研究紹介

研究テーマ


数理最適化に関する研究

特定の集合上で定義された関数について,関数値を最小(もしくは最大)にする集合の元を発見することを数理最適化と言います.代表的な数理最適化問題として線形計画問題が有名ですが,その他にも,有限集合の部分集合族上で関数が定義される組合せ最適化問題があります.巡回セールスマン問題やナップサック問題といった問題を目にしたことがあるかも知れませんが,これらも組合せ最適化問題の一種です.数理最適化問題の解集合のサイズは,無限であったり有限であっても非常に大きかったりするので,解を一つ一つ調べていく方法ではスーパーコンピュータを使っても最適解が見つけられません.数理最適化に関する研究では,問題固有の数学的性質を明らかにして,それに基づく効率的なアルゴリズムを構築することを目指します.


計算幾何学に関する研究

計算幾何学とは,一言で言えば図形を処理するアルゴリズムの理論です.コンピュータグラフィックス,地理情報処理,ロボティックス,コンピュータビジョン,パターン認識 ,メッシュ生成,VLSI(超大規模集積回路)設計,CAD/CAM,機械学習・データマイニングなど,たくさんの応用があります.

これらの研究テーマはあくまで例であり,実社会におけるありとあらゆる問題が研究テーマとなり得ます.


研究テーマと関係のある面白い読み物

これまで行ってきた研究


避難計画問題に関する研究

避難計画問題は,都市や建築における災害時の一時避難を動的ネットワークフローと呼ばれる数学的枠組みを用いて定式化し,最適避難経路や最適避難施設配置を求める問題です.本研究では,問題に対するアルゴリズム,及びその計算時間や解精度について理論的解析を与えることが目標となります. また,開発したアルゴリズムを現実の都市データを用いて実装することもあります.


組合せ剛性理論に関する研究

組合せ剛性理論は,建築などの構造物の剛性を対応するグラフ構造から特徴付ける理論です.本研究では,「どのような構造が剛堅であるか」だけでなく「柔軟な構造においてどの部分とどの部分の動きが連動しているか」を解明することも目標としており,建築構造学,機械工学,生化学など様々な応用先が考えられます.


不完全情報下における空間探索に関する研究

未開拓の洞窟の探検や災害によって通行不能箇所が不明な建物内の探索など,全体地図を持っていない探索者(あるいは探索ロボット)が効率的に探索を行うためには,どのように探索を行えば良いでしょうか.また探索者が複数人いる場合はどうでしょうか.本研究では,グラフや幾何的空間に対するオンラインアルゴリズム の問題として定式化して効率的なアルゴリズムの開発を行います.