本研究室「いいむらぼ」では、おもに思春期・青年期を関心対象にしながら、個人と環境の交互作用の視点から発達的可塑性の個人差メカニズムを調べています。研究関心は「環境に応じて自身をどう発達させるか」という問いです。主に「環境感受性」という概念を発達的可塑性の指標として扱って研究を進めています。心理学者によるHSP情報サイト「Japan Sensitivity Research」の企画・運営しています。
【Good News!】2026年9月22日 「Journal of Personality Assessment」に論文が掲載されました
私たちの論文が「Journal of Personality Assessment」に掲載されました!研究1と2では、特性感受性を測定する改訂21項目版Highly Sensitive Child尺度(Weyn et al., 2022)を日本語訳し、その心理測定学的性質を検討しました(N = 1,343の母子)。オリジナル版と同様に、易興奮性-低感覚域と美的感受性の2下位尺度に加えて、すべての項目の共通分散を説明する環境感受性の一般因子で構成される双因子モデルがデータとの適合度が良好でした。関連が想定される他のパーソナリティ特性との相関も、おおむね期待したとおりの結果でした。研究3では、3時点の縦断データを用いて、ベースラインにおける特性感受性と各環境(養育の質、友人関係)が青年の発達的アウトカム(内在化、外在化、向社会的行動)とどのように関連するかを調べました(N = 1,032の母子)。特性感受性と各環境は交互作用というよりも、それぞれ加算的に発達的アウトカムと関連することが示唆されました。1時点目のデータのみを用いて心理ネットワーク分析を行った結果、特に特性感受性は内在化と向社会的行動と正の関連を示しました。
論文情報:Iimura, S., Yano, K., Kibe, C., Weyn, S., & Pluess, M. (2026). Psychometric properties of the Highly Sensitive Child Scale and its role in socio-emotional and behavioral development: Evidence from Japanese adolescent samples. Journal Personality Assessment. https://doi.org/10.1080/00223891.2026.2730505
尺度の使用マニュアルはこちらの [Link] からダウンロードできます。
2026年8月29日 「Psychological Studies」に論文が掲載されました
筆頭論文「Psychometric properties at the item level of the Japanese version of the Highly Sensitive Person Scale: A partial credit model analysis」が「Psychological Studies」誌に掲載されました。タイトルの通り、日本語19項目版HSP尺度を項目レベルでその心理測定学的性質を調べたものです。具体的には、1600名超の日本人から得られたオンライン調査データをもとに、Partial Credit Modelを当てはまて項目特性を明らかにしました。意外にも、これまでに項目レベルでHSP尺度を検討した論文はきわめて限られており(おそらく1件くらい)、地味な研究ではありますが心理測定上大事な情報を提供することを目標にしました。論文のpdfをご希望の方はぜひ飯村までご連絡ください。
論文情報:Iimura, S.*, Yano, K.*, Kase, T., & Oishi, K. (2026). Psychometric properties at the item level of the Japanese version of the Highly Sensitive Person Scale: A partial credit model analysis. Psychological Studies. doi: 10.1007/s12646-026-00884-3 *equal contribution
2026年2月28日 「Journal of Articles in Support of the Null Hypothesis」に論文が掲載されました
飯村の筆頭論文「Environmental sensitivity and digit ratio (2D: 4D): Negative results」が「Journal of Articles in Support of the Null Hypothesis」誌に掲載されました。本研究は、パーソナリティ特性としての環境感受性と出生前アンドロゲン暴露の代替指標である指比(2D:4D)の相関関係を検討したものです。進化発達心理学で新たに提案されたアイデア(Del Giudice et al., 2023)では、出生前アンドロゲンの暴露量が発達的可塑性の高さに関与する可能性が指摘されていました。発達的可塑性の指標にはいくつか候補があり、その一つには気質的指標である環境感受性が挙げられます。今回は、発達的可塑性の異なる指標間(つまり、出生前アンドロゲン暴露量と環境感受性)の関連を検討しました。インド人と日本人の大学生サンプルをそれぞれ分析した結果、両者には明瞭な関連がないことが示唆されました。発達的可塑性の異なる指標間には、明瞭な相関関係がないことがいくつか報告されており(e.g., Weyn et al., 2025)、本研究の知見もそれらと整合していました。その理由はまだ明らかにされていませんので、引き続きこの謎に迫る研究に取り組むつもりでいます。
論文情報:Iimura, S., & Nishaat, A. (2026). Environmental sensitivity and digit ratio (2D: 4D): Negative results. Journal of Articles in Support of the Null Hypothesis. 22(2), 71-79. https://www.jasnh.com/pdf/Vol22-No2-article3.pdf
2026年9月28日