9月19日(土) 16:00~18:00 RY303教室
R-01 一寸の虫にもラブの魂 XII
宮竹 貴久(岡山大院・環境生命)・日室 千尋(岐阜大・応用生物科学)
9月19日(土) 16:00~18:00 RY304教室
R-02 「聴く・伝える」行動生態学:分類群を超えた生物音響学の最前線
立田 晴記(九大院・生物)・中野 亮(農研機構・植物防疫)
9月19日(土) 16:00~18:00 RY305教室
R-03 魚類の繁殖戦略の進化が性淘汰にもたらす影響―ゲノムから行動まで
近藤 湧生 (大阪公大・理学)・藤本 真悟 (琉球大・技術部)
9月21日(月) 10:00~12:00 RY303教室
R-04 ヒトという動物を考える:ヒト研究者と動物行動学者の対話
太田 菜央(兵庫県立人と自然の博物館)・瀬口 瑛子(東京農工大学・農)
9月21日(月) 10:00~12:00 RY304教室
R-05 生物ナビゲーション研究の最前線―若手研究者が拓く新たな展開―
依田 憲(名大院・環境学)・飛龍 志津子(同志社大・生命医科)
9月21日(月) 10:00 – 12:00 RY305教室
R-06 目的論の自然化とは?:心,倫理,利他,進化
辻 和希(琉球大・農学部)
ラウンドテーブルR-01
一寸の虫にもラブの魂 XII
宮竹 貴久(岡山大院・環境生命)・日室 千尋(岐阜大・応用生物科学)
「虫の恋愛」と聞いて、笑ったあなた。——その油断が危ない。
昆虫たちの世界では、愛と性は命がけだ。巨大な“アレ”を武器に戦う者、交尾相手をめぐって心理戦を仕掛ける者、さらには繁殖そのものが他種への“侵略”になる者までいる。まるで昼ドラと『新世紀エヴァンゲリオン』を同時上映したような世界である。
人類は理性というATフィールドで本能を囲い込もうとしてきた。しかし、その防壁を容易に突破してくる存在がいる。ラブとエロだ。目をそらしながらも、つい見てしまう。禁止されるほど知りたくなる。——それは使徒に魅せられる人類と同じかもしれない。
実は日本は、世界屈指の“昆虫エロ研究大国”。南北に長い列島と複雑な自然環境のなかで、研究者たちは虫たちの驚異の繁殖戦略を次々に発見し、世界へ衝撃を与えてきた。
第12回「ラブ魂」、襲来。今回のテーマは、巨神兵級の武器を持つ吸虫、魅惑のフキバッタ交配、繁殖干渉の応用可能性——そして、第12の使徒のように理解不能で魅惑的な“虫たちの愛”。でも大丈夫。もし内容が刺激的すぎても、心の中の綾波レイが、きっとあなたを守ってくれる。逃げちゃダメだ。虫のエロからも、進化の謎からも。
【話題提供者】
「兵隊カーストをもつ寄生虫:二生吸虫のレジア幼生の繁殖分業」
〇三浦 健太郎(北大・水産)・和田 哲 (北大・水産)・三浦 収 (高知大・農林海洋)
「染色体変異をもつサッポロフキバッタにおける集団間交配機構」
〇粂井 詩帆(帯広畜産大学・昆虫生態)・熊野 了州(帯広畜産大学・昆虫生態)・立田 晴記(九大・理)
「種間セクハラで害虫防除--害虫ミバエ間の繁殖干渉応用の試み」
本間 淳( 沖縄県防技セ/琉球産経)
ラウンドテーブルR-02
「聴く・伝える」行動生態学:分類群を超えた生物音響学の最前線
立田 晴記(九大院・生物)・中野 亮(農研機構・植物防疫)
