本研究室「いいむらぼ」では、思春期・青年期を主な関心対象に「発達×進化×パーソナリティ」心理学的な研究を行っています。研究関心は「環境に応じて自身をどう発達させるか」という問いです。個人と環境の交互作用の視点から、発達的可塑性の個人差メカニズムを調べています。主に「環境感受性」という概念を発達的可塑性の指標として扱って研究を進めています。心理学者によるHSP情報サイト「Japan Sensitivity Research」の企画・運営しています。
2025年8月8日 「児童青年精神医学とその近接領域」に論文が掲載されました
北海道教育大学の片桐正敏先生との総説論文「自閉スペクトラム症の感覚処理特性と社会性,および感覚処理感受性との関連」が「児童青年精神医学とその近接領域」(特集 感覚特異性のある子ども)に掲載されました。飯村は、おもに論文の後半部分を担当しました。個人差研究を系譜とする感覚処理感受性とASD研究を系譜とする感覚特性は、それぞれの領域でほとんど交わることがなく研究が進められてきたように思います。論文の後半部分では、こうした異なる領域における感覚・感受性の知見を統合的に理解するための新たな視点を提供することを試みました。
片桐正敏・飯村周平 (2024). 自閉スペクトラム症の感覚処理特性と社会性,および感覚処理感受性との関連 児童青年精神医学とその近接領域, 65(4), 551-563.
2025年1月17日 Microorganismsに論文が掲載されました
(株)明治との共同研究による論文「Key taxa of the gut microbiome associated with the relationship between environmental sensitivity and inflammation-related biomarkers」がMicroorganismsに掲載されました。最近の研究では、抑うつや不安などの精神症状が、体内の炎症反応や腸内細菌叢の構成と関連することが指摘されています。私たちの以前の研究では、腸内細菌叢の多様性が低い個人は、環境感受性(注1)が低いほど高い炎症反応(C-reactive protein)や腸管透過性(lipopolysaccharide-binding protein)を示していることがわかりました(Iimura et al., 2023)。それを受け、今回の研究では、具体的にどの腸内細菌種が環境感受性と炎症指標の関連に関与しうるのかを探索的に検討しました。
Iimura et al.(2023)で収集したデータを2次分析した結果、科(Family)レベルでは、Marinifilaceae、Barnesiellaceae、Akkermansiaceaeが、属(Genus)レベルでは、Family XIII AD3011 group、GCA-900066225、Ruminiclostridium 1による関与が示唆されました。さらに詳細な検討の結果、環境感受性が高い個人ほど、これらの菌種の保有量が少ない場合に高い炎症や腸管透過性を示していることがわかりました。今回特定された細菌種を保有していることが、環境感受性の高い人の炎症や腸管透過性にとって保護因子になる可能性がありますが、その因果関係は明らかではないため、さらなる研究の進展が期待されます。
(注1)ここでの環境感受性とは、ネガティブ・ポジティブ両方の環境刺激に対する被影響性の個人差を説明する気質やパーソナリティ特性のことを指します。
Takasugi, S., Iimura, S., Yasuda, M., Saito, Y., & Morifuji, M. (2025). Key taxa of the gut microbiome associated with the relationship between environmental sensitivity and inflammation-related biomarkers, Microorganisms, 13(1), 185, doi: 10.3390/microorganisms13010185 [Link]
2025年11月29日 東京メンタルヘルススクエア オンラインセミナー講師
2025年9月5 - 7日 日本心理学会第89回大会(東北学院大学)ポスター発表予定 ※筆頭1件
2025年5月23日 The 3rd International Conference on Sensitivity Research (The University of Surrey, Guilford, United Kingdom), Invited Talk
2025年3月10日 都内高等学校 研修会講師
2025年3月4 - 6日 日本発達心理学会第36回大会(明星大学)自主企画シンポジウム登壇、ポスター発表予定
2025年2月22日 創元社オンラインセミナー講師「対人援助職は「HSP」ブームとどう向き合うか:意義とリスクを考える」[Link]
2025年2月21日 日本青年心理学会交際交流委員会企画ワークショップ「国際学会プレゼンテーションの経験知~英語での研究発表に関する経験や工夫、魅力を語る~」聴き手 [Link]
2024年12月14日 日本精神衛生学会第40回大会 教育講演講師
2024年10月20日 公益社団法人日本心理学会認定心理士の会 北海道支部公開講演会(第71回北海道心理学会 一般公開講演会)講師
2024年10月10日 江戸川区教育研究所 研修会講師
2025年9月8日