スローロリスの密猟・密輸問題

To stop illegal trade of slow lorises

スローロリスをおびやかすもの

アジアの森には5種のスローロリスがいますが、いずれも絶滅が心配されています。そのおもな原因は、生息環境の破壊、そしてペット目的の捕獲です。

森でつかまえられたスローロリスが、どこか別の国に運ばれるあいだに生き残っていられる確率は非常に低いです。1頭のスローロリスをペットとして売るために、その何倍ものスローロリスの命が失われてきました。

こうした事態に歯止めをかけるため、野生のスローロリスをペットとして輸入・輸出することは禁止されています※1

しかし、どれだけ厳しい規制がかけられても、スローロリスが直面している危機を知らずにペットにしたがる人がいるかぎり、高値でスローロリスを買ってしまう人がいるかぎり、密猟・密輸でもうけようとたくらむ人がいなくなることはありません。

※1 2007年以降、スローロリス属全体としてワシントン条約附属書Ⅰに掲げられており、商業目的での国際的な取引は原則禁止されている。

保護されても、もとの森へは帰れない

空港の税関などで密輸が摘発され保護されたとしても、無理な運搬で弱っているスローロリスは、半数近くが保護のあとまもなく死んでしまいます。なんとか生きていても、骨折をしていたり栄養失調に陥っていたりして、しばらくの間、設備の整った飼育施設での手厚い治療と飼育管理が必要になります。

また、どこの森でくらしていたのかを特定する方法もないため、いちど森の外へ連れてこられたスローロリスがもといた森へ帰ることは、ほぼ叶いません。

短期間のあいだに何百頭もの仲間を失った森。

そこに残されたわずかな野生のスローロリスたちだけで、はたして子孫を残し命をつないでいけるでしょうか。

そして、スローロリスにとどまらす、同じ森にくらすさまざまな生きものたちへの影響も計り知れません。

一般家庭で気軽に飼える生きものではない

スローロリスは、霊長類で唯一、毒をもっています。場合によっては、アナフィラキシーショックを発症する原因にもなります。

それに加えて、するどい歯をもっています。

なお、ペットとして売られる際に歯を抜かれてしまった個体も多く、そうなれば野生に戻る道は完全に閉ざされます。それだけでなく、歯を抜かれたところから口の中の健康が悪化し、命に関わる事態になることもあります。

さらには、栄養管理が非常にむずかしく、一般家庭で彼らを健康に飼うにはたいへんな苦労がともないます。

レッサースローロリスの頭蓋骨

すべての人が「スローロリスをペットにしない」と決断すれば、密猟・密輸しようとする人もいなくなるはずです。将来、彼らが絶滅の危機から脱することができるかどうかは、わたしたち一人ひとりの意識と行動にかかっています。

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