詳細は解説記事に譲るため、ここでは基本的な提案マップの捉え方、利用の仕方について概説します。なお、利用いただく方がアレンジして解釈いただくことは問題がなく、むしろそのようにして思考を広げていただくお役に立てれば幸いです。
担当:
山元翔(近畿大学)
田和辻可昌(東京大学)
林佑樹(大阪公立大学)
※所属は2025年3月時点のものです.
2025.02.12更新
最もシンプルな利用は以下を想定しております
研究を深める・広げるための利用
構築したマップ(基礎-応用、フロンティア)にて、現在の研究、あるいはアイデアを仮に位置付ける
自身の研究が仮に位置付けられたら、
すでに一段落している研究であれば、
マップの周囲に位置づくような研究ができないかを検討する / あるいはそのような研究を調査する
問いの体系化を踏まえて、他の問いかけができないか、対象を洗練できないかを検討する / あるいはそのような研究を調査する
まだ検討中の研究であれば、
マップの同じエリアにあるような研究を調査する
問いの体系化を踏まえて、どのような問いかけ、あるいは対象なのかを検討する / あるいは同じ対象における研究を調査する
適宜研究の進捗に応じて、2を繰り返す
研究を繋げるための利用
構築したマップ(基礎-応用、フロンティア)にて、現在の研究、あるいはアイデアを仮に位置付ける
自身の研究が仮に位置付けられたら、マップの周囲に位置づくような研究者を調査する
基礎-応用においては、自身の研究と同じ領域であればそれを深めるような研究をされているかを確認し、異なる領域の研究であれば、自身の研究とつながるようなエリアであるかを確認し、連携を検討する
フロンティアにおいては、その研究者がどのようなアプローチで研究しているかを仮に位置付け、自身のアプローチと同じか、違うか、そしてそうであればどのように連携できるかを検討する
互いの位置付けを明確にして、打診する
# なお、これをしたからといって確実な連携を約束するものではありません。あくまで、どう共同研究できるかを一つの視点でまとめたものです
研究分野に参入するための利用
構築したマップ(基礎-応用、フロンティア)にて、自身の研究がどのエリアに位置付きそうかを検討する
そのエリア、および周囲のエリアに位置づく、JSiSEの研究を調査する
この際、問いの体系化に基づいて、どのような状況で何を問うているかを検討する
自身の研究を問いの体系化に基づいて整理したとき、マップのどの位置に位置付きそうかを検討する
適切に位置づいたと考えられれば終了し、そうでなければ1から繰り返す
上記は様々な状況(学習・教育における対象)に対して、どのような問い方をするかによって、教育システム情報学における問いを体系化するものです。
よって、様々な研究を調査等した際に、同じ状況や類似する状況であれば、その問い方を検討することで、自身の研究に関与する研究を発見することができます。また、異なる問い方を検討することで、自身の研究をどう発展させるかを検討することも可能です。
なお、顕在的ニーズはいわゆるニーズと同様に、多くの人が求めているものになります。潜在的ニーズは多くの人々が求めている形で顕在化はされていないが、理論によって検討した際に、確かにそれが必要であると見出されるニーズのことです。
縦軸にその研究の適用範囲、横軸に基礎-応用をとったものです
縦軸は大まかに、「個人」「グループ」「教室」「学校全体」「世間全体」に分けることができます
横軸は、「基礎・理論」「モデリング」「システム開発」「社会実装」に分けることができます。
基礎や理論に基づいてモデリングを行い、モデルに基づいてシステムが実現され、最終的にはそのシステムが社会実装されるという関連です
ただし、社会実装から実現されるものや、システム開発から実現されるものもあり(例えばシステムが実装されてから、そのログデータを収集することで、新たなモデルが見出される場合もある)、必ずしも一方向というわけではありません
活用例
例えば、システム開発をしたのであれば、その対象者を増やす/減らす(縦軸)、モデル化する、実装する(横軸)研究の調査や、研究の発展が検討できる
隣り合う研究や、同じ位置の研究は、関連研究になると言えます
よって同じ位置付け、あるいは隣り合う研究をしている研究者にアプローチすることで、共同研究に発展することも考ええられる
現在まだプロトタイプの域を出ませんが、中央が教育システム情報学において解き明かすべき、教育や学習における問いにつながっています。これは、様々なアプローチ(あるいはperspectiveと呼んだ方が適当かと思われます)によって異なった表現になるかもしれませんが、例えば「理解とは何か」のような根源的な問いにつながるでしょう。
現在は周囲に6つのアプローチを置いており、それぞれのアプローチを行きつ戻りつしながら、フロンティアへと向かう構図です。例えば技術基盤アプローチであれば、様々な技術の発展を活用しながら、以下に人の学びや教育を深めるかというアプローチになるでしょうし、技術を中心にアプローチしつつ、学習者中心のアプローチを組み合わせることで、新たな道が見えることもあるかと思います(具体例については解説を参照ください)
また、それぞれのアプローチにおいても、主たる問いはあると考えられ、それは別のアプローチにおいては中心ではない問いになるかもしれません。しかし、これらの問いを少なくとも同じアプローチの研究者同士では共有し、モデルを抽象化、あるいはそれを用いて実際の現場に具体化することで、その手法・アプローチを洗練できると言えます。
(つまり、それぞれの領域において、三次元目のZ軸には、モデルを交差点にして、基礎-応用マップが位置づくと言えます)
以上は最終版ですが、サムネイルにもなっている試行錯誤版は以下にございます
なお、これらの問いの体系化やマップの構築は、教育システム情報学オントロジーに基づいて考察されたものですので、よろしければ解説に記載のオントロジーも参照ください。