JISS6期は6月8日と9日に福島県にて「福島における復興の現状を知る」というテーマの下、スタディツアーを行いました。
日本に、巨大地震、津波をもたらし、そして原発の危機という深い傷を残し続けている東日本大震災。当時小学生、中学生だった私たちの記憶にも鮮明に当時の光景が残っています。あれから8年が経ち、ニュースの報道が減り、復興庁が2年後にはなくなり、そして震災の記憶を持たない世代が生まれていく中で、海外にだけではなく、国内においても、記憶を伝える必要性は高まっています。私たちは勉強会で培った知識をもとに、福島の現状を知るべく、福島県浜通りに赴きました。スケジュールは主に以下の通りです。
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(8日)
・福島大学にて天谷特任教授にお話を伺う
福島大学天谷教授に、地元福島からみた、復興事業継続の必要性を熱く語ってくださいました。キーワードとなったのは「想像力」と「人権からみた支援」。いかに当事者ではない人間が、相手の立場に立ち、気持ちを考えることができるのか、という想像力が、どの世界でも求められることを強く感じました。
また、「人権から見た支援」のお話では、日本の避難所の様子が、戦前と全く変わっていないこと、海外に比べて劣悪な環境であることなどを知りました。さらに、南海トラフでは750万人の避難者が出るという衝撃的な事実を学び、いかに災害対策、避難所環境の改善が急務であるのかを突き付けられました。
・川俣町産業課宮地さんによる川俣町の案内
実際に、強制避難区域になったところを案内していただき、除染作業のお話や、仮設住宅の見学、そしてそこに住んでいた方の様子などを聞きました。そこには、よく取り上げられる、負の側面だけではなく、言いにくくはありつつも、正の側面もあったことを知りました。その正の感情は、「復興」とはなんだろうという問いにも繋がっていました。果たして本当に、被災前に戻ることが復興なのか?震災復興の根底にある、地方産業の問題点なども見え隠れしていました。
今回のお話を通し、県外から自ら手をあげて福島に住み込み、住民の皆様に寄り添って復興を手助けされている、宮地さんの人柄に感銘を受けました。
(9日)
・あすびと福島への訪問
まずは、未だ強制避難区域である地域、避難解除された地域へマイクロバスで連れて行っていただきました。初めて、時間の停止を感じました。避難解除されても、戻る人は少なく、高齢者が多かったです。さらに、放置されている倒れたブロック塀や、ぼうぼうに生えた草、かつては家があったであろう家の土台がそこら中にありました。ましてや避難解除されていない地域は、家の姿さえ草木で見えにくい。しかも避難区域の違いは、道路一本挟んだだけということもあるのです。
そのような街を見てから、かつては雇用を生み出したであろう、そして今はこの地を更地に変えてしまった福島第二原発を肉眼で望んだ時、どこにぶつけていいかわからない、なんとも言えない感情が湧きました。
後半は、あすびと福島が行なっている人材育成の話について伺いました。高校生や大学生が地域を発信し、地元について知ろうとする熱意ある姿に、留学に行く私たちも心を打たれました。彼らとの意見交換の時間も設けることができ、楽しい時間になりました。
・松川浦漁港
松川浦漁港で、港の復興などのお話をお聞きしました。海底のがれき排除など、長い復旧作業を通してでも、地元の港を復興させたい、地元の港を使いたいという強い思いを感じました。
また、新しい津波に備えた、乗り上げ堤防などの、工夫した町づくりも行われており、以前の街を超えるような復興も見ることができました。
そして、その脇には、津波の記憶を残す資料館や、慰霊碑が海を望む形で建てられており、あの時の記憶を未来に伝えようとする思いも目にすることができました。
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2日という短い期間で、福島における原発事故の問題や、被災地の今の状況を知ることができました。しかし同時に、今回学んだことも一側面であり、新たな問題意識を持ち、さらに見聞を深めることが必要であるとも感じました。
2回目のスタツアということもあり、意見共有する時間を多く設けることができるなど、全体的に余裕があるツアーになりました。
また、前回参加できなかったメンバーとも、親睦を深めることができました!
尚、今回のスタディツアーでの学びについては、メンバーそれぞれがアウトプットをしていくのと同時に、一つの記事にまとめていきたいと考えています。記事が完成した際にはホームページにてご紹介する予定です。ぜひご覧ください!
最後に、この場を借りて、本ツアーにご協力いただいた全ての方々に深くお礼申し上げます。ありがとうございました。