どんどろ流とは

――百鬼どんどろの祈りを今に受け継ぐ、“いのちの人形”の舞台芸術

「どんどろ流(どんどろりゅう)」とは、
百鬼どんどろ 岡本芳一(おかもと ほういち/2010年没) が生み出した、
“人形を通していのちを描く”日本独自の表現の流れです。

岡本は、人形を単なる「モノ」ではなく、**魂の器(うつわ)**として扱いました。
演者の身体と人形が溶け合い、どちらが人でどちらが人形かわからなくなる――
その瞬間に、“いのち”が立ち上がると考えたのです。

その舞台は、物語を語るものではなく、
祈りや鎮魂、再生を表す儀式のような時間。
能や神楽、民俗芸能などの精神や美意識に通じつつ、
「生きるとはなにか」という根源的な問いを投げかけます。

岡本が主宰した劇団「百鬼どんどろ」は、
1970年代から全国各地で公演を行い、
演劇・舞踊・アートの枠を越えて、国内にとどまらず海外でも多くの芸術家に影響を与えました。

また、岡本が中心となって長野県飯島町で
1991年から1996年まで開催された「一人劇祭(いちにんげきさい)」 の影響により、
地元では “百鬼どんどろ=一人劇” として深く記憶され、
その流れを 「どんどろ流一人劇」 とも呼んでいます。

その精神を今に受け継ぎ、
現代の祈りの舞台として発展させているのが、
人形師・舞台表現者 百鬼ゆめひな(飯田美千香)

「人形を通して観る人の中にいのちを呼び覚ます」――
このどんどろ流の理念をもとに、
伊那谷の地から“いのちの舞台”を紡いでいます。


伊那谷化けるんです から どんどろ祭りへ

かつて岡本芳一が飯島町で開いた「一人劇祭」は、
“ひとりで舞台に立つこと”そのものを芸術として讃える祭でした。
その精神は今もこの地に息づき、
芸術家たちがジャンルを越えて“ひとり表現”に挑む場として受け継がれています。

それが、現代に復活した 「伊那谷化けるんです」
どんどろ流の魂をルーツに、
ひとり芝居・舞踏・音楽・人形・語りなど、
多彩なソロアーティストが集い、
“化ける=変化する”という命のエネルギーを祝福する芸術祭です。

そして2025年からは、その理念をより明確に掲げ、
「どんどろ祭り 伊那谷化けるんです」 へ。
どんどろ流の系譜を礎に、
この土地に生きる人々と共に“祈りと創造の舞台”を育てていきます。

百鬼どんどろ(岡本芳一)公式サイト http://www.yumehina.net/dondoro/