原行宏,岡本 勝:“ 広島豪雨の被災状況を現地で体験できる災害学習アプリの開発”,教育システム情報学会2020年度学生研究発表会(中国地区),pp.191-192 (2021)
谷岡 樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“Virtual Realityを用いた不意打ち地震疑似体験における行動分析”,教育システム情報学会2020年度学生研究発表会(四国地区),pp.211-212 (2021)
大浦颯馬,光原弘幸,獅々堀正幹:“携帯情報端末とBLEビーコンを用いた避難訓練の試験的実践”,教育システム情報学会2020年度学生研究発表会(四国地区),pp.213-214 (2021)
三好直樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“安全なプレイを指向した津波防災学習用位置情報ゲーム”,教育システム情報学会2020年度学生研究発表会(四国地区),pp.215-216 (2021)
目黒達成,田中久治,岡崎泰久:“地域あんしんマップの実用化に向けた情報提供の改善”,教育システム情報学会2020年度学生研究発表会(九州地区),pp.237-238 (2021)
鈴木一郎,松原行宏,毛利考佑,岡本 勝:“VRを用いた地震災害体験システムの開発”,教育システム情報学会2021年度学生研究発表会(中国地区),pp.153-154 (2022)
福本孝生,大井 翔,佐野睦夫,後藤壮史:“ VRを用いた避難体験アプリケーションの開発と避難体験者の避難行動分析”,教育システム情報学会2021年度学生研究発表会(四国地区),pp.205-206 (2022)
天野順幾,今井亜湖:“小学校教員対象の防災教育動画教材ポータルサイトの開発”,教育システム情報学会2022年度学生研究発表会(東海地区),pp.91-92 (2023)
紀 智哉,林 佑樹,瀬田和久:“体験型防災学習による理解スクリプト形成支援システム”,教育システム情報学会2022年度学生研究発表会(関西 地区),pp.143-144 (2023)
大江海斗,谷岡 樹,光原弘幸,獅々堀正幹:“津波避難疑似体験VRにおいて想定と異なる津波到達時間が避難行動に与える影響”,教育システム情報学会2022年度学生研究発表会(四国地区),pp.235-236 (2023)
五味 空,辻 利則:“Webアプリを用いた防災教育の実践”,教育システム情報学会2022年度学生研究発表会(九州・沖縄地区),pp.259-260 (2023)
徳久 毅,武内龍伸,松田憲幸:“被災体験における避難行動の類型化に基づく発想転換を促す教材設計”,教育システム情報学会2023年度学生研究発表会(東海地区),pp.55-56 (2024)
伊井千尋,市野有朔,光原弘幸:“VR避難訓練の振り返りを支援する視線可視化”,教育システム情報学会2023年度学生研究発表会(四国地区),pp.155-156 (2024)
マップの概説
JSiSE防災避難訓練マップは、本解説を執筆するにあたり、光原解説のGLIモデルと田中解説のBPDMモデルを結合した新たなモデルである『Global Local and Individual on Branch-Pipe decision-making in evacuation-drill model (GLI-BPモデル)』をマップとして扱うものです。各構成要素について、詳しく知りたい方は、光原解説と田中解説をお読みいただければと思います。
活用例
JSiSE防災教育研究マップで明らかになったように、研究会・学生研究発表会、全国大会では、少なくない数の防災教育研究が発表されています。しかし、学会誌への掲載に繋がっていない現状が伺えます。様々な要因はありますが、理論的な研究の位置づけを見つけにくく、査読をディフェンスできないこともその要因の一つであると考えてます。以下に活用方法の例を挙げますが、その限りではありません。
自身の防災教育のアイデアに関する理論的な概念を見つける
既刊の防災教育研究のリサーチクエスチョンを整理する
Winsome Questionsの基盤になる理論的な概念から防災教育のアイデアを考える
マップで捉えている「問い」になりうる学習の困難性
教材に起因する困難性
学習場面と現実場面の差異:学習場面における場所、シナリオ、視聴覚情報が、現実場面と異なることによるリアリティの欠如
[文脈依存的な例]:学習者の眼前に災害状況があるかのように見せることが困難【光原解説:リアリティのくぼみ,田中解説:リアリティの壁】
[文脈依存的な例]:学習環境となる仮想世界を学習者が生活する現実世界に近づけることが困難【光原解説:仮想と現実を隔てる谷,田中解説:リアリティの壁】
[抽象化された問いの例]:学校知と日常知の齟齬をいかに解消するのか?
学習者に起因する困難性
経験の逆機能:学習経験が学習判断に及ぼす負の影響
[防災教育での例]学習者の経験(ex. 被災経験や防災学習)が、防災行動(ex. 避難行動や防災行動)における災害の固定化を招く【光原解説:思い込みの穴,田中解説:災害固定化の壁】
[抽象化された問いの例]学習者の学習判断の正確性(キャリブレーション)をいかに向上させるのか?
[抽象化された問いの例]学習者の固着(心的構え)をいかに解消するのか?
知識と行動の不一致:学んだ知識を学習者自身の理論と分離して保持
[文脈依存的な例]:学んだ知識(防災知識)が行動(避難行動)として具現化されない【田中解説:知識と行動の不一致】
[抽象化された問いの例]:学校知と日常知の齟齬をいかに解消するのか?
マップで捉えている先行研究「問い」
教材に関する問い
“ほどよい恐怖”とは?
”ほどよいXR”とは?
主体的な判断を促すための学習シナリオはどのようなものか?
個別学習シナリオをいかに共有するのか?
学習効果に関する問い
身体動作を伴う学習は避難行動の理解を促進するのか?
前提条件の見直し(状況の再定義)が行為スクリプトの形成を促進するのか?
マップで捉えきれていない問いの例
防災・減災に繋がるような「楽しさ」をいかにつくるのか?
被災時における自助による心的回復力をいかに高めておけるのか?
なお、これらの問いの体系化や構築されたマップの構築は、現時点での成果であり、今後の議論によって、更新される可能性が大いにあります。閲覧者の皆様の批判的な検討の対象にしてただければ、作成者一同、たいへん嬉しく思います。