生化学第一講座の研究
はじめに
生化学第一講座の研究対象は、生理活性脂質と細胞膜の受容体です。強力な炎症起炎物質として知られるロイコトリエンB4第一受容体BLT1の欠損マウスは、炎症反応、Th1/Th2型免疫反応のいずれにおいても減弱した反応を示しています。こうした受容体に関連した様々な免疫・炎症性疾患モデルの解析を行っていきたいと考えています。また新規GPCRのリガンドの探索、高度不飽和脂肪酸欠乏マウス、脂肪酸輸送体欠損マウスについても研究を展開します。質量分析計を用いたリピドミクス解析はルーチンで動いており、最近ではイメージング質量顕微鏡を用いた臓器内脂質分布の研究も開始しました。生化学第一講座では共に研究してくれる大学院生・共同研究者を随時募集しています。 研究に興味を持つ学部生も積極的に受け入れています。興味のある学生さんは気軽に連絡して下さい。
研究目標
生化学第一講座では、Gタンパク質共役型受容体、脂質メディエーター、高度不飽和脂肪酸、脂肪酸不飽和化酵素、脂肪酸輸送体、をキーワードに幅広い研究を行っています。高度な受容体解析技術、質量分析計を用いたリピドミクス解析を武器に、正確で再現性の高い研究を遂行しています。受容体や酵素の遺伝子改変マウスの表現型解析と、正確な生化学的解析技術を組み合わせて、世界トップレベルの研究を行うと共に、製薬企業との積極的な共同研究を通じて、新規の創薬の基盤を築くことをを目指しています。
主な研究テーマ
受容体生化学、細胞内シグナル伝達の解析、孤児受容体の新規リガンド探索
生理活性脂質受容体、産生酵素の遺伝子欠損マウスの作成と疾患モデルにおける表現型の解析(免疫、炎症、発ガンモデルなど)、最近ではT細胞、樹状細胞における生理活性脂質の機能解析:特にこの数年間はロイコトリエンB4受容体(BLT1, BLT2)を中心に解析していきます。
高度不飽和脂肪酸欠乏マウスの作製と表現型解析:多彩な表現型が観察されており、最近力を入れて研究しています。
脂肪酸輸送体タンパク質の遺伝子欠損マウスの表現型解析
イメージング質量顕微鏡を用いた脂質分子種の臓器内分布の解析
教育方針
大学院生には、各自最低一つのテーマを独立に担当してもらいます。論文の全てのデータは基本的には筆頭著者本人の手によって生み出されるべきものと考えています。そのためにスタッフをはじめ研究室内の協力体制は欠かしません。つまり、指導を受けながら全ての実験を自ら遂行する訳です。短報ではなく、フルペーパーの筆頭著者となることを目指します。この過程を経ることで、大学院卒業時には実験の立案、計画、準備、結果の解釈、学会発表、論文投稿までをこなせる研究者を育成できると考えています。