国道45号線沿いの防潮堤 SEAWALL

”過去の津波浸水区間”

国道45号線を走っていると、自然と目に入るのが”過去の津波浸水区間”と記載された大きな看板です。山を下る度、町に入る度に、幾度も見かける事になります。100kmというのは車で走っていると決して長い距離ではありませんが、その間に何度見かけたのか数えられないほどです。

低地に続く巨大防潮堤

過去の浸水区間に対応して建設が進められているのが、巨大な防潮堤です。場所によって高さは異なりますが、10m-13m程度の高さで建設されている事が県や町の復興事業計画で読み取れます。

例えば山田町の手前に設置されている防潮堤は、停車している軽トラックと比較するとおおよそ8〜9メートルの高さである事がわかります。写真では決して大きな構造物に見えないと思いますが、目の前で見ると大きさが際立ちます。

津波を防ぐ(もしくは軽減させる)には巨大な構造物の建築は避けられないでしょう。ただ、”海が全く見えない”というのは逆に怖さを感じる部分があります。基本的には『逃げる』事が大前提ですが、視覚で状況が把握出来ないと、人は動く事を躊躇してしまうのではないでしょうか。

合間合間に今のところ防潮堤が無い場所も存在します。実際に海岸を眺めていると、海と街の近さを実感します。防潮堤が無いと津波が発生した際に直撃となってしまう、しかし大きな構造物が無ければ目の前の危機は認識しやすいし、普段の生活や経済活動には有利な事が多い・・・どちらも考慮した案というのはなかなか難しく、どちらかのメリット優先するしか手は無さそうです。

先に紹介した断面が台形型の防潮堤の他に、街中では壁型の防潮堤も見受けられます。ふと浮かんだ事なので大意はありませんが、唐突に建てられた壁に「なんだか、ベルリンの壁のようだ・・・」とふとつぶやいてしまいました。

やはりこのタイプの防潮堤の場合もそのすぐ先に海があるのですが、壁が存在するだけで非常に遠い存在に感じてしまうのです。私も最初は海がある事に全く気がつかず、Google mapを見て海の近さに驚きました。

これらの荘厳な人工構造物が、果たして数十年先にまた訪れるかもしれない大災害を防げるのかどうか。結局その答えは誰にも分かりません。

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