生物にとって「音」は、生存や繁殖、さらには他者との関係性を構築するうえで、極めて強力な情報メディアである。捕食者から逃れるための微細な振動から、広大な海洋を伝播する水中音、さらには同種認識を支える精緻な音響シグナルに至るまで、生物が進化の過程で獲得してきた音響コミュニケーションの様式は、驚くほど多様である。近年、デジタル録音技術や解析アルゴリズム、さらに振動測定技術が飛躍的に発展したことで、これまで捉えきれなかった「生物たちの音の世界」が次々と明らかになりつつある。本ラウンドテーブルでは、異なる分類群を対象に生物音響学の最前線で研究を行う3名の研究者が登壇する。一見すると、対象とする分類群や音の伝播媒体(水・空気・基質)はそれぞれ異なるが、「音を介した適応戦略の解明」という共通のテーマと、「基礎的な行動生態学の知見を、いかに保全や農林水産技術といった社会実装へ還元するか」という問題意識によって強く結びついている。最新の知見と技術的アプローチを共有することで、分類群の枠を超えた生物音響が切り拓く動物行動学の未来と、異分野融合がもたらす新たな可能性について議論を深めたい。
【話題提供者】
「イントロダクション」
立田 晴記(九大院・生物)
「超音波による蛾類の行動操作:進化と応用」
中野 亮(農研機構・植物防疫)
「カマイルカの鳴き交わし」
三島 由夏(東京海洋大・海洋資源)
「音を用いた動物とコンピューターのインタラクション」
新村 毅(東京農工大院・農)
ラウンドテーブルR-03
魚類の繁殖戦略の進化が性淘汰にもたらす影響―ゲノムから行動まで
近藤 湧生 (大阪公大・理学)・藤本 真悟 (琉球大・技術部)
個体の繁殖戦略は、適応度を最大化する自然淘汰の結果として進化したものである。魚類には環境性決定や性転換、精子競争、さらに環境条件や年齢に応じて変化する二次性徴形質の発現など、個体レベルで多様な繁殖戦略が見られる。また、系統的に近縁な分類群間で繁殖戦略に差異があることも多く、魚類は繁殖戦略の進化を理解する重要な実証例を提供してきた。例えば、ペア形成からハレム形成など配偶システムの進化は交配集団の性比や個体数密度を変化させ、個体間相互作用の強さに影響する。その結果、求愛ディスプレイや競争時のシグナル行動、さらにそれに関連する形態の進化も促進するだろう。本ラウンドテーブルは魚類の繁殖戦略の多様性とその進化過程を理解するため種間比較の事例を概観する。さらにゲノム情報・生理・行動をどのように統合することができるのか、
カジカ類やメダカ科魚類をケーススタディに議論する。ゲノム解析による遺伝基盤の分析から個体の行動観察まで多様な分野の研究者による交流を通じて、この分野の現状と課題を整理したい。
【話題提供者】
「趣旨説明:魚類の繁殖戦略の進化と性淘汰との関係」
藤本 真悟 (琉球大・技術部)
「魚類における雌雄同体:進化・配偶システム・社会」
澤田 紘太 (水産機構)
「カジカ類における交尾行動と精子競争の反復進化がもたらす精子の多様化」
伊藤 岳 (琉球大・熱生研)・安房田智司(大阪公大・院理)
「メダカ科魚類における多様な性淘汰形質の進化をもたらす分子機構」
安齋 賢(岡山大・臨海)
「行動屋がDNAに手を出す:父子判定から野生メダカのスニーキングを観る」
近藤 湧生 (大阪公大・院理)
ラウンドテーブルR-04
ヒトという動物を考える:ヒト研究者と動物行動学者の対話
太田 菜央(兵庫県立人と自然の博物館)・瀬口 瑛子(東京農工大学・農)
動物行動学は多様な動物の行動を対象とし、その普遍性と多様性を明らかにしてきた学問であり、その射程にはヒトも含まれる。一方、ヒトの行動については、社会学、考古学、心理学、医学などで独自の概念と方法が発展し、知見が蓄積されてきた。協力、闘争、排除、情報伝達といった着眼点は、これらの分野でも重要な研究主題であるが、両者のあいだには十分な対話の機会があったとはいえない。本ラウンドテーブルでは、ヒト行動を専門とする研究者を招き、美醜観、コミュニケーション、伝承・信念体系、思春期のいじめや自殺を手がかりに、ヒトという動物の行動を分野横断的に考える。隣接分野の概念や方法に触れることは、動物行動学者が自らの問いを相対化し、新たな比較の視点を見出す契機になると同時に、ヒト研究にも別の角度から問いを返しうる。本企画では、何がヒトの行動を特徴づけているのか、現代人はいかなる問題に直面し、それらにいかに向き合うことができるかを会場一体となって考え、ヒトという動物をめぐる問いを、分野を越えて磨く場としたい。
