私達は主にケイ素置換基を使うアプローチで活性の向上を試みてきました。
なぜなら私たちはケイ素には、有機化合物の光化学的性質を変化させるポテンシャルを持つことを報告してきたからです。
また、海外の研究グループがケイ素により抗がん剤の治療効果が高まる報告も行っていました。
そこで、私達は基本的な光増感剤であるテトラフェニルポルフィリン誘導体にケイ素置換基を導入しました。 ケイ素置換基の導入により、以下の3つの因子が高効率化することを見出しました。
・がん部位への選択的な集積効率
・がん細胞による取り込み効率
・活性酸素種(1O2など)の生成量子収率
その結果、がんの治療効果が飛躍的に向上することを明らかにしました。
これらの研究成果から、ケイ素置換基は光増感剤の活性の改善に有用であると考えています。
上記のケイ素置換ポルフィリンを更に高効率化させるために、様々な研究を進めてきました。
(詳細は研究成果(reserchmap)をご覧ください。
現在の代表的な研究は、放射線増感剤として知られる含硫糖脂質とのコンビネーションです。
光線力学療法の弱点の一つは、多くのガン組織は酸素濃度が低いことです。ガン細胞を死滅させるための活性酸素種(1O2)の生成の原料として、体内の酸素(O2)が必要ですので、ガン組織の酸素濃度の増加は重要な課題です。
含硫糖脂質は、それ自体がガン組織に残留しやすい性質があり、更にガン組織内の酸素濃度を向上させる効果があることが報告されています。
そこで共同研究者らと、私たちが開発したケイ素置換基ポルフィリンと含硫糖の複合化を行いました。
まだ、培養ガン細胞レベルではありますが、光治療効果が向上する成果が得られていて、現在は共同研究者らと小動物を用いて、その性能を評価しています。
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