イミテーションゲーム
The Imitation Game (2014)
イミテーション・ゲームをやっと観てきました!凄かった〜。映画を観たあとは大抵そうだけどなんだかぼんやりしてしまって受け取った感情が体の周りを漂うようでした。
私はチューリングについては映画を見て知ったことしか知識が無いので、映画を見て感じたチューリングへの感想を書きます。今度、原作となった彼の伝記も読みたいな。
観終えて一日経って、何がそんなに私に残ったのかなあ、と考えていた。
ベネディクトがインタビュー記事で「彼は今ではただのゲイ・シンボルになっちゃったけどね」というようなことを言っていたのが気になった。
観終わったとき、チューリングをとても気の毒に感じたけど何がそんなに気の毒だったんだろう。
たとえば、極秘任務だったために彼のチームと彼自身が生前に世間から評価されることがなかったこと、同性愛者であることを犯罪であると扱われたこと、子供の頃に突然愛する人が死んでしまったこと、人と円滑な関係を築くのが苦手だったこと、英国からの遅れた返答が恩赦で謝罪ではなかったこと。
ベネディクトが言ったゲイ・シンボルの側面は言うまでもなく彼が犯罪者扱いされてホルモン投与を受けたのち死んでしまったことと関係するけれど、「ゲイ・シンボルになっちゃった」という発言が皮肉、あるいは批判であるように、チューリングの不幸はそういうことではないのかなと思った。
チューリングは劇中で今まで孤独だったことは無いと言ったけど、あれは客観的には本当ではない気がする。
彼はもうこの世にはいない死者を愛していて、だから人間とは「違う考え方をする」機械にクリストファーという名前を付けても矛盾しなかったのではないかしら。(もちろん普通は機械に名前をつけることをおかしなことだと感じる人が多い。)
チューリングが自分は孤独ではなかったと言ったのは、人間的な返答のない思い出や機械として生きた”クリストファー”が居たからだけど、それを本当の意味では孤独だったのではないかと第三者が言うことは酷で、私はそれが気の毒に感じたのだと思う。
・・・気に入ったシーンなどなど覚え書き・・・
役者さんたちについては、私はキーラがとっても魅力的だったので他の作品も見てみたくなりました。彼女、すごく素敵。(調べたら出演作わりと見てた。役者さんを見分けられないわたし!)
今回のジョーン役は、まず数学的天才である女性役というのも良いし、離婚を申し立てたチューリングに対して結婚についての考えを言うところも好き。
愛してるから、という風には引き止めないでお互いにお互いが必要だし大切に思いあっているでしょう、と言っているように聞こえて。
あと、劇中では話が進むにつれてチューリングの愛情深い性格が見えてくるのが切ないね。
本当に好きなものに対してと興味のないものに対してとは両極端な態度を取るところがなんとも……。その極端な愛情の深さが切ないよ……。
話の構造としてはチューリングが同性愛の罪で拘留されているときに刑事に自分の話を始めた、という語りの形式から始まっていたんだと最後につながるのが分かりやすくてよかったな。
冒頭の青酸カリも自殺を示唆してたんだね。
あと他に、「君は私が知っている多くのスパイよりも秘密を抱えているよ」(うろおぼえ)と言われて大いにうろたえているシーンが印象的だったな。
軍部ではなくMI6の人間であるミンギスならではのシーンだ!と思ったしチューリングの困難な人生が集約されているようにも感じました。
文書をみんなで焼いているシーンも最後にふさわしくて綺麗だったな。
映画は時間の制約もあるし正確には事実とは異なる表現になってしまうんだろうけど、映像によって印象を与える表現は映画ならではなので、映像が綺麗なシーンが最後を飾っているのは好き。
でもまあ、ひとりの人間に対して正確にどれが事実かどうかを考えるときには、それがあるひとつの見方であるという前提に依って述べるしかないんだろうけども。伝記にしろ映画にしろ。
この映画はそういう考えを伝えることもひとつのテーマだったんじゃないかな〜なんて。
ブルーレイ出たら買いたいなあ。それか、wowowで放送したら録画しよう。笑