【話題提供者】
「「無」の感受から考える人間らしさの神経美学」
石津 智大(関西大学)
「ヒトは特別なのか?:マテリアマインドの視点から考える」
松本 直子(岡山大学):
「思春期の個体・世界の相互作用:自殺やメンタルヘルス問題の予防に向けて」
西田 淳志(東京都医学総合研究所)
「信念体系が支える人間社会:文化進化論の視点から」
中分 遥(北陸先端科学技術大学院大学)
ラウンドテーブルR-05
生物ナビゲーション研究の最前線―若手研究者が拓く新たな展開―
依田 憲(名大院・環境学)・飛龍 志津子(同志社大・生命医科)
なぜ動物は迷うことなく目的地へたどり着き、複雑な環境の中で適切な行動を選択できるのだろうか。この魅力あふれるサイエンスのロマンに挑むべく、学術変革領域研究(A)「サイバー・フィジカル空間を統合した階層的生物ナビゲーション」(R3〜R7)では、バイオロギングや画像計測、神経科学、機械学習、数理モデリングなどの先端手法を駆使し、生物の行動原理の解明を進めてきた。感覚、脳、身体、環境、さらには他個体との相互作用が織りなす精緻なナビゲーションの根底には、「生物はいかに環境を認識し、行動を決定するのか」という共通の問いがある。対象とする生物や解析手法は多岐にわたるが、本セッションでは、本領域において活躍してきた若手研究者4名が、それぞれの研究成果を通して生物ナビゲーション研究の魅力と最前線を紹介する。行動学、神経科学、情報科学、工学を横断する議論を通じて、新たな研究展開の可能性を探るとともに、生物ナビゲーション研究の現在地と未来を展望したい。
【話題提供者】
「種特異的な求愛戦略を規定する神経メカニズム」
田中 良弥(名大院・理学)
「敵対的状況での動物のナビゲーション戦略」
西海 望(新潟大院・自然科学)
「ミクロとマクロを繋ぐ野生動物の階層的移動ルールを探る」
後藤 佑介(名大院・環境学)
「移動軌跡から行動規則を学ぶ:相互作用の理解から反実仮想シミュレーションへ」
藤井 慶輔(名大院・情報学)
ラウンドテーブルR-06
目的論の自然化とは?:心,倫理,利他,進化
辻 和希(琉球大・農学部)
哲学の世界では,精神と肉体を分けて考える思想がながらく主流でした。前者は内面の観察を柱とする人文科学,後者は精神の外延としてのモノの世界を機械論的に考える自然科学という心身二元論です。しかしダーウィンの自然選択理論の登場以降,この垣根を自然科学の側から融解させる動きがあるのですが,日本ではそのインパクトの大きさが自然科学の分野でも人文科学の分野でも,十分周知されるに至っていないのか,社会生物学論争のような議論もないまま,互いに無関心・無干渉で今日に至っているように思います。そこで科学哲学者の皆さんに集っていただき,日本のこの特殊な状況を分析いただこうと思います。また,実はあまりない生物学者と科学哲学者とのあいだの直接のクロストークの場も提供したいと考え,最近『心はどこまで進化したのか』を書かれた生物学者の河田雅圭氏をコメンテータに迎えました。スピーカーは現代哲学と生物学それぞれにおける心や倫理の問題のエキスパートです。乞うご期待。
【話題提供者】
「西洋哲学史における目的論的自然観の盛衰,およびその自然化」
木島 泰三 (法政大・文学部)
「文理の分離について再考する-科学哲学の観点から」
田中 泉吏 (慶應義塾大・文学部)
「なぜ私たちは倫理に目的を見出すのか——目的論的思考の合目的性」
矢島 壮平(中央大・国際情報学部)
「「ヒュームの法則」を超えてーー進化論と規範性の起源の問題」
澤田 和範 (学習院大・文学部)
【コメント】
河田雅圭(東北大学・高度教養教育・学生支援機構 教養教育院)