2015年5月1日
4/25・26日の週末に第1回スタディツアーとして宮城県は女川町を訪れました。
テーマは「津波・震災後の町」
先月3月21日に開業(これにより4年ぶりに石巻線が全線開通)したばかりの女川駅に25日午前に到着し、濃密な2日間が始まります。
4年前の津波で多くの人の命と暮らしが失われた女川町。そこでは様々なアクターによる町の再生が進められていました。
まずは、震災後に建設された大型冷凍冷蔵施設「MASKER」見学と副理事長・石森さんとのディスカッション。子どもたちのために大人が挑戦し続けなければならない、とのお言葉が印象的でした。
復興まちづくり情報交流館にて役場の新田さんに女川の歴史・復興への取り組みをご説明いただいたあとは、きぼうのかね商店街へ。Uターンで女川へ戻ってこられたご主人の店で女川クラフトビールをいただきます。
宿泊はトレーラーハウス「El faro」で。地元産の食材を使ったお料理をいただき、夜はメンバー間で親交を深めたようです。
2日目午前中はNPO法人アスヘノキボウ・桑原さんとのセッション。関東出身で震災後に女川に「外から」関わるようになった桑原さんに、取り組みや目指す町の姿をお伺いしました。
名物「女川丼」を堪能したあとは、東北電力女川原子力発電所へ。
4年前の震源地から最も近い原発であったにもかかわらず安全に停止した女川原発。厳重な警備の中、実際に原発敷地内を見学させていただきました。「想定外は許されない」という信念に裏付けられた災害・テロ対策の一部を直接説明していただきました。情報・現場を可能な限り公開することで信頼を得る努力をなされているのを感じました。
2日間を通じて強く感じたのは「現場に行くことの大切さ」そして「現場に行かずに語ることの浅はかさ」でした。その土地で生きている方々や自然と接することで初めて分かるものがたくさんあります。
今回女川を訪れた我々がすべきことは、女川についてのありのままを周りに語ること、そしてまたいつか女川を訪れることだと思っています。
関係者のみなさま、貴重な機会を経験させていただき誠にありがとうございました。夏に水揚げされた女川産サンマを食べるのを心待ちにしております。
留学先でこの体験を共有できるよう、英語で活動報告書を作成いたしました。
活動内容や旅程の詳細・感想をまとめてありますので、ぜひご覧ください。
2015年6月6日
5月30・31日に第2回スタディツアーとして群馬県南牧村を訪れました。
テーマは「過疎化と地方創生」
2000人あまりの村民のうち、65歳以上の高齢者が59%を占めていることで“高齢化率日本一”の称号を与えられた南牧村で、私たちは決して都会では得られない「真の豊かな生活」について考えました。
1日目、村役場で南牧村の現状や高齢化対策のお話を茂木さん(南牧村総務部 村づくり・雇用推進課課長)に伺ったのち、Iターンとして南牧村に移住した五十嵐さんに出会いました。自宅で自然農園を経営するかたわら、空き家を改装してカフェ開設を目指す熱意を語っていただきました。
夕方には茂木さんの案内で町役場周辺の古民家を訪れ、地元の方と実際にお話をしました。群馬県の天然記念物にも指定されている「線ヶ滝」でマイナスイオンを体中に浴びた後は宿泊先「かじか倶楽部」にて茂木さんとともに山の幸をふんだんに使った夕食を囲みました。星尾川のせせらぎ音を聞きながら入る桶風呂や、木の香りを感じられる畳部屋と合わせて古民家にしかない贅沢な時間を堪能しました。
2日目は「かじか倶楽部」の米田さんに教えていただきながら、星尾川での釣り体験・薪割り体験・南牧村の山菜を使ったピザ焼き体験に挑戦です。都会生まれ都会育ちのメンバーが多い中、自然に正面から向き合う貴重な機会でした。
南牧村の伝統産業であるこんにゃく生産や絹業の道具や戦時中の資料などを民俗資料館で見学したのち、再び五十嵐さんにお会いして自然農法と住宅が一体化したお宅を拝見し、帰路につきました。
私たちの想像に反して南牧村の方々は“高齢化日本一”であることを悲観していないようです。都会のような便利さはなくとも、都会にない豊かな自然・温かい人々をもつ南牧村の魅力を体感し、このような地方都市が日本を支えているとの思いを強くしました。
帰京後、参加者が感じたことを英文記事にまとめました。
活動内容・旅程の詳細、感想をまとめてありますのでぜひご覧ください。
2015年6月22日
6月13・14日に第3回スタディツアーとして福島県福島市・浜通りを訪れました。震災から4年がたち、ますます被災地への関心が薄れているなかで、実際に福島を訪れることに意義があるように思います。
テーマは「福島のいまを受け止める」
1日目は「聞く」こと、2日目は「見る」ことをテーマとして掲げました。
1日目:「聞く」
様々な立場の方にお話を伺いました。まず「除染情報プラザ」を訪れました。ここは、環境省と福島県が運営している団体で、放射線についてわかりやすく説明し、福島県内の状況について解説している施設でした。週末には大学教授も待機していて、ここではいわば「行政・専門家」の視点から福島の状況を学びました。
その次に訪れたのが、常円寺というお寺でした。ご住職がボランティアで市内の除染活動に従事されており、そうした活動やその裏にあるお気持ちを伺いました。さらに、お寺の敷地を汚染土の仮置き場としても提供なさっているので、そこを見学したほか、実際に周辺を線量計で計測しました。ここでは、「市民」の視点から福島の状況を学びました。
2日目:「見る」
福島県内の各地を回りました。飯舘村からはじまり、南相馬市に入り、国道6号線を通りいわき市へ。目の当たりにしたのは、放射能の影響でまだなお人が住むことができない地域と、津波の被害がそのまま残っている地域でした。この光景を自分たちの目で受け止めて関心を持ち続けること。それが、今すぐに私たちができる最低限のことではないでしょうか。