本研究室では、実社会の課題を数学的な問題として定式化する数理モデリングと問題の解を効率よく求めるアルゴリズムの研究を行っています.
数理最適化とは,実社会に現れる課題を数理モデルとして定式化し,与えられた条件のもとで目的関数を最小化または最大化する解を求めるための理論です.代表的な数理最適化問題として線形計画問題が有名ですが,その他にも,有限集合の部分集合族上で関数が定義される組合せ最適化問題があります.巡回セールスマン問題やナップサック問題といった問題を目にしたことがあるかも知れませんが,これらも組合せ最適化問題の一種です.
多くの数理最適化問題では,候補となる解の数が非常に大きく,解を一つ一つ調べていく方法ではスーパーコンピュータを使っても最適解が見つけられません.数理最適化に関する研究では,問題固有の数学的性質を明らかにして,それに基づく効率的なアルゴリズムを構築することを目指します.
詳しい数理モデリングの説明がここに入る
避難計画問題に関する研究
避難計画問題は,都市や建築における災害時の一時避難を動的ネットワークフローと呼ばれる数学的枠組みを用いて定式化し,最適避難経路や最適避難施設配置を求める問題です.本研究では,問題に対するアルゴリズム,及びその計算時間や解精度について理論的解析を与えることが目標となります. また,開発したアルゴリズムを現実の都市データを用いて実装することもあります.
主な卒業論文
単一シンクを持つサイクルネットワークにおける最大後悔最小化動的フローに関する研究 (2025年度)
不確定な辺容量を持つ動的パスネットワークにおける最大後悔最小化施設配置問題 (2023年度)
平均避難時間に基づいた最大後悔最小化1-シンク配置問題 (2023年度)
パス状の動的フローネットワークにおける混合避難問題 (2022年度)
格子状の動的フローネットワークにおける避難施設配置問題 (2022年度)
格子状のネットワークにおける津波避難を想定した最速輸送問題 (2022年度)
組合せ剛性理論に関する研究
組合せ剛性理論は,建築などの構造物の剛性を対応するグラフ構造から特徴付ける理論です.本研究では,「どのような構造が剛堅であるか」だけでなく「柔軟な構造においてどの部分とどの部分の動きが連動しているか」を解明することも目標としており,建築構造学,機械工学,生化学など様々な応用先が考えられます.
主な卒業論文
最小重み幾何的無交差Lamanグラフを求めるXPアルゴリズム (2025年度)
最小重み幾何的Lamanグラフの厚み解明に向けたアプローチ (2024年度)
最小重み幾何的平面Lamanグラフを求める効率的なアルゴリズムに関する研究 (2023年度)
最小重み幾何的(2,2)-tightグラフにおける交差数の上界 (2023年度)
最小重み幾何的平面Lamanグラフに関する研究 (2022年度)
不完全情報下における空間探索に関する研究
未開拓の洞窟の探検や災害によって通行不能箇所が不明な建物内の探索など,全体の地図を持っていない探索者(あるいは探索ロボット)が効率的に探索を行うためには,どのように探索を行えば良いでしょうか.また探索者が複数人いる場合はどうでしょうか.本研究では,グラフや幾何的空間に対するオンラインアルゴリズム の問題として定式化して効率的なアルゴリズムの開発を行います.
主な卒業論文
複数探索者による単閉路グラフのオンライン探索問題 (2025年度)
複数人によるオンライングリッドグラフ探索 (2024年度)
穴のないグリッドグラフにおける複数人によるオンライン探索問題 (2023年度)
単純直交多角形における複数ロボットによるオンライン探索問題 (2023年度)
説明可能なAIに関する研究
説明可能なAIは,複雑なAIモデルが特定の判断を下した際の根拠を,人間が理解できる形で提示する技術です.本研究では,AIの判断プロセスを数理的に明らかにしたり,提示された根拠がどれほど妥当であるかを評価したりするための計算手法の開発を目標としています.また,AIの予測精度と説明の分かりやすさのバランスに関する理論的な解析や,社会的な信頼が不可欠な意思決定の場面への応用についても検討します.
主な卒業論文
アンサンブル学習と数理最適化を融合させた新しい分類アルゴリズムの開発 (2024年度)