日本心理学会第87回大会

企画シンポジウム

学問の世界は日進月歩.私たちは研究者として教育者として,常に知識を更新する必要があります.心理統計という私たちの「道具」にしても同じことです.例えば50年前,25年前,そして今の『心理学研究』誌を手に取って(J-STAGEにアクセスして),ご自身の専門に近いテーマの論文を読んでみてください.用いられている手法も,あるいはその時何が常識とされていたかも,大きく変化していることに気づくでしょう.

中堅・ベテランの方々は「心理統計の専門家でもないのに,道具の発達に追いつくのはしんどい」と,若手の方々は「最新の情報を知っていればよく,基礎に目を向ける暇などない」とおっしゃるかもしれません.わかります.しかし,この状況を放置すると,やがて論文が読めなくなり,論文が書けなくなり,研究ができなくなります.そして,論文を読む教育が,書く教育が,そして研究指導ができなくなります.

私たちは,私たちが研究者として教育者として,常に知識を更新できるような環境を整えられないか,と考えました.そして,そのためにそれぞれがバラバラに努力するのではなく,それを結集するべく心理学会として頑張ってみよう,という結論に至り,2021年8月に本委員会が発足しました.昨年度大会では,多くの大学で必修科目となるだろう「Basic Statistics(ベシスタ)」シラバス案を提示して,その意図と効用について議論しました.

本年度は,この「ベシスタ」シラバス案に沿って作成した汎用の小テストの内容と実施環境をご紹介して,試用してくださった大学からコメントをいただきます.また,「ベシスタ」に塗り重ねる「Standard Statistics(スタスタ)」のカリキュラム構想についてもご紹介します.

心理統計あるいはその教育に現に携わっていようがいまいが,ああこれは「じぶんごと」だな,と捉えてくださった方々のご参加を心よりお待ちしております.是非積極的にご意見・ご議論いただければ幸いです.

シンポ中の質疑応答はこちら(sli.do)

シンポジウム当日動画こちら(YouTube)