研究会活動アーカイブズ
HIM ACADEMY JAPAN
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4つの学生研究が始動――医療の未来を描く実践型プロジェクト、いよいよスタート
◆ 4つの学生研究が始動――医療の未来を描く実践型プロジェクト、いよいよスタート
今年度の学生研究がいよいよ本格的にスタートしました。
研究指導は、シニア・パートナーの小原仁(久留米大学)と、パートナーで調査協力施設のスタッフでもある水谷駿介(田主丸中央病院)の2名がタッグを組んで担当しています。
今年取り組む研究テーマは次の4つ。いずれも医療機関経営、地域医療政策、将来需要推計といった高度で実践的な領域です。
① 診療圏単位を基盤とした必要病床数の再推計
② 病院の将来入院需要対応に関する診療圏分析
③ 将来対応に向けた病床再編案の検討
④ 持続可能な救急医療提供体制の実態と課題
各テーマは3〜4名の学生で編成され、文献レビュー、地域医療データの収集・加工、診療圏分析、仮説検証に取り組んでいます。
◆ 研究計画発表会の様子 ― 論理的な議論と成長の手応え
先日開催された研究計画発表会では、
「本当に必要な指標はどれか?」
「仮説を検証するためのデータ構造は適切か?」
「研究成果を誰の意思決定に活かすのか?」
といった鋭い議論が飛び交い、発表会は熱気に満ちていました。
学生の提案に対して教員が問いかけ、学生同士がそれに応じて視点を深めていく——
その瞬間、研究が「課題を与えられる学習」から「自分たちが問いを生み出す探究」へと変化していくのが感じられました。
◆ “現場でも知らなかった発見” が生まれはじめている
発表会後のディスカッションで特に印象的だったのは、
学生が既に調査協力施設の関係者でも把握していなかった示唆を導き出し始めているということです。
データは嘘をつかない——
しかし、見ようとしなければ気づけない真実があります。
学生たちの視点は柔軟で、固定概念にとらわれず、データの向こう側にある医療の姿を掘り起こしていく。
その姿勢は、まさに未来の診療情報管理士の理想像そのものです。
◆ 研究の舞台は2026年度「第52回日本診療情報管理学会学術大会」学生セッションへ
4つの研究グループはいずれも、2026年度に盛岡で開催予定の第52回日本診療情報管理学会学術大会 学生セッションでの発表を目指しています。
現場の診療情報管理士や医療経営に携わる関係者、研究者の前で研究成果を示す絶好の機会です。
「学生の研究」とは言っても、その内容は既に専門家が参加する学術セッションに十分耐えるレベルに到達しつつあります。
今後どのような分析結果と提言が生まれるのか、私たち指導者も心から楽しみにしています。
◆ 最後に ― 診療情報管理士養成の本質は、知識ではなく“問いを立てられる人材”を育てること
学生研究指導は、単に研究の手法を教える場ではありません。
“医療にとって本当に意味のある問い”を生み出し、それをデータと論理で証明できる人材を育てる取り組みです。
今年の学生たちは強い意欲、探究心、そしてチームワークを兼ね備えています。
この1年でどれほど成長し、どんな新しい医療の未来図を描くのか——
研究会としても最大限の支援を続けてまいります。