私が2020年11月30日に外務省に行った開示請求(情報公開第01984号)について、外務省の方で2021年1月4日に開示決定がなされました。この決定に対して、私は2021年1月21日付で審査請求を行いました。
しかし、この審査請求が情報公開・個人情報保護審査会に諮問されたのは、請求から2年半以上経過した2023年8月3日であり、私にその旨が通知されたのは同年8月7日でした(情報公開第01073号)。現在は、情報公開・個人情報保護審査会にて審査が開始されたところです。
情報公開・個人情報保護審査会への諮問に2年半以上の時間がかかったことが、事務処理として極めて不適切であることは、以下のとおり疑いを入れません。 「不服申立て事案の事務処理の迅速化について」(情報公開に関する連絡会議申合せ、2005年8月3日)では、「各行政機関は、不服申立てがあった場合、的確な事務処理の進行管理を徹底することにより、可能な限り速やかに審査会へ諮問する。諮問するに当たって改めて調査・検討等を行う必要がないような事案については、不服申立てがあった日から諮問するまでに遅くとも30日を超えないようにするとともに、その他の事案についても、特段の事情がない限り、遅くとも90日を超えないようにすることとする」とされています。(*2)
実際、私は2020-22年頃に、他の省庁にも開示決定に係る審査請求を幾度か行いましたが、それらの省庁では少なくとも1-2ヶ月の間に情報公開・個人情報保護審査会へ試問に回されています。さらに、行政法学者・現最高裁判所判事の宇賀克也氏も、「審査請求に対する裁決をすべき行政機関の長は、本条[情報公開法19条]1項1号・2号の場合に該当しないかを迅速に調査し、該当しないと判断したときには、速やかに諮問手続をとるべきことは当然である」と述べています。(*3)
また、今般の開示請求においては、私は「令和2年度夏頃と推測される、電信番号54798号の行政文書」と、極めて特定的かつ一件のみの行政文書を請求しており、今般の開示決定もその一件の文書についてのみなされています。したがって、対象となる文書が膨大であったり、事務処理に多大な時間がかかるといったことはまず考えられず、諮問を2年半もの期間行わないという行為を支える根拠は、全く存在し得ません。
以上を踏まえ、私は、本件事務処理について外務省公文書管理室などに抗議し、一ヶ月以内にしかるべき説明を与えるよう求めましたが、期限を過ぎても回答が得られなかったため、ここに内容を公開する次第です。
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*1 現在までに公刊されているものとして、澤井勇海「コロナ禍入国制限の同時代史的検討ーー日本人の外国籍配偶者等・パートナーを中心に(一)」『法学志林』120巻3号、2023年
*2 「不服申立て事案の事務処理の迅速化について」(情報公開に関する連絡会議申合せ、2005年8月3日)
(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/pdf/110624_02.pdf)
*3 宇賀克也『新・情報公開法の逐条解説』有斐閣、第8版、2018年、202頁
(2023年10月24日執筆)