第 19 回の学術集会を担当いたします、広島工業大学の江田と国立長寿医療研究センターの佐藤です。
今回の大会テーマは「数値化される感動:計測技術が暴く音楽治療の美しい虚構」という、チャレンジングなものにしました。音楽療法において、効果をデータでもって客観的に示すことの重要性は論を待ちません。しかし、数値で示されたならそれはすべて正しいかというと、必ずしもそうではありません。データで示すことは、有効であることの必要条件ではあっても、十分条件ではないのです。
世の中には、「科学的に証明された」とか「論文で報告された」というフレーズを用いて、有効性を視聴者にアピールする商品が溢れています。きちんとした手法に則り、妥当な解釈でもって考察が記載され、評価の定まった雑誌に掲載された論文であれば良いですが、いい加減な方法で自身の希望に添ったデータを集め、昨今問題になっているいわゆる“ハゲタカジャーナル”に掲載された論文は、学術的価値がゼロであるばかりか、読者を惑わせるという意味で害悪ですらあります。報告された内容を正確に理解し、節度を持って批評するだけでの素地と考え方を、われわれは持たねばなりません。
本学術集会は、データと数値の重要性と限界を示すことを目的とします。
今回はオンライン開催といたしました。インバウンド客の増加により宿泊予約が取りにくく、会場の費用も高額になっていることが大きな理由です。参加者同士が実際に顔を合わせ言葉を交わすことでしか得られない満足感があることは事実です。一方で、オンライン開催は、職場や家庭の事情で現地に赴くことは出来ないひと、健康上の問題で移動に困難を伴うひとも参加出来るというメリットもあります。
多くの方々のご参加をお待ちしております。
2025年 8 月 6 日
~80回目の原爆記念日に~
第 19 回日本音楽医療研究会学術集会
大会長:江田英雄
副大会長:佐藤正之