ホロメタボラ

制作途中のため、推敲の進度によって内容は変更されます。

暫定的にお楽しみください。





  フラン=フラン



蝿が産み増える湿度に

焼かれる皮膚が

チューリップのごと開いて

音を叫んだ


生と死は寄り添って

腐乱孵卵

情景はとても美しいのに

光景は醜いものだ


千々の蝿放すは一回の死

別れ  高く空へと

別れ  貴く宙へと






  蝉



贅肉を

腫らした頬に

よじれる

卑下の笑み

吐息を

吸う

膣の汗が

臭って

のしかかって

くる

重みを

捨てるには

皮膚を固くして

剥く

飛び立つには

変態

気持ちいい夜の

天頂点から


「set me up

 say mean 


 わたしの朝は

 きっと短い

 ヴァージンの翅が

 背にあって

 憂鬱

 だけど

 あなたの震えに震えた

 その喧しい歌に茹った

 気持ちを

 わたしは生きるため

 暗い床を這い出てきた」










  レッドアザレア



くちづけを

待っていた

上髭のうすく生う

肌理に

粗雑さの色気を

見ながら

soyons

——かぜと擦れあう木枝

冷えきっている

乾いた樹皮を剥き出しの

冬をめくれば

うっとり粘つく水気が

血の春

まだ膨らみを耐えた

堪えきれなかった

芽がくちびるを

突いて現れるときを

待っていた


おいで

呼ばれて虫は飛ぶ

花へ、その深くへ





  堕落論・雨



下に落ちることが

唯一ありえた

それも選べずに

ついに初めて

軽かった命が

重みを得て零れる

全身を

狂おしくわたしを

抱き寄せる力へ


すべての落下を愛でる

大きな腕に甘えて

なにも選ばなかった

所詮一滴の雨


自殺みたいに砕ける









  虫媒花



青く伸びたへりを

やさしく撫ぜて

震わす息の翅で

くすぐりながら奥まる


蜂が

よそでもすると

知っていて

あげる花びら


仕付けられた

根を剥がせず

わたしは

動かれるままそよいで


垂れる蕊から

出血

まるで肉のある

性交みたいに


押し合う

花びらのびらと

一心不乱のあなた

大きくなってく

翅音に手をかけ


毟り取ってしまえば

いいのに


乾いた血液の粉を

なすられた背で蜂は

よその花へ

よその花へ


すべて、白百合はこの失意を孕め。





  みずあみ


ぬるい湯に削がれた身を


噴き漏れる胃がソフトクリーム

三十三度ぬるい透ける背骨が

風呂場にぐずと泡を弾けた


葬送 合掌

水浴み 図 阿弥


落とす薔薇 入浴剤の

潰える時までは

ピンク シンク

あなたは美しく夏









  céleste-Bleu ※部分開示



  1


空の全ての配色が練り混ぜられた海だった

Je suis, j’y saute

血色の悪い月が浮いては落ち

まだ息継ぎする彼の上顎みたいに照る

けして戻れない深さで波が

沈めてくれるまで

■■■■を引きながら溺れつづける

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■■

surgit, tenu bas et nu

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冷えきって漏れる息が泡沫を向かわせる

あの弾ける音が


聞こえなくなる、そこ


  2a


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腕と腕

みたいな腐臭のセダム


  2b


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(二度と聞きたくない侮辱を

 また聞くとしても

 ■■■■■■■世界で

 苦しむよ)

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  オステオスペルマム



※非公開





  q'oto no saido



※非公開





  Grape Grave


死は

瞳を破って表れる

さながら其は裂開果

瑞々しい葡萄の実は

黒く照りあぶれ


ひとつの意味が終わった

永遠に問われなくなった

真実はそうして生まれる

訪れる人なき墓所に